「家族愛を超え人間愛に根差した主人公の姿が心を捉えて放さない」ディア・ファミリー みかずきさんの映画レビュー(感想・評価)
家族愛を超え人間愛に根差した主人公の姿が心を捉えて放さない
本作は、家族愛に始まり人間愛という大きなテーマにまで迫った感涙必至の実話ヒューマンドラマである。家族の為だけではなく他者の為に懸命に奮闘する主人公の姿は人間愛に根差したものであり強く心を揺さぶられる秀作である。
本作の舞台は1970年代。小さな町工場を営む主人公・坪井宣政(大泉洋)と妻・陽子(菅野美穂)の娘・佳美は幼い頃から心臓病を患い余命10年と宣告される。宣政は畑違いの人工心臓を自ら開発する決意をする。宣政と陽子は佳美の為に大学・医学部と協力して失敗を繰り返しながらも諦めず粘り強く不可能に近い開発に奔走していくが、タイムリミットは容赦なく迫ってくる・・・。
前半は人工心臓開発シーンは際立っていたが典型的な難病・家族愛作品だった。しかし、後半、保守的、閉鎖的な大学・医学部が保身の為にハイリスクの人工心臓開発から手を引き絶望的な状況になる。そんな時、“私の様な病気で苦しんでいる人達を助けて”と佳美が自らの想いを吐露する。作品テーマは、家族愛から人間愛という大きなテーマに昇華する。宣政は、佳美の想いを受け止め、人工心臓開発で知合った富岡(松村北斗)の協力を得て、心臓病手術で成功率が低いバルーンカテーテルに着目し、改良開発に心血を注ぎ、艱難辛苦の末に改良に成功する。改良品は17万人の命を救う。
宣政は佳美の命は救えなかったが、17万人の他者の命を救った。佳美の想いは叶えられた。他者の為という人間愛精神は、今後、佳美の死とともに宣政の子孫に脈々と受け継がれていくだろう。
陽子は、結果が出て一段落すると、必ず次はどうする?と宣政に尋ねる。人生で常に高い目標を持つことの大切さを示唆している。時折、映し出される、宣政の社長室に掲げてある、為せば成る。為さねばならぬ何事も。という諺は意志と行動力の大切さを強調している。
本作は、主人公の生き方を通して、命ある限り結果に一喜一憂せず常に高い目標を持ち強い意志で粘り強く行動していくのが人生の醍醐味であり道は拓かれると教えている。
コメントありがとうございます。
研究熱心なお父さんでしたね。せめて、思い出作りの旅行(北海道かな)は娘と一緒に行ってほしかったかなと思います。母と娘で旅行に行ったようで、父は出てこなかったですね。
他人の病気を気遣う佳美も立派でした。
コメントありがとうございました。素晴らしい主人公と、その暖かい家族。みかずきさんの考え方も、彼らに通じるものがあるのではないでしょうか。すごくいいレビューですね☺️ ありがとうございます🙇♀️
コメありがとうございます。たしかにたしかに。そのポイントでした。次はどうする?ね。こちらも読みましたが、何かプロっぽい文章ですね。たしかにその通りの作品。
共感ありがとうございます。
光石教授の憎々しさが流石でしたが、一番頭に来たのがアメリカ製のカテーテルヘの盲信ぶり。オッペンハイマー蒸し返すぞ! とちょっとだけ思いました。