「コナンでさえも戦争を描いてしまったこの時代が恐ろしい。」名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ) みみみさんの映画レビュー(感想・評価)
コナンでさえも戦争を描いてしまったこの時代が恐ろしい。
漫画、アニメ全話読了済
テーマ性、キャラ立ちは良し。サウンドやオープニング映像が素晴らしく、今ではオープニングに出る「名探偵コナン」部分の映像動作は派手では無いが、その分オープニングのキャラクターの動きやデザイン、カットの変わり方がオシャレだった。
桜が吹雪く時のSEもよく、刀を扱う謎解きとして相性が良かった。
ただ、あまりにも登場人物が多すぎる。歴代で最高記録のキャラ数では無いだろうか?
物語に意味を持たせてはいたが、複数のストーリーがごちゃ混ぜになることによって、それぞれのアクションシーンが散りばめられ、波乱性がある。
個人的にはひとつのアクションを濃密にする方が好きなのと、ツッコミどころがあるものは好きじゃないためアクションは例年よりも評価が低い。
そして、謎解きに重きを感じられなかった。
例年通りであれば、謎解きとアクションに一貫性は少なからずあったが、この作品では要所が多いため、微妙。全てを成立させるためにはしょうがないことではあったが、あまりにも濃すぎる。
ただ、福城聖がいることによって、少ない部分ではあったが、戦争の悲惨さや残された遺族の想いという点では、いて良かったキャラクターだとも言える。
爆撃で死んだ母を持つのならば、あの最終手段を起こせるとは思えない。それでもやらなきゃいけないことだとし、爆撃を爆撃で返すという愚かさを彼を通して描くのならば、この行為がどうして愚かなのかという批判を持つことの出来る理由にはなったので、必要性はある。
また、平次が福城聖に言った「親父とお前の意思は別」というセリフで、福城聖とキッドの共通点が出る。平次が映画に出た理由がわかったため、福城聖のキャラの重要性はかなりあった。
日本では戦争を昔あったこととして表現することが多いが、近年ではコナンやドラえもんなどの幼児向けアニメ(今となっては大人向けとも言われるが)でさえ、戦争というワードを出し始めている。
これは恐ろしいことだが、昔は創作物に戦争テーマが多く出される年代は、戦争が進むことが多かった。
現代の創作物では戦争を促進させるのか、それとも止めることが出来るのかという点が、重要でもあるため、今年は何かしらあるのかもしれないとも考える。
プリキュアは戦いをやめて、ドラえもんは抽象物と戦った。コナンでは、直接的表現で戦争を表した。(少ない部分ではあるが)
それぞれの戦いの表現の違いは、戦争とのそれぞれの付き合い方があったのでは無いだろうか。
危機感を我々も持つべきである。
映画の最後には予想ができていたが(キッド関連)、そうであって欲しいと思っていたため良かった。