「リトル・プレスリーに萌える」クー嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 万年 東一さんの映画レビュー(感想・評価)
リトル・プレスリーに萌える
E・ヤンや本作も知らなかったしアジア映画なんてホボ観る事も無く日本映画は特に最近の作品も観ないし況してや台湾映画なんて興味も無かったが"クーリンチェ"の存在を知りただ漠然と興味が湧いて。
興味心のみが"スコセッシ"に"永瀬正敏"のコメントもあり背中を押され劇場に足を運ばせる決意を固めて。
約四時間と長尺で聞き慣れない言語に暗そうな雰囲気に軽い気持ちで観れる感も無くかなりの気合いと覚悟でリスク多目だしこんな気持ちで映画を観に行くなんて初めてじゃないかなぁ!?
小明(シャオミン)の魔性の魅力に小悪魔的な存在感に目が行き少年たちが魅了されるのも納得で容姿が整ってる訳では無いが憧れの的になる説得力が大。
男を手玉に取っているようにも見受けられるが彼女には彼女なりの事情があり行動に考えに芯が通っている賢い大人な女性の雰囲気も。
主人公の小四(シャオスー)は地味で感情表現に乏しい印象があったが映画が進むにつれて感情の起伏の変化にその都度魅力的になって行く。
冷静な印象で状況に左右されず無感情で他の同級生からも浮いている感じで気持ちに乱れなしのイメージから一人の女性によって全てが崩壊して心が乱されるウブな少年像を物凄く刹那的に演じていて好感が持てる。
素人同然であろう少年少女の役者としての顔が良い!皆んな魅力的でそれぞれが気になるし演技や演出の前に躍動感が素晴らしい。
小四を助ける為に椅子を壊して武器にする作業が時間かかり過ぎで何度も仲裁に入ろうとする度に画面から弾き出される場面。
小学生みたいにあどけない顔をして周りと比べても小さい体の王茂(ワンマオ)の男気が男前過ぎて歌唱シーンも含めて萌えて癒された。
退屈なシーンは一切皆無で常に危ういギリギリな映像と演出に夜の場面と少年少女たちにハラハラ、ドキドキしてスクリーンから目が離せない。
時代の歴史や社会情勢も時代背景にあるが前面に出したり小難しくしたりせずに中心にあるのはそんな時代の若者たち、その時にしか存在しない何か。