「政治エンタメ面白い」もしも徳川家康が総理大臣になったら Scottさんの映画レビュー(感想・評価)
政治エンタメ面白い
面白いね。
新型コロナによる危機を救うためにAIで歴史上の偉人を蘇らせて政権を任せるの。
良く知ってる信長、秀吉、家康が中心で、家康が総理大臣になんのね。
登場人物のキャラクターを良く知ってるから、そこを強調して描かれるだけで、面白く観てられんの。
しかし主人公は浜辺美波が演じるテレビ局政治部記者なのね。
これは効いてないの。恐らくこの作品、浜辺美波いなくて成立する。
最後にジャーナリズムの重要性を託すから、テーマ的に主人公は浜辺美波だけど、うまくいってないの。
あと物語のクライマックスが家康の演説なんだよね。
エンタメで引っ張ってきて、最後に思いの丈を演説させたい気持ちも分かる。チャップリンの《独裁者》がそうだしね。
でもこれ成功させるには、《独裁者》ばりの名演説が必要なの。時代的に、それでも難しいかも。
ということで、この辺から観客は「ふーん」ってなる気がすんの。だからテーマは届いてないんじゃないかな。
直前に秀吉が「いまの大衆なら独裁政治で十分だ」って感じで悪役になって突っ走って、それを家康が止めることになるんだけど、ここ、どうだろうね。
意外と家康も「いまの日本なら、緊急回避的に独裁制でいいな」と言いそうな気もしたな。
民主主義 vs 権威主義っていう、どちらを取るのか、いま世界中でみんなが悩んでる話なんだよね。
日本は民主主義を取ってるけど、「政治は誰かがうまいことやっといてくれれば」っていうあなたまかせの雰囲気が強いから、権威主義にして、物事を効率的に進めるという考え方も、十分に強い主張だと思ったな。特に家康みたいな名君がいるならね。
新型コロナのときに、家康、秀吉、信長みたいに歴史に名を残す、大きな決断ができる政治家がいたら、確かに色んなことがうまくいったかもね。
でも逆に、そんな優秀じゃなかったのに、みんなで、ああでもないこうでもない言って、主張の違いによる対立や分断も出たけど、どうにかこうにかここまで持ってきた。
家康なんかから見たらチッポケな人材だけど、それでも僕ら、けっこう頑張ったんじゃないかな。
立場が違う人達も含めて「僕ら、まあまあ良くやったよね」と、なんか仲間意識を感じたよ。
映画のラストシーンで衆議院議員の投票率が70%を超えるってなるんだけど、これがどうにかして実現したら、すごくいいだろうなと思ったよ。