もっと遠くへ行こう。のレビュー・感想・評価
全11件を表示
そもそもの設定に入っていけなかった
お互いAIとだったら上手くやってけるのに本人だと駄目。
自分のことはまるっと受け入れてほしいけど相手のことは本物だとヤな部分が鼻についてあー駄目だこりゃみたいな感じかな。
後半30分でやっと面白さがわかる
最初の2/3くらいはなかなかストーリーが展開せず「退屈だなー」と思って見ていましたが、終盤で急展開。ここでしっかりストーリーが展開していたことに気付きます。その騙しの手法になんだか心地よさがありました。
ただ全編を覆っているのは疑心暗鬼。モヤモヤ、スッキリしない空気感に作品が「イマイチ」と感じる人も多いだろうなと思います。。
しかし、フィナーレに向かって巧みに伏線が張られており、「そういうことか」とストンとした納得に至るその流れはしっかりとエンターテイメントでした。
主演のシアーシャ・ローナンには従来の(あくまで個人的な)イメージとは異なる、感情豊かな役柄で新たな魅力を感じた気がしましたし、観て決して損するような作品ではないんじゃないかと思いました。
原作の本のタイトルは”foe(敵)”。その日本版翻訳タイトルが、そのまま本作邦題になっていますが、果たして「敵」がこの映画で何を指すのか、それは最後まで分かりませんでした。原作ならもっとわかるのでしょうか?
クローンの愛
設定は2065年。地球がやばいことになったんで宇宙ステーションがつくられ、その試験プログラムに搭乗できる人が抽選で決まる。
いったん行ってしまうと2年帰れないから、地球に残る者のために、代替のクローンAIヒューマノイドが元の生活を続ける。
郊外の孤立した農家に夫婦が住んでいて、夫が抽選に当たる。
それで、夫は行ってしまうわ、妻とクローンが愛し合ってしまうわ、それが納得できないわで哀しい事態に陥っていく。(──という理解でいいんだろうか。)
未来だが、未来描写はない。複雑な話ではないが、叙情的な描き方をしていることと、クローンに入れ替わったタイミングを晦まし(くらまし)ているのでわかりにくい。
それらの曖昧さと対称的なのがメスカルとローナンの熱演。
こちらは映画内設定を呑めていないのにエモーショナルな表現に圧され、いったいなにやってんだ──というカラ吹かし感に包まれた。脚本が世界観の構築とキャラクターを管理できていない。
imdb5.3、RottenTomatoes24%と56%。
編集もうまくないし、Iain Reidという人の書いた原作の批評を見ると、ホラーや心理スリラーに分類され書評からもおそらくこんな話(=エモーショナルなロマンス)じゃないと思った。
にしても、このあきらかな失敗作のために、メスカルとローナンがやりとげた熱演にはねぎらいの価値がある。
Tomatoes批評家たちもそれを皮肉っていて「熱い混乱」だの「真顔で取り組んだ俳優はメダルに値する」だの「際限なく大げさなおしゃべり」だの「タイトルは敵、本体はまやかし」だの「雰囲気とスターのカリスマ性だけ」だの「今年度最も乱雑な脚本のひとつ」だの「成功した小説の失敗した改作」だの「絶えずセックスしつづけるのに感情を刺激しない」だの「優れた演技は弱い脚本を救えない」だのと祭り状態。
ふたりの演技によって、この映画がもっていきたいと思っている悲哀はなんとなくわかる。が、もっていけてない。もっていけてないのに、映画はあたかも文芸域にあるような真面目そうな顔をしている。(=要するに気取っている。)そういう様態が日本映画的、素っ裸になって監督の要求に応えるのに徒労だけが残るところも日本映画的。
監督のGarth Davisはデビュー作Lion(2016)によって一躍時の人になった。
インドの男の子がオーストラリア夫婦の養子になって成長しやがてルーツをもとめて旅にでる・・・。いい映画だったが、これを見てあれはまぐれだったのかも──という懐疑に至った。
羽ばたけ、自分
個人評価:3.0
男は留まり、女は前に進む。
「レディ・バード」「ブルックリン」「ストーリー・オブ・マイライフ」と前に進み続ける女性役が多い、美しきシアーシャ・ローナンにはピッタリな役柄。
本作も美しく、そして前に進む。
考えたらヤバいです。
不条理な感覚に陥って気持ちが落ち着かない。
夫婦の繋がりは何を頼りに繋がっているのか。
考えさせられます。
アイデンティティをも揺るがされる夫婦。
凄くコワい話です。
もしかしたら今の自分もそうかもしれない。
いやいや考えたらヤバいです。
それはそうと、この夫婦の演技はすごく良かったなー。
良かった!
