ディア・ファミリーのレビュー・感想・評価
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東海メディカルプロダクツ
難病を抱えた娘の夢を
叶えた家族の話
この作品の凄いところは
モデルになった開発品が
延べ17万人の命を救い、今も
救い続けていて、
その開発者本人が現役で
存命しているリアル性
全然しりませんでした
本作は、日本製バルーンカテーテルの
開発の軌跡
それは、
人工心臓の開発で得られたノウハウを
活用して世に生まれた
心臓の弱い娘を救うために
世にない人工心臓を作ろうとした
父親とそれを支えた家族が
生み出した
億単位の投資に、恥も外聞もなく
奔走しあきらめない親
守り続けた家族
「さぁ次はどうする?」って
何度聞いたろう。
もう助からないと悔しがる父の
宣政に
娘の佳美が残した言葉
「これからは、その知識を
苦しんでいる人に使って。
私の命はもう大丈夫だから。」
日本製バルーンカテーテルが
家族の夢になったシーン。
そのどこまでも前向きな家族の
生きざまに釘付け
レビューに皆さん書かれているように
枯れるほど涙が溢れます。
おすすめ。
娘を持つ父は絶対に観てはいけない映画
ハンカチなしでは語れない
開始直後から最後まで涙が止まらない。。
深い娘への愛が世界中の患者を救う。
娘2人を持つ自分が、心揺さぶられないわけがありません。素晴らしすぎます。
始まって早々、早い段階から最後まで、涙が止まりませんでした。
特に、肩揉みからの大泉洋の号泣シーン。嗚咽しないように歯を食いしばりました(涙)
会場内でも同じような人がかなり多くいるように見えました。
今まで見てきた大泉洋さんの中で1番かっこいい
紅白歌合戦や、有名な水曜どうでしょうなど様々なテレビに出演している大泉洋さん。テレビなどで大泉さんの姿をたくさん見てきました。
今回見たこの「ディア・ファミリー」の大泉洋さんは、とても不器用で、男らしく、がむしゃらで、かっこいい大泉洋さんでした。
映画の予告にも入っていた福本莉子さんの「私のことは、もういいから。」というところや、最後の記者役の有村架純さんのセリフには本当に心が打たれました。
一言でまとめるなら「一人はみんなのために、みんなは一人のために」だと思いました。
私事になりますが、親いわく、僕自身も産まれる時とても危ないような状況でこの世に生を受けたそうです。
この映画に出てきた、バルーンカテーテルを使っているかどうかは定かではないけれど、医療技術の進歩していく過程を映画を通して見れて良かったと思ったし、それと同時に「生きていてよかった」と感じさせてくれる映画でした。
自分も父親になったら、子供とまっすぐ向き合って生きて、「夢」を叶えてあげられる父親でありたいと思いました。
全てを前進するエネルギーに
劇場で予告編を見る度に「泣かせようとしている映画」感が強くて(こういう宣伝は苦手)、どうしようか迷ったが結局観に行った。
鑑賞してみると、そこまでベタなお涙頂戴物語ではなかった。
まず、映画の主人公のモデル、筒井宣政氏の生き様は本当に凄い。
この作品が高評価になっているのは、映画の元になった実話の持つ力が一番だと思うが、それを映像作品として届けてくれた俳優陣の力も非常に大きいと思う。
主人公坪井宣政を演じた大泉洋。水どう時代からかれこれ30年近く見てきたが、すっかり俳優になっちゃって。
妻・陽子役の菅野美穂。歳を重ねてもかわいく、力強い。
長女役の川栄李奈。おバカキャラだったのも演技だったのか?というくらい演技上手くなってますね。
観ながら、それぞれの俳優達の昔を懐かしんでしまった。
佳美役の福本莉子は、これからどんな風に成長していくのか楽しみ。
観ていて思ったのは、宣政という人は、娘が不治の病で余命宣告されたという悲劇も、医学界の壁(非協力的な教授)も、資金難も、ありとあらゆる逆境を反転して前進するエネルギーに変える人だということ。いや、彼自身だけでなく、それを支える家族がそうさせているのかもしれない。このような逆境がなければ、彼の偉業はなかったのではないか。
平日遅い時間帯の鑑賞だったが、老若男女、館内あちこちから静かに涙を流す声、音が聞こえてきた。私は淡々と観ていたが、夜、佳美が宣政に話しかける場面でついに堪えきれなくなった。この夜の娘の言葉が、宣政に最大の前進エネルギーとなったに違いない。
家族の絆、前向きに生きること。そうしたことの大切さを静かに伝えてくれる作品。
(2024年映画館鑑賞17作目)
家族一人一人がdear family
ザ・パワー・オブ・ラブ!
