「この映画を観てわかった気になったパパが、さらに距離を置かれてしまう未来が見えてしまう」インサイド・ヘッド2 Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
この映画を観てわかった気になったパパが、さらに距離を置かれてしまう未来が見えてしまう
2024.8.7 吹替 TOHOシネマズ二条 IMAX
2024年のアメリカのフルCGアニメーション映画(96分、G)
少女の頭の中を描いた前作『インサイド・ヘッド』の続編映画
思春期を迎えた少女の中で芽生える新しい感情を取り扱った青春映画
監督はケルシー・マン
脚本はメグ・レフォーブ&デイブ・ホルスタイン
原題の『Inside Out』は、「内なるものの露出」で、転じて「感情」と言う意味に通じる
物語の舞台は、アメリカのカルフォルニア州サンフランシスコ
13歳になったライリー(ケンジントン・トールマン/横溝菜帆)は、親友のブリー(Sumayyah Nurddin-Green/淺岡和花)とグレース(グレース・ルー/上原千果)とともにアイスホッケーに明け暮れていた
彼女は進学予定の高校アイスホッケーチームのエース・ヴァレンティーナ(リリマー/清水理沙)に憧れていたが、親友2人は別々の高校に進学することになっていた
ある試合で、チームのコーチ・ロバーツ(イベール・ニコール・ブラウン/村中知)の目に止まったライリーたちは、ヴァレンティーナたちが参加するキャンプに誘われる
3人は喜び勇むものの、出発前日の夜に「思春期タイマー」がライリーの中で発動してしまうのである
ライリーの頭の中には、ヨロコビ(エイミー・ポーラー/小清水亜美)、カナシミ(フィリス・スミス/大竹しのぶ)、イカリ(ルイス・ブラック/浦山迅)、ムカムカ(ライザ・ラピラ/小松由佳)、ビビリ(トニー・ヘイル/落合弘治)がいたが、そのタイマーの鳴動に慌てふためく
そして、工事作業員たちがコントロールルームに押し寄せて、突貫工事を始めてしまう
さらに、そこに新しい感情として、シンパイ(マヤ・ホーク/多部未華子)、イイナー(アヨ・エビデリ/花澤香菜)、ダリィ(アデル・エグザルホプロス/坂本真綾)、ハズカシ(ポール・ウォーター・ハウザー/村上)がやってくる
シンパイは、ライリーが高校でひとりぼっちにならないための作戦を作り出し、これまでのライリーらしからぬ行動を起こしていく
それに反対するヨロコビたちは瓶に詰められて、記憶の端っこへと追いやられてしまうのである
物語は、ライリーの思春期による葛藤を描き、自己同一性矛盾に抵抗する様子が描かれていく
彼女の根幹となっているヨロコビも自意識が強く、「良い子でいないとダメだ」という自己暗示をかけていく
そうした視野狭窄が新しい感情の受容に対して抵抗を見せていくという感じになっていた
ラストでは、両親に対して「秘密」を持ち始める様子が描かれるのだが、これは劇中で登場するクライヒミツとは趣が違う
いわゆる反抗期に入っているのだが、その変化を恥ずかしいと考えていて、それをクールに見せようとする装飾が働いている、と言えるのではないだろうか
いずれにせよ、少女期を過ごした女性、思春期真っ最中の少女に響く内容で、男子には「そうなのか~」ぐらいの俯瞰になるし、娘を持つ父親はわかった気になって、さらに娘に嫌われてしまうという感じに仕上がっている
字幕版の上映が極端に少ないのが難点だが、会話がかなり詰め込まれているので、映像をしっかり観たい人ならば吹替でもOKかなと思った
前作のおさらいは特に必要ではなく、5つの感情がベースになっていた、ということさえわかれば問題ないと感じた