「成り上がり・・・貴族に憧れた青年」Saltburn 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
成り上がり・・・貴族に憧れた青年
「プロミシング・ヤング・ウーマン」のエメラルド・フェネルの
監督第2作目。オリジナル脚本もフェネル。
日本では劇場公開されなかったのは、それほどの観客動員が見込めないって
ことでしょう。
2006年。優秀だが家柄も悪く容姿も冴えないオリヴァー・クイッ
は(バリー・コーガン)は、
オックスフォード大学のキャンパスで浮いていた。
しかし自転車がパンクして困っていたフェリックス
(ジェイコブ・エロルディ)に、
自分の自転車を貸したことから、友達の仲間入りをする。
入学直後、オリヴァーの父親がドラッグの過剰摂取で死亡する。
母親も精神に問題を抱えているとオリヴァーは落ち込む。
それに同情したフェリックスは「SALT BURN」にある私邸に
彼を招待してくれる。
そこは貴族のお屋敷だった。
ヘンリー3世から8世までの肖像画が廊下に並び、ライブラリーには
シェイクスピアの初版本がズラリと並ぶ。
そして美術品や16世紀のガラス器など金目のものがズラリ。
夕食はタキシードの正装でフルコースを食べるのだ。
そんなお屋敷で貴族の真似事をするオリヴァー。
フェリックスの家族は変わり者で姉は摂食障害に精神も不安定。
しかしオリヴァーは次第に家族に食い込んで行く。
父親の死で母親が悲しむのを見兼ねたフェリックスはオルヴァーの故郷に
無理やり連れて帰る。
すると普通の中産階級の持ち家に死んだ筈の父親は生きており、
精神疾患の母親はオリヴァーの帰りを待ち誕生日のケーキと
夕食を用意してあった。
オリヴァーは不幸な生い立ちと偽っていたのだった。
2人の間にひび割れが入る。
そしてフェリックスに悲劇が・・・。
パーティーで深酔いした夜、家の迷路にハマって
死んでしまうのだ。
弟の死を受け止められない姉が浴槽で手首を切って自殺する。
フェリックスの父親のカットン卿から、
「幾ら払えば出ていってくれる?」と言われたオリヴァーは
屋敷を後にする。
そして数年後、フェリックスの母親(ロザムンド・パイク)と偶然再会する
オリヴァー。
「近くにアパートを借りてるのよ」
その後はなぜか駆け足で、
ロザムンド・パイクは意識不明で人工呼吸器を付けられて
寝ている。
鼻歌混じりに人工呼吸器を外すオリヴァー。
そしてラストはカットン家の屋敷と財産を手中に収めたオリヴァーが、
全裸で「マーダー・オブ・ダンスフロア」の曲に合わせて狂ったように
全裸で踊りまくるのだった。
《オリヴァーの目的なカットン家の家柄と財産だったと言うお話し。》
オリヴァー役のバリー・コーガン。
「聖なる鹿殺し」や「イニシェリン島の精霊」で独特のヤバさを漂わす
性格俳優だが、風采があがらず捻じ曲がった性根の男を演じさせたら
天下一品。
共感はしないけれどそれなりに面白い映画だった。