感想
諦めない気持ちと何かの役に立つ事を信じて進んで
いく気持ち。
人生、生きていれば何が起きるかわからない。名古屋で町工場を営むある男の家族の一人の娘に在った、先天性心臓疾患。現代の医療技術では人工心臓を創る他は治癒の手立てが無いなか、技術屋気質の父親である男は知識、情報不足ではあるが、娘可愛や。子の命を救いたい一心に奮闘し、驚異の粘りを魅せて医療に携わる者の人心を掴み、動かし、人工心臓を創り出そうする。しかし10年という時が経過してもその努力が報われる事無く、人工心臓の開発は様々な医療的、社会的事情により中止に追い込まれる。
家族とその娘は何も手を施さなければ20歳までに寿命が尽きる事を無念無情の想いではあるが冷静に受け止めていく。
父親である男は自暴自棄となり、今まで時間と労力と財力の限りを尽くし切ってやり遂げて獲得したノウハウを一旦は全て破棄しようとするが、同じ心臓疾患を患う人々の為に何か役に立つ事ができないかを模索し始める。
それは己れの身を犠牲にしてまでも進める医療技術の開発向上が無念の死を遂げる事になった娘の為になるという揺るぎ無き愛娘への愛情と医療機器開発への信念と自信であった。
結果として男の人生を賭して愛娘の為に関わり続けた人工心臓の素材研究が功を奏し、最終的にIABP(大動脈内バルーンパンピング)バルーンカテーテル開発に繋がり、多くの心臓疾患の患者の生命を救う事になった。
脚本・演出・俳優 ◎
私は鑑賞前に作品解説は一切見ない主義である。映画そのものを観た上での感想をモットーとしている。この映画は表面上、観る前はよくある親子のお涙頂戴物かという印象であったが、それはとんでもない誤りである事に本作鑑賞直前に気付く事になった。そうであろう、キミスイの月川監督に糸の林民夫氏が脚本なのだから。うーむ。やってくれたという感じ。原作は失礼ながら知り得ず。すみません。スタッフの名前位事前に確認しろよ。という話。
この話は実話をもとに作られているという。実話ならではの人工心臓に対する医療技術のままならない現状と心臓疾患医療器具開発のプロセス等を中心とする膨大な情報を元にした骨太のストーリー展開、父親をはじめとする家族の娘を思い遣る気持が心に突き刺さるように伝わり、悲しみと感動の涙が自然と出てきてしまった。演出・脚本共に掴みどころがよく判っている出来栄え。◎
こんなにも感動した理由は何であるかと、考えてみると、それはどんなに逆境の中であっても、アウェーで過酷な状況下であっても、その時に出来る最善且つ最高の判断と努力をし続けた父親の、人として観ても素晴らしい!前向きでひたむきな心であり、親として、人としての愛情が感じられるその性格である。なかなか出来ることでは無い事を果たした事が賞賛に値する。
「次はどうする?」という台詞が前向きで心に残り、全力で解決してやる!というような、本当に生きる上での力を与えられた。
主演の大泉洋さん。というより洋ちゃん。白眉の演技。21世紀の森繁と呼ばれる日も近いかも。洋ちゃん素晴らしい。大物俳優と言われてもいつまでも、いつもの洋ちゃんのままでいてください。◎
光石さん。渋い演技で物語が引き立ちます。◎
菅野さんも最近は本当にお母さん役が落ち着いて見える。素晴らしい女優さんです。◎
他、というは失礼なほどの豪華共演陣。戸田、有村、徳永、川栄、福本、新井、各女優陣の皆さん演技巧者で素晴らしい。
満島、松村、上杉他各男優陣も安定の演技。中でも上杉さんに注目しています。あと、すみませんお名前わからず。よく見る役者さん。工場の中村役の方が印象的。
⭐️4.5
日曜劇場で
車から家具、家電、ファッションが懐かしい
上半期最高の泣ける映画
合言葉は「次はどうする?」
