ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディのレビュー・感想・評価
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Bon voyage
ダヴァイン・ジョイ・ランドルフさんがアカデミー賞で最優秀助演女優賞を受賞した事だけを頭に入れての鑑賞。
どんな作品かはあらすじでフワッと触れたレベルで、そういえば予告とか全く観なかったなーと思っていたり。
これはダークホースだ…!想像以上に面白く、自然に感動できる作品になっており、観終わったあとにとってもほっこりできる理想的なクリスマス&年末映画でした。
斜視の症状を持つ教師のハナム先生と、ママが新しい夫とバカンスに行くがために学校に残れと言われたアンガスと、息子を亡くしている学校の料理担当のメアリーの3人で繰り広げられるなんて事ない休暇に色を付けていく物語で、最初はソリの合わない感じだったのに、互いの心情や行動について理解を含めていくと、どんどん相手を大切に思うようになっていく構成が本当素晴らしくずーっとトキメキながら観ていました。
最初こそ5人の居残り生徒がいたものの、途中でヘリで迎えにきてくれて4人は戻れるのに、アンガスのママは連絡がつかないというなんたる奔放っぷりに憤りを感じましたが、結果的に3人の距離を近づけるきっかけになっていく展開はエモかったです。
アンガスが年相応にハナムを振り回す中で、体育館のジャンプ台から思いっきり飛んでからの脱臼で大慌てのハナムが病院へと連れていく過程でグッと関係性が近くなって、痛々しいところですがフフッと笑える構図になっていたのも良かったです。
メアリーとお酒を飲んだり、恋愛ショーを見てキャッキャッウフフしていたのも微笑ましく、その中で体臭について指摘されて、ウッとなっていたのも良かったです。
ボストンに行ってからはガラッと流れが動き出して、親子のようにキャッキャッするハナムとアンガスがとても良いですし、メアリーが妹宅でまったりしてるのも良いですし、旧友と出会った時に嘘をついたハナムをアンガスがフォローしてくれたり、ジムビームを買う時に武勇伝をワッハッハと語っていたら店主に殺人犯と蔑まれたりと、笑いどころも多く含まれていて最高でした。
アンガスの真の目的は父親に会いにいく事で、最初こそ事情を説明しないアンガスを引き留めたハナムだったけれど、事情が分かってからは二つ返事で介護施設にいる父親への元へ向かい、再会を見届けるというのもわだかまりの解消ができていてとても沁みました。
この災害により、父親が元の家へと戻れる希望を持ってしまったがために不安定になってしまい、元嫁に違う施設に送られるという事情は分からんでもないけれど…もう少し責任持とうぜ…と元嫁に憤りを感じるくらいには感情移入していました。
クリスマスのレストランでは、お酒の入ってるスイーツは提供できない、いやしてくれの押し問答が面白く、ならばアイスとチェリーを持ち帰って、ジムビールをかけてなんちゃってスイーツに火をつけて燃えまくって友達のように笑い合っていて微笑ましかったです(はよ消化しないとヤバいことにはなりますが笑)。
ラストシーンもこれまた良くて、結果的には学校を追い出されてしまうハナム先生の元に全力疾走でやってくるアンガスが軽口を叩いて、熱い握手をしての別れが物悲しいはずなのに、どこか前向きになれる感じで良く、THE・恩人なハナム先生と自分も握手したくなりました。
空気を重くしないためにこっちの目を見て話してくれよと呟いたりしてほぐしてくれるのも良かったです。
役者陣もこれまた素晴らしく、特にアンガス役のドミニク・サッセ君は学校で行われたオーディションで選ばれたとのことなので、ほんまに良い子連れてきたわ〜と拍手したくなりました。
音楽も70年代の緩やかな感じが素敵で、背景のインテリアも部屋に飾りたくなるくらいオシャレでとても好みでしたし、街並みもこれまた美しいもんですから、どのシーンを切り取っても良いな〜という感動がありました。
夏場だけどクリスマス映画ってのも良いな〜となりました。
きっと今年のクリスマスのお供になる作品だと思います。上半期滑り込みで傑作キター!
