「自己愛パーソナリティ?」Saltburn 鱸さんの映画レビュー(感想・評価)
自己愛パーソナリティ?
題名の字体がややグネってるので読むのを諦めてしまったが「ソルトバーン」と読むらしい。ちょうど微妙なドラマを中途半端に見てしまい、何か適当な作品で口直しをと思いAmazonprimeを漁っていたら発見。作品説明欄にナンタラ賞を受賞と書いてあったのと、フェリックスが綺麗な顔をしていたので手を出してみた。
荒い映像で、画面の幅が狭いので昔の作品なのかな?と思いながら見ていたら、公開されたのが去年の12月とあって驚いた。話題のスリラー作品はチェックしてるつもりだったのに全く知らなかった。映画comのレビュー数が少ないのは日本でまだ公開されていないから?
一番最初のフェリックスの映像とオリバーの語りを聞いて、邦画の「チワワちゃん」みたいな危なっかしいけど、その不安定さと顔立ちの良さで人を惹きつける人が、最後は行方不明になっちゃう系か、それとも陽キャに複雑な感情こじらせる陰キャBLかと思ったら、、、。まさかの展開。オリバーの嘘がバレる(それも無様に)シーンや、イケメンしか許されない言動の数々に再生停止ボタンを押すこともしばしばあったが、その見ていられなさもこの作品の魅力なのだと思う。切実に映画館という目を背けられない環境で見たかったと思う。
フェリックスがかっこいい。オリバーが横にいるせいか?わざと腕や足の長さ、肩幅の広さが際立つような服や身体の動かし方をしているのだろうか、とにかくかっこよかった。最初あれだけ強調したのに、死んでからはほとんど出てこないし、結局オリバーの目的を達成するための手段でしか無かったみたいなので個人的にはちょっと残念だった。単に観客をミスリードさせるためのものだったのかも。
ハリーポッターを意識しているのか、それともイギリスはどこもそうなのか、食堂の椅子や机、人の配置がどことなく似ている。確か途中でハリーポッターの話をしていたような。ソルトバーンの庭の迷路はどう見ても炎のゴブレットの例の場所にそっくり。そういえばどことなくフェリックスはセドリックに似ているような。
パメラやファーリーを追い出すためのあれこれとか、同情を誘うための嘘とか、まさに自己愛っぽいなと思ったけど、それならフェリックスやお姉さんを殺すのではなく、上手いところ懐柔させて欲しかった。途中まではそのつもりだったけど、嘘がバレて流石に修復不可能だと思って作戦変更したのかな?お姉さんにもクモの巣張り巡らせてるのバレバレだったしね。お父さんに関していえば、屋敷を追い出されてどのくらい経ってからの出来事なのか分からないが、そこまで歳が言ってるようには見えなかったので、老衰で亡くなったのだとしたらちょっと違和感がのこる。
作品説明に「名門大学の特権と欲望がなんたら」とあったけど、後半全く一流大学要素がないし、オリバーの惨めさを演出したいなら余計なノイズでは?と思ったけど、まあそしたらほんとにしょうもない大学生になってしまうから、仕方ないか。