劇場公開日 2024年2月23日

「マダム・ウェブのお披露目作品」マダム・ウェブ おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5マダム・ウェブのお披露目作品

2024年2月28日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

単純

興奮

「マダム・ウェブ」なるキャラクターは知りませんが、マーベル作品なのでとりあえず鑑賞予定に入れていました。しかし、公開3日目の時点での評判は芳しくなく、いささか不安を感じながらも鑑賞してきました。

ストーリーは、産まれてすぐに母を亡くして里親のもとで育ち、救命士として働くキャシーが、仕事中の事故で臨死体験をしたことによって覚醒した未来予知能力により、偶然出会った3人の少女に襲いかかる謎の男の存在に気づき、その男が亡き母とも関係があったことを知り、少女たちを守る戦いに身を投じていくというもの。

比較的シンプルなストーリーでマダム・ウェブ誕生譚をわかりやすく描いているのがいいです。これまでのマーベル作品のスーパーヒーローのような派手な能力やアクションはありませんが、それでも予知能力の発動シーンを興味深い映像表現で描いていて好印象です。それをキャシーがデジャブや錯覚かと戸惑いながらも、やがて予知能力であることを自覚し、危険回避に生かしていこうとする流れも悪くないです。

また、キャシーをはじめ3人娘もそれぞれに異なる魅力をもっているのがいいです。ラストで、理由は違えど親子の愛情を育むことができなかった4人が、互いに足りないものを補完し合うような家族同様の絆を見せて終幕となるのも悪くないです。少女たちのキャラの掘り下げや活躍場面の少なさは否めませんが、本作は「マダム・ウェブ」ファミリーのお披露目作品ということで、今後に期待といったところでしょうか。

ただ、シンプルストーリーのわりに展開が荒いのはいただけません。ご都合主義というより、無理くり感が漂い、没入感を妨げます。そもそもキャシーが3人娘をあそこまで守る必要性をもう少し感じさせてほしかったです。また、タクシーを強奪する、その後も自由に乗り回す、果てはダイナーに突っ込む、それなのに警察に追われることもないというのは、いくらなんでも理解に苦しみます。しかも、その間にペルーに出国するに至っては、どこでもドアでも使ったのかとツッコミたくなります。

一方のエゼキエルにしても、顔認識システムを手に入れたのなら、あんなに派手に追い回す必要はなく、むしろ目立たず始末すべきではないでしょうか。それぐらい一刻も早く悪夢から逃れたかったとも受け取れますが、大立ち回りをして警察に追われる状況を自ら作るなんてやっぱりアホすぎます。もっとも、こちらも警察に追われてる様子がないのは不思議でしたが…。

とはいえ、3人娘がこのあとどのように能力を開花させていくのか、スパイダーマンとどう絡んでいくのか等、今後の展開を期待させる布石は十分に感じました。マーベルお得意のポストクレジットはありませんでしたが、次作があるのなら期待して待ちたいと思います。

主演はダコタ・ジョンソンで、まっすぐに生きるキャシーを好演しています。3人の少女を、シドニー・スウィーニー、セレステ・オコナー、イザベラ・メルセドが演じ、それぞれの個性が光る演技を披露しています。

おじゃる