「BFF」リトル・エッラ ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
BFF
監督の前作「ロスバンド」が年間ベスト10に入れるくらい好きな作品で、あの優しさに満ち満ちた世界を作った人の新作が楽しめるのかと公開日までワクワクしており、初日に劇場に突撃しました。
監督の舞台挨拶付き上映に行きたかったんですが、あいにく予定が入って遠出をするため叶わず…。でも初日特典のステッカーが貰えたのでハッピーです。
前作の大人びたガールとは打って変わって、今作は等身大の子供、ワガママ全開な子供が主人公で、振り回しまくりの彼女がどうやって成長していくのかというのが主題に添えられており、みなぎるパワーを感じる作品になっていました。
両親が謎に放置的(展開的には仕方ない)で、そりゃ優しくしてくれる叔父さんのトミーに懐くわなと思いましたが、それもあってあんなにワガママになったのかなと腑に落ちるところもありました。
正直言ってエッラの行動はやり過ぎなところが多く、いい加減にしなさい!と怒りたくなるくらいには行きすぎた行動があってその部分が全開になっているシーンは乗れませんでした。
大切な人が取られるってなって、スティーブにあやれこれやするシーンはまだ可愛げがあるんですが、砂糖を塩にすり替えた辺りから行動が激しくなっていき、徹底的にポーラに嫌われるように仕向けるのは子供っぽさとかではなくシンプルにマセたクソガキだなと怪訝な目で観ていました。
オットーから貸してもらったネズミをカバンに入れて驚かせようとするも、驚いたのはトミーで、始末されそうになるという大変な事になっているのに、悪びれる事なく嫌がらせを続けますし、オットーにもいなくなった事を責められると逆ギレしたりと、身勝手さは流石に許容できませんでした。
スキンヘッドが嫌われると聞いてからの行動はかなり狂気じみていて、トミーがヘアリストだからハサミとかを持っているにしてもそれを勝手に使って前髪を切ったり、バリカンでスキンヘッドにさせようとしたりと、一歩間違えたら大怪我をさせてしまうところを無邪気さで片付けてはいけないよなとビクビクしながら観ていました。
殺人を犯す人の第一歩といってはなんですが、幼少期でここまで嫉妬に狂っていたら、大人になってからの嫉妬とかもうどんなレベルになるんだろうとホラーよりも怖いものを感じてしまいました(この後にオーメンを観たんですが、今作の方が怖かったです笑)。
同性愛が自然と盛り込まれており、それを冷たい目で観る人がおらず、トミーとスティーブも真剣に愛し合っている様子が素晴らしく、今作の中でも飛び抜けた美点だったと思います。
どうしても邦画や某夢の国の作品なんかは、入れるとくどさと説教くささが感じられるので、ここを作品の一部を強調させるためではなく、作品に滲ませているところにも強く共感を覚えました。
サッカーのシュートで中々ゴールが当たらないという伏線がデイビッドを空港で止めるための伏線になっていたとは…これは一本取られました。ナイスシュート!と思わず叫びたくなりました。
少し成長して、オットーとも仲直りしてBFF(Best Friend Forever)になってみんなとサッカーを楽しむという優しい終わり方になっていたのは良かったです。
今作はエッラの行動をどこまで許容できるかによって大きく評価が分かれるなと思いました。
自分は行きすぎた行動にはイラッとさせられましたし、子供だからと許してはいけないと思ったのでそこはマイナス点でした。
前作が好きすぎるが故に期待値が上がってしまったというのもあるのですが、ちょっと物足りなかったかなぁと思いました。
自分の子供がいるかいないかで評価が変わるのかなとも思いましたし、挑戦的な一本だったんだと思います。
鑑賞日 4/5
鑑賞時間 12:20〜13:45
座席 H-7