「色々バランスおかしい青山まんがまつり」名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ) とむさんの映画レビュー(感想・評価)
色々バランスおかしい青山まんがまつり
「第二次世界大戦時の戦況をひっくり返すようなすごい兵器」を求めて死の商人が各地に散らばった日本刀を探し奪い合う、って設定がそもそもムリっぽさ漂ってる…
古代超文明のロストテクノロジーで作られた、現代科学を凌駕する兵器とかならわかるけど、たかが戦時中やで? リトルボーイだって今お出しされてもフーンレベルでしょうよ。
素人の私でもわかるようなことを、劇中の誰も実際見るまで気づかないのかよ…と。この世界、コナンが優秀なんじゃなくて探偵役以外のIQが低すぎない?
まあ案の定、今となっては全くのガラクタだった「お宝」を乱暴に打ち壊して泣き崩れる犯人の姿は、初代ガンダムのオマージュかな?と思った。
これなら金カムのパクリと言われようと、金塊が本命のお宝の方が遥かに説得力あった。ちはやふるがヒットした年に紅葉作る!から紅やる!って言い出した青山氏ならそれで通してもまあみんな諦めるよ。
そして1番の不満はキャラ描写の雑さ。
ランネー=チャン封印、おっちゃんに至っては空気、阿笠博士と少年探偵団はバーターレベルに強引な出演、青子とか沖田とか知らないツダケンボイスの坊主とか別時空(ってわけでもないけど)からの訪問者多数。
青山作品クロスオーバーは古参ファンにとっては嬉しいかもしれんが、1人ずつの描写が薄味すぎて都合よく生えてきては去って行ったという印象が拭えない。
せっかく聖君に「和葉に惚れる」「亡き母と同じ医師を志す」面白そうな属性を盛ったんだから「あそこには和葉がおるんや! それでもやるんかお前は!」「罪もない人を大勢吹っ飛ばすんか、お前の母ちゃんと同じように!」とか言われて葛藤する、みたいな人間性を深掘りする描写に時間を割いた方が良かったのに。画面映え全振りでストーリー性も物理法則もガン無視のセスナ上の決戦。なんでや工藤。
ハワイで親父に教わってなかった平次は、爆弾は雑に捨てた(下が海か陸かすら見てなかったよね?)もののセスナを止められず結局爆発。
平次は犯人の胸ぐら掴んで説教するような、新一にはない熱さが魅力なのに。
爆発とかアクションとか新一と同じジャンルで活躍させようとするからなんか下位互換になってしまう。
和葉に思いを伝えるより新一よりすごい場所で告白する、にこだわって剣道大会もすっぽかすいい加減さも相まって、今回の平次はちょっとカッコ悪い部分ばかりが目立ってしまった。
そんな散々テンヤワンヤした後の告白シーン、本当の告白は原作で、というのはわかるけど、映画のオチに持って来るにはあまりに陳腐すぎてズコーだった。それを誤魔化すかのようにまだ原作でも描かれてない重大情報を映画で先バレ。
なんかテーマの決まってない雑フルコースの最後に超重いデザート出してきたぞ、みたいなバランスの悪さが目につく。
子供が紺青や黒鉄を気に入ってよく見てるから、映画デビューにと思って連れて行ったけど途中で「飽きた」って座席でグネグネしてた。
話のテーマ自体は難解で子供向けじゃないし、大人からしたら鼻白むような雑な展開だしで、キッドさえ出てくりゃ満足するような限界オタにしかウケない残念な仕上がりだった。