鑑賞日 6/26
鑑賞時間 16:05〜18:25
座席 E-10
結局
最初は全然タイプの違う2人な感じですが、結局、よく似てるのかあ?って言う感じでしたね。気持ち的に互いをかばいあう関係にまでなったのは、やはり置いてけぼりになった短くも濃厚な期間があり、互いを理解できたからですね。
アントルヌー《我々だけの話》
楽しみにしていた作品だったのですが、そのぶん拍子抜けしてしまったかも。
まず、居残り組を二段階に分けた意味が分からない。
もちろん、それによりアンガスの孤独感がより強まる側面はある。
でも、300人が一気にいなくなる方が画面的な印象は強いし、テンポもよかったと思う。
残りの4人が後半に効いてるとも思えないし。
また、派手なイベントが必要とも思わないが、地味すぎる上に繋がりを感じなかった。
リディアの姪とのキスとか、一体なんだったのか。
ってか、ボーリング場とかでもアンガス、やたらとモテてないですか?(クソゥ
それより何より、アンガスが父に会いに行く場面ではちゃんとポールに相談してほしかった。
あの段階に到ってもまだ信頼築けてないのか、と。
事前情報では3人の話っぽいが、メアリー成分は薄め。
言ってみればひたすらルート弾きしてるベースのような立ち位置で、それはそれでいいのだけど…
パーティでやさぐれたり、妹の家に行ったり、変なとこで強めに主張してくるのでバランスが悪い。
最初からポールとアンガスに絞った方がよかった。
最後にアンガスを庇ってクビになるのは定番だが、イマイチ響かなかった。
途中で無駄打ちせずに、ここで初めてポールがウソを吐く流れにするべきだったのでは。
クソ親は何も変わらないし、なんだかスッキリせず。
アンガスが脱臼するシーンなんかは面白かったし、チェリージュビリーの一連の流れは好き。
熱中症になりそうな夜に観たけど
自分を除き、この映画を観る人は本物の映画通だと、数々のレビューを読んで思う。重なってしまうが、私が好きなのはアルコールの入ったデザートを出さない融通の利かない店員に悪態をつくポールの姿。自分も生徒たちにそうだったくせに。嘘をつかないはずなのに嘘をついたり、数々の悪態にクスクス笑えるシーンがたくさん。それでいて、少ししんみりさせる場面もある。父親のようになってしまうのではないかと不安を抱えるアンガスに、君は大丈夫と励ますところが、ベタではあるが名優の演技で、すんなりと心に沁みる。笑わせたい、泣かせたいが強過ぎなくて脚本が絶妙。熱中症になりそうな夜ではなく、一人寂しいクリスマスにもう一度観たい映画。
素晴らしかった
映像の質感が、アメリカンニューシネマの時代そのもので、当時作られた幻の名作が発掘されました、と言われたら信じてしまう。『スケアクロウ』と同時上映されていても違和感がない。
はぐれ者の教師と生徒と給食のおばちゃんの3人が寄り添って年末年始を学校で過ごす。お互い仲がいいわけではなく、生徒と先生は決定的に仲が悪い。特にクリスマスは日本とは意味が違って、何がなんでも家族と過ごす重要な日だ。僕が若いころは彼女と過ごすのが当たり前だとされていて、一人で過ごすことがとても惨めに感じたものだけど、その何倍も彼らは心を苛まれていることだろう。
生徒の男の子が本当に世間知らずの甘ったれで、イライラする。彼が同級生と言い合いになるのだけど罵倒がすごい。イギリス映画かと思うほど口が悪い。
そうして過ごすうちにトラブルがあったりしてお互いに気心が知れていく。それがとても丁寧に描かれている。気心が知れすぎて、さらなるトラブルに発展して最終的に先生は職を失う。そんなにクビになるほどの失点ではないと思うが元々校長先生に嫌われていたので、これ幸いとクビにする口実にされたのかもしれない。
