もしも徳川家康が総理大臣になったらのレビュー・感想・評価
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この政権の手法を本気で望む人がいたら、少し立ち止まって考えなおしたほうが良い
2024.7.26 イオンシネマ京都桂川
2024年の日本映画(110分、G)
原作は眞邊明人『もしも徳川家康が総理大臣になったら(サンマーク出版)』
コロナ禍で崩壊した政府の代わりに偉人をAIで再現して政権を任せる様子を描いたコメディ映画
監督は竹内英樹
脚本は徳永友一
物語の舞台は、2021年の日本
コロナの影響にて政権が崩壊し、その臨時措置として、AIによって偉人を復活させることになった
日本党の幹事長・御子柴(酒向芳)主導のもと、臨時内閣が発表され、総理大臣には徳川家康(野村萬斎)が選ばれていた
彼らは1年間限定の臨時内閣だったが、その強引な手法に国民は困惑し、発足当時の支持率は散々たるものだった
だが、織田信長(GAKCT)の人気、豊臣秀吉(竹中直人)の強引な改革が支持され、人気はどんどん上がっていった
テレビ局の社会部の新人記者・西村理沙(浜辺美波)は、上司の諸本(梶原善)から取材をしろと厳命され、幹事長の坂本龍馬(赤楚衛二)に単独取材を試みる
龍馬は素直で単純な理沙を気に入り、隠し事をすることもなく、政権の目論見を教えていくのである
映画は、偉人たちが政権を担っている様子を描いているが、実際にはAIが政治を担っているもので、そのAI製作者の目論見というものが隠されている
偉人という隠れ蓑によって首謀者の思惑が逸らされる感じになっていて、これは現在の政局でも使われる手法である
表面的なものに騙され、劇場型選挙に傾倒する国民を眺める内容になっていて、リアルだと「何らかのかたちで有名になった中身のない人」を政治家にして、裏で糸を引いている政治家がいるという構図とまったく同じだったりする
今回は、コロナ禍でもあり、あの時にして欲しかったこと、あの時こうすれば良かったというものをぶちまけていて、それが政策の共感性に結び付いているのだが、これをリアルと混同する人がいたら結構ヤバいと思う
客観的に観れば、そこで行われている政治は恐怖政治であり、それを武士道でコーティングして、さもカッコいい感じになっている
後半では心に響く演説というものが延々と垂れ流されるが、ここまで理想論ばかりだと醒めてしまう人もいるのではないだろうか
現在の政治家は、政治家たる人間が私利私欲のためにポジションを悪用して、負担だけは国民に強いるという現状があるので、AIホログラムが何を言っても、騙されるのは表層だけを汲み取っている国民や、それを誇張するマスコミに騙されてしまう人だけのように思えた
いずれにせよ、コメディ映画として眺める分には面白いが、ここで行われるような政治が現実的に起きたら結構ヤバいと思う
国民の理解をもって、ある方向に誘導しているというよりは、状況を利用して扇動している部分もあるので、ここまで事が運んだら相当なことだと思う
見かけ上は国民ファーストっぽい政策が多いが、給付金を捻出するために企業から内部留保を奪っても、結局はそのしわ寄せは従業員に来る
また、農業改革と言っても、非就労状態の人員を無理やり動員するということになるので、職業選択の自由とかもなかったりする
コロナで職を失った人が、未経験の農業に駆り出され、それに参加しないと非国民状態になって、世論から抹殺されるということ考えれば結構無茶なんじゃないかなあと思ってしまった
コロナの影響を受けて、実際に職を失った人が見ればたまったものではないと思うので、あくまでも影響をそこまで受けなかった人が上から目線で眺める映画のように感じた
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