「ヤジッドを育てたのは「温かな見守り」」パリ・ブレスト 夢をかなえたスイーツ talkieさんの映画レビュー(感想・評価)
ヤジッドを育てたのは「温かな見守り」
<映画のことば>
お前には才能がある。
伸ばすべきだ。ムダにするな。
昨日のデザートには感心した。
食べたら、昔の記憶がよみがえった。
お料理もそうですけれども。
やっぱり、お菓子も、喜んで食べてくれる人がいるので、作り甲斐があるのかも知れません。
ヤジッドが、一流のバテシェにまで登り詰めることができたのは、やはり、周囲に彼を評価してくれる人がいたからに他ならなかったようです。
彼に家庭を与えてくれた里親夫妻しかり、職を賭してまで彼を庇(かば)おうとしてくれた不遇な児童養護施設(?)時代の寄宿舎の舎監(?)のサミーしかり。
母親はともかく彼らは、ヤジッドの甘いお菓子づくりを、温かく見守る=温かな視線で肯定的に受け止めていたことが、将来のこの偉業に結びついているのでしょう。
不遇な少年時代にも心が折れてしまわなかったのも、そういうバックボーンがあってこそとも思います。
どの分野でも、そうなのかも知れませんけれども。
新しい価値や真理を見いだした者だけが評価されるという芸術や美術の世界と、料理(美食)の世界も変わりがいのでしょう。
思うように「芽を吹く」ことができない中でも、MOF(国家最優秀職人)でもあった憧れのシェフのプロマイドをずっと大切にして身近に飾っていられたというのも、ある意味、凄いとも思います。
そのことに思いが至ると、これはもう、充分な佳作だったと思います。
評論子は。
<映画のことば>
「シェフ、一番になる方法は?」
「場合による。
一番と天才、どっちがいい?
その分野の規則を守れば一番になれる。
守らなければ、排除されるだろうな。
もしくは、天才と呼ばれる。」
(追記)
<映画のことば>
長方形のデザートには、長方形の皿だ。
形の組み合わせが、調和を生む。
簡潔さと洗練は違う。
盛りつけは、気品あるべし。
君らのクリエーションは、まず視覚に訴える。
口よりも先に「目の味覚」を刺激するんだ。
なるほど。
どの料理も100円ショップで買ってきた同じ皿を使っていて、盛りつけに気品がないからだと、自炊をしている評論子の料理がイマイチな理由が分かりました。
いやぁ、映画って、ホントに勉強になります。
…という輕口は、それくらいにして。
しかし、実際には心を込めることの方が、本当は、お菓子づくりには大切なようです。
幼い頃のヤジッドが一生懸命に作った四角いチョコレート菓子は、たぶん、それしかなかった丸いお皿に乗っていました(形も崩れていた)けれども。
それでも、そのお菓子には、彼の心がこもっていたことには、疑う余地もないことです。
(追記)
心配するな、人生は長い。
目標だけは見失うなよ。
失敗は負けじゃない。
成長の機会だと思え。
壁に当たっても、立ち直ればいい。
共感ありがとうございます。
食も芸術の一つだと改めて認識しますね、おそらく味覚が衰えたら魅力が失われる残酷さ。
最後のコンテスト、日本チームが高評価でほっこり。