「“コナンらしさ”を詰めすぎて」名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ) だんごくま56号さんの映画レビュー(感想・評価)
“コナンらしさ”を詰めすぎて
近年でかなりコナンらしさを感じた作品だと思いました。
酷評が多いようですが、
そもそもコナンという作品は、殺人ラブコメミステリーだったはずです。ラブコメ要素と謎解き要素が共存しているのは、かなり「らしい」のではないでしょうか。特に謎解き要素については、ここ数年では久しぶりのように感じます。
現実離れしたアクションだって、もはや鉄板もの。いつも通りのコナンに見えます。
ラブコメも、キッドとのバトルもコナンを構成する要素だと思います。
しかし、平次と和葉のラブコメと、キッドとのバトルは共存させる必要はなかったのではないでしょうか。
シンプルに函館でラブコメミステリーをするか、ただキッドとバトルすれば、ここまで複雑でわかりにくく、ストーリーが拗れることはなかったと思います。せめて新一と蘭のラブコメなら、キッドとの関係性の謎が明かされることも含めた一本の筋になるところを、わざわざ服部にする捻りを加える必要があったのでしょうか。
服部とキッドを対立させるために原作のエピソードを引っ張ってくるのもいただけません。ファンとしては大変嬉しかったですが、とてもライト層に適してるとは思えません。
そもそもコナンとキッドが対立する構図こそ平成のホームズvsルパンな訳で、キッドが服部のことを西の名探偵と称するのは違和感があります。ネタがない、と言って仕舞えばそれまででしょうが、、、。
YAIBAのキャラを出すのも蛇足でしたね。
キッドと新一の関係に迫るはずが、沖田も同じスクリーンにいては核心部分がぼやけます。ドッペルゲンガー揃っただけみたいになりますので。
紅葉たちの扱いも酷かったですね。場転のためと大人の事情で出てたように思います。要素が多すぎて蛇足的に感じられますね。平次のラブコメだけなら必要だったでしょうが。
近年は要素もキャラもてんこ盛りすぎて収拾がつかないところがやはりいけません。
しかし、特定のキャラのゴリ押しがなく、そこはすっきり観られたのも事実です。
20年くらい戻って、あの頃のシンプルな殺人ラブコメミステリーを観たいのはわたしだけなんでしょうか。