前提としてこの作品は事実に基づいているため、シーン1つひとつの説得力が大きく、その他の作品と比較してより大きく感情を揺さぶられたように感じる。
実際に私も含めて中盤から号泣している人が続出し、鼻をすする音が常に聞こえるような状況だった。
・どんな困難な状況でも前向きであり続ける父親。
・人前では気丈に振る舞い、決して涙を見せない父親。
・家族のためなら寝食を忘れて没頭する父親。
・家族と交わした約束を最後まで絶対に諦めない父親。
泥臭くカッコ悪いようで、世界一カッコ良い父親の姿を教えてもらえる作品。大泉洋の迫真の演技にスクリーンの全員が釘付けになった。
作品の至る所で出てくる「次はどうする?」というワード。待っているだけでは何も始まらない。今動かなければ娘の命は無い。未来を切り開くことは出来ない。「これからどうするか」という点では、アドラー心理学のような究極の自責思考で人生を死に物狂いで掴み取る勇気をくれる作品だった。
主題歌のMrs.GREEN APPLEも映画とマッチしていて素晴らしかった。冒頭の「扉の先には何があるか分からないけど誰かがきっと貴方を待ってる。」という歌詞でまた涙が溢れてしまった。
【大号泣】役者陣の熱演に、1年分の涙が出た!!
大泉洋君の演技は圧巻で、初めて彼をリスペクトしました👍
菅野美穂さんは、どんな役柄でも安定感があります👍
トドメは、福本莉子さんの、健気さ&切ない演技に大号泣でした💧💧
物語は、実話をベースに丁寧に描かれていると推認されます。
お涙頂戴に終始せず、その先の希望も描かれているエンディングも最高でした!!
上映時間・二時間弱、ほぼ泣きっぱなし💧
紛れもなく最優秀作品と断言します👍
いやー泣ける、実話ベース
予告からうるうるしてしまいます。ある意味予告通りではありますが、予告通りでは無いとも言えると思います。
王道で予告通りでもここまで泣かされるとは、実話ベースと思ったらたまらないストーリーですね。
良い意味で、単純に泣けて幸せになる万人受けする映画ですね。
予告で、福本莉子と松村北斗の名ゼリフ。
娘にあんなこと言われたらもう無理でしょう。
そしてあのセリフにはちゃんと続きがあります。
大泉洋の涙。あそこがピークなのだろうと思っていましたが、開始60分であの名ゼリフ。あれ、このあといったい?と、思っていたよりも話は進みます。
詳しくはネタバレしませんが、予想していたラストでは無く、そのシーンすらない。考え方を変えれば、「希望」と物語だと思います。
はじめは自分の娘の命しか見えていないちょっとワガママな父親。自己中とも言えます。ほかの娘が亡くなっても常に娘を見ています。あの状況では当たり前なのですが。
あの一言から、それ以外にも目が向き始めるそこからがこの物語のメイン部分と言えます。
そういう意味で、単純な親子と命のストーリーとは違い、予告を裏切る展開といえますね。
ちなみに、実話ベースというところも泣ける。
所々、嗚咽レベルですね。
自宅で一人で見てたら号泣してそうです。
帰り際、「これって実話じゃないよね?」って声が聞こえましたが、確かに、これは実話じゃないと、「そんなバカな」「そんなこと言える?」と作り話だったらリアリティが無いかもしれません。しかしこれば実話ベースなのです。
私は子供が大人を気遣って無理をしたり頑張ったりするシーンはどストライク過ぎて泣いてしまう。
月川監督って、高校生の恋愛映画のイメージでしたが、人間ドラマも行けるのですね。
キミスイも泣けたなぁ、、、あんな泣ける映画はなかなかない。難病少女という意味では同じか。
あと、他の映画であれだけ予告を見させられれば、どうしようも無いのですが、あの名ゼリフ、名シーンを知らずに観られたら、、、もっと良い映画なのだろうと。
今年こそ、最優秀主演男優賞だ!
