カオルの葬式のレビュー・感想・評価
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セックスより脚本
全体的に独りよがりで理解不能な作品だった。
10年前に離婚してるのに喪主に指定されて、元妻の葬儀に赴く主人公。
そんな立場にも関わらず登場人物のほとんどが彼に自己紹介をしないので、誰が何だか分からない。
回想もやたら唐突に、脈絡なく、ぶつ切りで入るのでまったく像を結ばない。
普通は連想からフラッシュバックするとかあるでしょ。
薫と泥の投げ合いをするシーンで、回想が終わるとシャツがちょっと綺麗になったり、本当に繋ぎが悪い。
ただでさえ台詞が聞き取りにくいのに、2つの会話を同程度の音量で流され、結果どちらも聞こえない。
BGMがやたらデカかったり、聞かせる気があるか疑問。
起こる出来事も、場を弁えず年寄りが大人気なく喧嘩したり、娘のいる前で故人を卑下したり胸糞悪い。
そこに共通のテーマがあるわけでもなく、やりたい放題。
最後の霊柩車強奪の顛末も描かれない。
話も繋がってないので各キャラの想いを汲み取ることもできなかった。
「離婚しよー」も、脚本家の中では感情の流れが出来てるのだろうが、こっちはチンプンカンプンです。
最後はもう一度芝居をやる気になってハッピーエンド?
そこに到る気持ちが分からないし、風俗嬢との関係もどうなったのやら。
そもそもデリヘルのドライバー設定とか冒頭ボコボコにされたりとか必要あったのかな。
カオルも事故死なのに、遺書どころか葬儀の手配まで済ませてるとか謎だらけ。
英語でインタビュー受けてたので世界的に評価されてるハズなのに、晩年はおしぼり工場でパート?
他人の葬儀を断片的に眺めて楽しめる人にはお奨め。
映像だから伝わる複雑な感情
カオルの葬式に参列する人々の心理描写が複雑で魅力的でした。
寂しさ、悲しさ、愛しさなどのはっきりとした感情も垣間見える(といってもこうした感情が見えてくるのが意外と後半)一方、嫉妬や困惑などのネガティブにも感じられる感情が、そう単純な単語で言い表せないような表現で描写されています。
どの立場の人のどの感情も「あぁ、自分にもこういうところがあるかもしれない」と思わされ、鑑賞中にこちらの感情も行ったり来たりする体験を得られました。
フルキャストオーディションというのも納得のキャストの皆さんの表情・たたずまいにも引き込まれました。
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