「「世の中の仕組みが関係ないから」」ディア・ファミリー ライブラさんの映画レビュー(感想・評価)
「世の中の仕組みが関係ないから」
題名と大泉洋の2.5枚目と言う事で実話とは知らず、只の在り来たりのお涙頂戴のメロドラマかな?って思って敬遠していたら、レビューが良く実話と知って視聴。
町工場の社長が余命10年の宣告を受けた娘の為に、全くの素人から人口心臓を作ろうと奔走する話。
娘が心臓病で日本中、海外の医師に診て貰って治そうとするが、無理。
では人口心臓では?今の技術では無理。
無いならば自分が作ろうと思い付く。
それを奥さんは「そうよ、何でそんな簡単な事、気がつかなかったのかしら?」って賛同する感覚はもはや異次元。
大学の学生に人口心臓の開発は30年掛かると言われても「3倍努力すれば良いんですね?」自分の苦労は決して諦めない。
猪突猛進
協力してくれる大学で研究を開始する。
医学界は人間の身体の事は解るが、医療機器の製造や材料工学については解らない。
町工場の技術が必要。
邁進する主人公、坪井(実在のモデル筒井)に研究者は「世の中の仕組みが関係ないから」と。
そうなのだ、世の中の仕組みに囚われていたら革新的な事は起こらない。
自分達はあまりに世の中の仕組みに囚われ過ぎたのではないだろうか。
しかし、人口心臓は海外で批判され、また何千億ものお金が掛かり、大学の石黒教授も手を引く。
どうしようもない絶望。
娘は「自分の命はいいから、他の人を救って欲しい」と言う。
多分、そこまで自分の娘を助けると言う小さな愛から多くの人を救うと言う他者への大きな愛に変わったのでないか。
他の亡くなった娘の話からIABP(大動脈バルーンパンピング)の開発を始める。
やはり、医学には物を造る技術がないのだ。
だから坪井の様な技術も知識もある人間が必要。
またもや壁。
人口心臓で協力していた教授の許可が出ないのだ。
どうしようもない時に人口心臓を作ろうとした時に一番先に離れた医師から医師免許を賭けて使用の責任を持つ。
自分もほんの少しだけ医療機器関係の仕事をしていたので、医療関係の上下関係、権威主義、保身はほんの少し見たので、教授の権威主義や保身は良く解る。
でも医師って初めは人を救いたいから医者になったのはないか。権威や立場はその後の問題。
その医師の協力の元、IABPは臨床され、石黒教授の上司も認め、形成は逆転する。
人口心臓は作れなかったけど、IABPで17万人の命を救う事になる。
実話として圧倒的な話。
こんなに努力出来る人が居る事に只、尊敬する。