その先生がスケートリンクで大学の同級生と会って、つい見栄を張ってしまう場面が見ていて本当に心が苦しくなる。極力等身大であろうと心がけているのだけど、自分ももしあんなふうについ背伸びをしてしまったら、その後何日もベッドで眠れずに叫ぶことになる。
古本市で話しかける売春婦が絶妙で、ぱっと見ないわ~と思うのだけど話しているうちにもしかしてありかな、あれれ?みたいな感じだ。
一体なぜこんな映画を今の時代に作ろうとしたのか意図が分からない。他にも全体像として把握しきれていない感じがする。ただ、誰とも友達になりたいと思えなかったので、また見たい気持ちは今はあまりない。
あったけぇよお。
近頃は切なかったり辛辣だったりする物語に入り浸っていたので、久かたぶりのハートウォーミングストーリー。
よかったよ~。
久しぶりに周りにお勧めできる作品だぁ~。
そうなんだあ〜こういう映画、好きなんだよなァ。
古いけど「アバウト・ア・ボーイ」を思い出しました。
短期間ながら、欧米ホリデーシーズンにまさかの学校居残りというシチュエーションはある種の密室劇のようであり、だからこそ所々の「外出」は観ているこちらもお出かけ気分というか主人公達と共にウキウキした気持ちになる。
そして当然のように起こる”何か”を経て、寮生活に戻るたび、何だかホッとしてしまう感覚は正に「我が家=ホーム」のそれ。起こるべく何かを恐れずに共有して、結果的な喜びも痛みも分かち合う。本作はそういった、まるで家族の正しい、あるべき姿をそれぞれの登場人物に分け与えていくのだ。聖なる季節であるからゆえの最高のプレゼント。
そりゃこの映画の観客だって嬉しくもなるさ。
家庭環境からヤサグレ盛りだったアンガスくん。序盤の校内追いかけっこは、?
はい…それ、私です…(^^;;
お恥ずかし過ぎて多くは語りませんが、個人的に物凄く彼の気持ちが理解できてしまって。年甲斐も無く追いかけてくるポール先生を見る彼の眼差しはすごく楽しそうでしたでしょう?本気で向き合ってくれる存在を渇望していたんだよね。そういう心の機微も上手に描いていたと思う。
劇場内では結構きちんと(?)笑い声が起きていたなあ。観客がこの物語にほぐされているようで嬉しかった。
「いやあ!映画って本当にいいもんですね」
って言いたいー!!(言ってるけど)
正解は右目。
1970年代マサチューセッツ州の寄宿学校の教師ポール、問題児生徒アンガス、寄宿舎料理長メアリーの話。
クリスマス休暇となり他の生徒達は一時帰宅、最終的に残った教師ポールと、ボストンへ行く予定だったが中止で居残る事になったアンガス、一人息子を戦争で亡くしてるメアリーがクリスマス休暇2週間を共に過ごす。
本作の感想よりも平日の1回目の回なのに鑑賞者(年配者)がかなりいて驚いた。監督ファン?主演のポール・ジアマッティさんのファン?私はこの監督さんも知らないし主演の方も初見でした。
ポールとメアリーはコメディタッチな壁はありながらも親しく食事や会話を見せるも、ポールとアンガスの間にはガチな壁ありで、絡めばぶつかり合ってた教師と生徒だったけど…、アンガスが肩脱臼したあたりからポールとの距離が縮まり始めた感じですかね。
周りの鑑賞者が作品観て笑ってるなか、正直作品の笑いツボが分からなかったけど中盤過ぎ辺りからこのシュールな笑いって言い方であっているかは分からないけど、ツボが解ってからは笑えました。
このシュールな笑いの感じは監督特有?
