「『カオルの葬式』(監督:湯浅典子)を見ました。 パワフルな映画でし...」カオルの葬式 本田孝義さんの映画レビュー(感想・評価)
『カオルの葬式』(監督:湯浅典子)を見ました。 パワフルな映画でし...
『カオルの葬式』(監督:湯浅典子)を見ました。
パワフルな映画でした。
映画をそれなりに沢山見てくると、映画が始まりしばらく経つと、この映画は、こういうトーンの映画なんだろうな、と勝手に予測してしまいがちです。が、本作では、その予測がつかないのです。こんな映画、見たことがありません。
カオルが亡くなって、遺言で10年前に別れた元夫が喪主に。おまけに、葬儀は故郷・岡山でやるという。
言ってしまえば、カオルの最後の無茶振りとも言えますが、その無茶振りによって色んな人の人生模様が交錯します。
こう書くと、なんだかしんみりした映画に聞こえると思うのですが、悲喜交々が、まるで狂騒のように描かれます。では、ドタバタコメディかというと、そうでもない。いったい、自分は何を見せられているのだろう、という困惑を感じつつ、それすら魅力的に思えてしまう。僕は、ふと、初期のコーエン兄弟の映画を思い出したのですが、重喜劇とすれば今村昌平にも似ているのかもしれません。
人の死は、周りの人にとって、自分の生を考えさせてしまう。
本作は撮影をはじめ、スペインのスタッフが参加しているせいか、岡山の県北が美しく撮られています。
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