『ドント・ウォーリー・ダーリン』よりも
繊細さがあって良かった!
いわゆる『ブラックミラー』のようなSFから始まり、
こういう展開になってくのは好き。
観客への見せ方含め、上手かった
i am that
夜中に訪問者、
コンコンコン、
夜分にすみません、
宇宙移住計画について・・・
どうぞ入ってください・・
えー!
2065年のアメリカ中西部の会話だ。
別の展開を辿る可能性もあった。
意識をつくることが目的。
別の展開、背景、設定、
お互いがリプレイスメント、虫、、、全部見たい。
もっと遠くへ行こう。
と期待もするが、
ピアノを弾かない、弾く、壊す。
人類へのプレゼント、
何も変わらない、
もっと近くのことを、
見直すための作品なんだろう。
近未来のSFミステリー
原作は読まずに鑑賞しました。
基本的に登場人物は3人だけで、この3人による会話劇になっています。
設定が2065年、人類は地球から脱出して他の星で暮らすべく、実験をやっている様子。
そんな最中、ポール・メスカル演じるジュニアがその実験者として選出されます。
期間は1年で、その期間はジュニアのクローンがシアーシャ・ローナン演じる妻ヘンと
暮らすという・・・、という話です。
ジュニアもヘンもクローンなんかと暮らせるか!的な勢いで否定はしつつも、
実際に暮らしてみると、もうジュニアとしか思えなくなっているんですね。
で、オチはその逆パターンで終わっているのですが、
なんとも恐ろしい世界だなと思いました。
また、ヘンの心情をヘンが弾くピアノ曲で表現しているのかな?とも思え、
実に巧みな演出だなとも。
クローンを同一人物が演じているので、本人なのかクローンなのかは非常にわかりづらく
それが届け手の狙いでもあるのだろうと思いましたし、
私は最後までグイグイ引き込まれながら鑑賞できました。
やはり主演のお二人の演技が格別であり、良質なSF映画へと昇華していたと思います。
見直したくなる作品
SFというのは、兵器やエイリアン、タイムマシンが出てくるだけじゃなく、
“IF”の世界、人はどうするのか?というシュミレーションの部分が魅力的だったりする。
そういう意味では、こちらも見事にSFです。
宇宙に行く夫、残る妻、不在の間を埋めるのは夫の記憶を移植したクローンだと言う。
妻を所有物扱いする夫に辟易としていた妻が、単身宇宙へ行く夫との時間をどう過ごすか?
夫の代用?のクローンに対してどう接するのか?
代用クローンとリアルな夫についての感覚に変化はあるのか?
田舎のポツンと一軒家が舞台で、主要な登場人物も夫婦と担当者の3人の会話劇。
普通の映画でも地味な設定です。
SF映画としてはなおさら、地味すぎな設定です。
ただ、そんな状況に置かれた物語として、
あれこれ考察したくなるという意味でいい作品です。
何たって夫を煽りに煽って追い詰めていく担当者の表情が、
実はニヤニヤしていて不穏でいいです。
(そして笑顔の意味は、最後でわかってくるのです)
もう一度見直したくなる作品です。
全11件を表示