最優秀PR俳優賞って部門作れば毎年大泉洋だな。
面白かった
人工心臓諦めるまではテンポ良かったけど、後半は少し冗長に感じました(人によるとは思います
光石研さん演じる教授の手のひら返しがあまりに極端で、ちょっとそこは飲み込めない感じでした
大泉洋さんが良かったのですが、何気に川栄李奈さんも良かったです。
可もなく不可もなく
自分的にはなんとなく盛り上がりに欠けるような作品に感じました。実話をもとに作っているのでそこは仕方がないかとは思います。役者陣の方々は安定の素晴らしさでした。内容はベッタベタな感動ものかと思いきやそうでもなかったです。特に良かったわけでもなくすごく悪かったわけでもないのであまり書くことが思いつきません。
人間の可能性という言葉では表せない。未知的な何かがあることを引き出せた本作を多いに評価したいと思います。
何事も淡々と、諦めがいいのが当世流。低成長、停滞期が長く続いたし、夢や希望は持つだけ無駄。しかし執念やド根性が、不可能を可能にすることもある。しかし医療のずぶの素人が、いきなり人工心臓の開発に取り組むという話になると、いささか無謀に感じます。
それでも本作の主人公のモデルは、心臓疾患の娘を救うため、私財を投じて人工心臓の開発に挑んだのです。不可能と思われた挑戦は、やがて画期的な医療器具の誕生へと実を結びます。娘を救うことはできなかったものの、この発明は後に、世界中でこれまでに約17万人の命を救くうこととなったのです
主人公のモデルとなったのは愛知県春日井市の医療機器メーカー「東海メディカルプロダクツ」会長、筒井宣政さん(82)。今でもご存命で取材陣が訪ねると、年齢を感じさせない力強さで、映画化の経緯や今の思いを語ってくれるといいます。
その筒井さんの体験をノンフィクション作家・清武英利さんが『アトムの心臓「ディア・ファミリー」23年間の記録』として刊行。本作はこれを原作としており、余命10年と宣告された娘の命を救うために、IABPバルーンカテーテルの開発に人生を捧げた男とその家族の姿を描かれます。
●ストーリー
娘の父・坪井宜政(大泉洋)はあきらめが悪い!
次女の佳美(福本莉子)には、生まれつき重度の先天性心疾患がありました。佳美が9歳を迎えた1977年に、主治医から手術は不可能であり、余命は約10年と宣告されてしまいます。
それでも諦めきれない宜政は、父は一軒一軒訪ねては、治療を懇願するが答えは同じでした。1970年代当時の医療水準では治せる術式がなかったのです。それでも諦めきれない宜政は、渡米し訪ね歩くも、アメリカの病院からも「手術はできません」という返信ばかり届くのでした。
それでも諦めきれない宜政は、「じゃあ、人工心臓を作ってやる」と、娘と無謀とも思える約束をするのです。
いくらビニール製品樹脂工場の経営者だから、合成樹脂に詳しいといっても、宜政に、医学的な知識があるわけではありません。医師から見ればズブの素人です。知識も経験もない状態からの医療器具開発は限りなく不可能に近かったのです。けれども、宣政は娘を救いたい一心で、パートナーとなってくれる医療機関を探し、有識者に頭を下げ、自らも膨大な研究資料を読み、試作を繰り返すのでした。費用も用立てないといけなればいけません。10億円単位の資金繰りが必要でした。
徒手空拳で始めた研究がやっと実り、実用のための臨床試験を始めようとした矢先に、先行するアメリカで人工心臓を装着した患者の死亡事故が発生し、宜政と協力関係にあった医療機関は、リスクに萎縮。人工心臓の開発から撤退してしまいます。しかし佳美の命のリミットは刻一刻と近づいていました。
「オレが諦めたら終わり」と不屈の闘志で進み続けようとする宣政に、佳美はに「私の命はもう大丈夫だから、苦しんでいる人たちをパパが助けてあげて」という言葉を投げかけます。
その言葉に奮起した宜政は、同じ人工心臓開発チームのメンバーだった東京都市医科大学・日本心臓研究所の研究医である富岡進(松村北斗)から、バルーンカテーテルを日本人の体格にあった国産で開発する必要性を聞き、これならこれまでの人工心臓開発のノウハウが活かせるものと、自ら開発に手を挙げるのでした。
あきらめの悪い父の駆動力になったのは、妻の陽子(菅野美穂)と3人の娘、奈美(川榮李奈)、佳美、寿美(新井美羽)への限りない思いだ。手が施せない心臓疾患の子供を抱えた不幸な家族という枠を自分たちであっさり取り壊し、あすへと向かおうと奮闘できたのも家族の力があったからなのです。
