「思春期ライリーと不変のヨロコビ」インサイド・ヘッド2 movie mammaさんの映画レビュー(感想・評価)
思春期ライリーと不変のヨロコビ
思春期のライリーの頭の中。
思春期ならではのホルモンが突然溢れ出し制御不能。
元々いたヨロコビ、カナシミ、イカリ、ビビリ、ムカムカに加わる、
シンパイ、ハズカシ、イイナー、ダリィと、
時々早まって出てくるナツカシおばあちゃん。
両親はその時期を経験済みの年のため、頭の中では全ての感情が折り合いよく動いている。
ライリーはこれまでヨロコビ、カナシミ、イカリ、ビビリのコントロールによって、文武両道で優しい優等生に成長していたが、そんな良い子にも思春期が訪れる。しかも高校入学がかかったホッケー合宿直前に。
仲間であり友達の2人は違う高校へ行く事を決めていて、ライリーは憧れの先輩がいる高校にホッケー入学するためには、欠かせない合宿。
思春期に入ったからこそ、他人から見た自分の視線が強烈に気になり、先輩達に気に入られなければ、結果を出さなくてはと躍起になりオーバーヒートするライリーの頭の中は、シンパイが占拠中。
元々の感情のバランスが取れた「良い子」のライリーらしさは、友達をさておき自分だけ先輩達に取り入り、コーチの評価ノートを盗み見るような、「私はダメな子」モードに流されそうになるが、蚊帳の外にされたヨロコビが記憶の中を走り回り、これまでとは異なる認知に書き換わってしまったライリーの想い出記憶の中からライリーらしさを取り戻す。
でも、ヨロコビは気が付く。
新しいライリーらしさは、元々の「良い子」や乗り越えた「ダメな子」、思春期の周りとの関わりや経験を通して、ライリー自身が作り上げるもので、それこそが個性でありこれからのライリーの人格になっていくのだと。
合宿最終日、高校からお声がかかるかプレッシャーの重圧の中で、友達2人とは別チームでプレーするライリーは序盤、自分ばかりシュートを決め、仲間にパスを回さず、友達にパックが当たって怪我をさせても響かないほど空回りしていた。
が、反則を食らい、ボックスで過呼吸になりながら、ヨロコビがシンパイを止めてくれてはたと気がつく。
友達を大切にするライリー、人の気持ちがわかるライリーを思い出して、謝りに行こうとすると、友達もライリーを心配してボックスに来てくれた。
謝罪して、試合後半からはギリギリ、自分らしさを取り戻したライリー。
実際の思春期は数年続くもので、合宿の数日間でおさまるものではないのだが、思春期までに培った人格やライリーの人間関係が、思春期のライリーを信じて支えてくれる。
それには、これまでのヨロコビ達感情の活躍がとても大きいと感じた。
ただ、私はヨロコビの仕切り屋さんで、周りの意見を聞かず、カナシミを顎で使うところが前作同様苦手である。同級生だったらまず仲良くならないだろう。
そして、ライリーは、ひとりっこで両親の期待を背負い、周りが自分に厳しすぎるというように、良い子だがかなり心配だ。
これは社会人だったら、責任感が強く鬱になりやすく突然出勤不可になったり自死してしまったりに陥りやすいタイプに見えた。
そうならないためには、「自分を信じて自然体で自信をもつこと」「周りに頼ること」が必要であり、ライリーは思春期のうちにそこに気が付いて習得することができた。
ひと安心。
自分のことを自分でする、
みんなでひとつのことをする、
みんなのためにできることをする、と来て、
思春期には、
自分がしたいことを見つける、
そのために自分を磨く、
周りと違う自分や不完全な自分を認める、
補って貰えるよう周りを信頼して頼る、
自分らしく周りに貢献する
と人間的成長の月齢であり機会も豊富。
兄弟もいないし、何ひとつ友達に相談しないライリーが心配だったが、これからは変わっていくのだろう。
ライリーが成長して大人になっていく過程の脳内をとてもわかりやすく凝縮して描いていると思うが、ヨロコビとシンパイ以外のキャラ達の出番が少なく、ライリーの脳内はほぼヨロコビとシンパイで回っているんだなとよくわかる。2人ともライリーのために頑張っているとはいえ、押し付けがましいんだなー。。
日本人の脳内だと、イッショとかもいそう。
謎キャラ、ポーチ。
みかずき様
コメントありがとうございます。
思春期をわかりやすく可視化表現した作品で、大人は登竜門通過後のためより共感できる内容でしたね。
実際には感情は時と場合に合わせてもっと複雑に絡み合い、人それぞれその時々で割合も様々だからこそ、折り合いのつけ方は人生通して学べるテーマにできますね。
みかずきです
本作を観て、感情が揺れ動いていた自分の思春期時代を、懐かしく、ほろ苦く思い出しました。思春期って、大人になるための登竜門だったなと改めて実感しました。
人間は感情の動物ですので、これからも、様々な感情たちと巧く折り合いを付けながら、自分らしく生きていきたいと感じました。
ー以上ー