「準備描写フェチ」サイレントナイト 自分BOXさんの映画レビュー(感想・評価)
準備描写フェチ
バイオレンスアクション系映画で目的実行のために体を鍛えたり、武器を用意したり、計画を練ったりと、色々下準備をする描写が大好きなんです、私。
で、今作サイレントナイト。
クリスマスにギャング抗争の巻き添えで、幼い息子を亡くしたおとっつぁんがギャング共に復讐すべく、次のクリスマスを決行日に決めて、それまでにひたすら鍛練と下準備を行い、クリスマスに殴り込みをかけるという大変シンプルなストーリー。
おとっつぁんは声帯を撃ち抜かれ声を発する事が出来なくなってしまっているので台詞がなく、ドラマパートも極限までシンプルに削ぎ落とされている。
それでも、息子を亡くした絶望で自暴自棄な生ける屍に堕ちる様子や、やがて復讐することに生きる目的を見いだす様子。復讐に取り憑かれて奥さんを省みなくなり、夫婦間の溝が深くなる様子がハッキリと見て取れるのは良い。
ドラマがシンプルな分、映画前半みっちり鍛練と準備パートに割いてくれているので、準備描写好きな私としては嬉ション物でした笑。
しかし、後半の復讐実行パートが…。
準備パートの段階で、「クリスマスに息子を亡くし自身も声帯を撃ち抜かれて生死をさ迷い入院~退院。失意の生きる屍期を経て、復讐を決意したのが4月で決行のクリスマスまで約9カ月。体を鍛える、格闘と射撃の訓練をする、ギャングアジトの警備を調べる、車を購入し改造しドライビングテクニックを磨く。出来るかぁ~?」と引っ掛かってはいたんですが、実行日には高レベルで全部出来てジョン・ウィックさながらに動けるのは「そりゃ、嘘だろ!」と突っ込んでしまいました。
ジョン・ウィックばりのスーパーマンになる説得力を持たすための、みっちり準備パートだったとしても、出来るレベルが高過ぎるって!それよりも、準備したけど出来なくてピンチに陥ったりする展開の方が渋くて好きなんだけどなぁ。
あと、ギャングのアジトにたどり着いてからのアクション…。
もう、敵が物陰から叫びながら飛び出してきたのを銃で撃つやつは止めません?アジトでのアクションが、あの古臭いやつの連続で眠たかったです、はい。
とは言え、ファンシーなトナカイのセーターを着たおとっつぁんがギャングの車を追いかけるオープニングや、まさに『復讐鬼』という言葉がふさわしい、鬼気迫る形相での鍛練準備パートはやっぱり良かったので、星3つはあげたい。
準備が強行スケジュール過ぎましたよね。
決行日に抗争が起こったのは、指を送りつけて敵対ギャングの仕業と勘違いさせたんだと理解しました。ただ、それなら抗争の現場に姿を現して正体をバラすより、抗争中で手薄な時にアジトに潜入すればいいんじゃね?とも思いましたが笑
そこは、画面を派手にするための映画的都合なんでしょうね。
習得スキルが多岐に渡りすぎてましたよね。
また、決行日にターゲットの両ギャングが抗争をしているというのも都合が良すぎました。
まさか4月からスケジュールが組まれてたわけでもないでしょうし。
調査する中で情報を掴んで、「ここで一網打尽にしよう」でよかったのでは…