●解説
なんといっても宣政の猪突猛進ぶりがすさまじい!きっと『プロジェクトX』の開発者たちですら軽々と凌駕してしまう勢いでしょう。
まず日本中の病院を回って診断を仰ぐことだって、インターネットを検索すれば、情報が簡単に分かる時代ではありません。ノートには調べ上げた手書きで。日本中の名医と病院名が書かれ、それを元に一軒一軒訪ねては、治療を懇願して廻ったのでした。
実話だけにモデルとなった人物のその熱意に打たれます。
治療不能と告げられると、こんどは自力で人工心臓開発を決意するのです。医療知識も経験も皆無ですが、大学に潜り込んで講義を聴き、研究室に飛び込んで相手が「ウン」と言うまで協力を懇願します。「10年で人工心臓は絶対無理」という医学生に、「人類が月に行くと思っていたか」と反論する押しの強さ。私財を投じ機械を特注し、全くくじけません。
そんな宣政の「娘を救う」という一念が馬力となっていました。扉があればこじ開ける。壁は乗り越えるか、穴だってうがつ。決して諦めない姿というものは、映画になっても感動を呼ぶものです。けれども事実は残酷でした。
10年の苦労は実らず、人工心臓でも佳美の命を救えないと宣告されても、蓄積した技術と知識を使って新しい医療機器の開発に取り組んたのです。
人工心臓開発の挫折から、再起していくまでの展開が、本作をより感動の強いものとして押し上げています。
監督は「君の膵臓(すいぞう)をたべたい」「君は月夜に光り輝く」など、“難病もの”をヒットさせた月川翔。今作では佳美の死そのものよりも、彼女が残したものを手厚く描いています。70年代から80年代にかけての時代考証や開発経緯など細部を丹念に作り込む一方で、宣政の行動原理は枝葉を落とし「佳美への愛」に特化させました。ぶれることなく向かった愛情は、一つの命から人類全てへと広がっていくのです。映画としては出来すぎのように見えてしまいますが、そこの根幹は事実。一直線の情感が胸を打つとでしょう。タイパ、コスパなんてみみっちいことに思えてしまう不退転ぶりでした。
●感想
月川監督はバルーンカテーテル開発までの困難な道のりや、1970年代の空気感を丁寧に描き出しています。常識で考えればとんでもないプロジェクトにまい進する男の記録を縦糸、家族の物語を横糸にして爽やかな余韻を残す感動作を織り成しているのです。娘への愛ゆえという言葉では語りきれない、絶対に諦めることを知らない父親役を豪快かつ繊細に演じた大泉が、この人物像に説得力を与えてくれました。普段のひょうきんさと比べれば、大違い。何かに取り憑かれたかのように研究に邁進する姿と、ラストの旭日双光章受章記念式典に向かう、すべてを達観したかのような枯れた演技に感動しました。
「夜明けのすべて」とは全く違う顔を見せる光石研、松村北斗ら脇の俳優陣の献身も光り、映画をより立体的にしています。
ただし実話の強み、説得力は十分ですが、月川監督だけ「泣ける話」に集約されているところが気になりました。人工心臓からバルーンカテーテルへの開発過程でひっかかり、高名な医師の対応もドラマを高揚させるための紋切り型に見えたのです。
終盤に突然明かされるリポーターの事情も「ここで感動してください」と言われている感覚。家族愛の尊さと佳美の「私は大丈夫」という言葉を物語の中心にしたのはいいが、肝心の佳美のキャラクター、生きざまがやや見えづらかったのが残念です。取材メモを基にした脚本でしたが、感動や涙腺刺激にとらわれすぎたのでしょうか。これまでの月川監督作品でも同様に感じてきたことです。
それでも人間の可能性という言葉では表せない。未知的な何かがあることを引き出せた本作を多いに評価したいと思います。何しろ 町工場の経営者であった主人公が、自身の熟練の技術が人工心臓の開発に結びつくことを深く考えていたとは思えません。そんなこと全然考えず、娘の病を治したいといういちずな気持ちが、自身も予期しない途方もない力を引き出したのです。
今挫折のただ中で打ちひしがれている人でも、本作を見れば、自分も頑張ってみようと希望をたぎられることでしょう。
ただ泣ける
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