最高だったので、語りすぎました
これは…本当に素敵な作品でした。
嫌われ者の他人同士のクリスマス休暇、ですが、ここに理想の親子の関わり方を感じて、とても勉強になりました。
ポール・ジアマッティさんが素晴らしいのは言わずもがなですが、アンガス役の新人のドミニク・セッサさんがとても良かったです。
見た目は大人っぽい高校生ながら、やんちゃで繊細で、まなざしが少し寂しげで、親の年代の私から見ると、本当にかわいらしいのです。
台詞も多いし、ベテランのポール・ジアマッティと対等にやり合って遜色なく、逸材っているのだなぁと驚きました。
こんな息子がいたら、めっちゃ可愛がるのに〜。しかも頭が良くて優秀なんですよ、最高。
しかし彼は、心に満たされないものを抱えていて、教師のポールもまた複雑さを抱えています。
そこに息子をベトナム戦争で亡くしたメアリーも加わり、凸凹で不思議なクリスマス休暇を過ごすわけです。
一見、ありがちなハートウォーミングな物語かと思いきや、人間関係、信頼関係の構築を丹念に描いていて、人生の機微やほろ苦さも秘めているお話。
アンガスはまだ心の中に幼さを抱えていて、父親がいるものの、頼れる、導いてくれる存在ではないために、不安定な状態。
ポールは持ち前の真面目さ、厳しさでアンガスに接して、当然反発を受けるわけですが、素晴らしいと思うのは、どんなに彼が荒れても、一切見捨てないところにあります。
これが愛のある厳しさです。皆から嫌われている? すごくいい先生じゃないかと思いました。
くだらないことでもたくさん会話する、ダメなものはダメと言う、秘密の共有もする、時に多少のルール違反も目をつぶってやる。
こんな普通のやりとりをして、同じ時間を過ごすことで(なんと寝る場所も一緒!)、子どもは自分が認められていると感じるようになるのでしょうね。
ポールに器用さが全くないところが微笑ましく、かえってそれも彼の一生懸命さが伝わって良かったのかもしれません。
アンガスの求めていた父性が、ポールによって少しずつ満たされ、信頼関係ができていく様子が、とても巧みに自然に描かれていて、これは上手いなぁ〜と感心しました。
なんか完璧で、うますぎないか!? と思うほどよくできています。
文句のつけようがない、美しく丸められた映画で、今年は今のところ80本くらい見ていますが、お気に入りの上位数本に入る作品となりました。
しいて言えば、台詞でみっちり埋められていて、あれこれ想像する余白が少なく、見たままで完結してしまっているところでしょうか。
気に入った割には、余韻があまりないのは、そのせいかもしれませんが、とにかく良かったので余韻とかどうでもいいや!と思いました!
過去から現在・未来を見よと教えている
定評のあるアレクサンダー・ペインの作品。
背景は1970年、米国東海岸の全寮制プレップ・スクール(進学予備学校)。日本で言う中学生と高校生が含まれているようだ。一クラスは15人程度で、大学進学を目標にしており、レベルは高そう。さぞかし莫大な学費を要し、学校も大型の寄付金でもなければ、とてもやっていけないだろう。全寮制の学校に入る生徒たちには、家庭あるいは本人に問題が多いことも容易に想像がつく。男子校とするためには、時代をさかのぼるしかなく、冒頭からスクラッチノイズが聞こえるなど、年代を暗示していた。
学校で、ギリシャ、ローマ以前の古代史を教えている教師ポールは、真面目で融通がきかず、生徒達からも、同僚からも疎まれている。一年中で、誰もが一番楽しみにしているクリスマス休暇の間、輪番制を無視して、学校を管理するよう依頼される。こうした背景を説明するのに時間が費やされ、やや退屈。始まって30分を過ぎた頃、学校に残るのは、生徒の一人アンガスと食事を作ってくれるチーフのメアリー、ポールの3人と判り、ようやく物語が動き出す。
三人になっても、ギクシャクした関係が続くが、あることをきっかけに、ポールとアンガスが接近する。似たもの同士であることがわかったようだ。明晰で怖いもの知らず、誰にでも自分の考えをはっきりと口にするメアリーのアドバイスもあり、三人でボストンに出かけることになる。もちろん、これは掟破り。そこでの出来事が二つあり、それがこの映画のメイン・トピックとなっていた。
ストーリーの上で気になったことが一つ、あとからアンガスの母親とその連れ合いが学校に乗り込んでくるが、ポールのハーバード時代の同級生であるべきだろうと思った。ただ、それだと全くポールの映画になってしまう。そこに脚本家の難しさがあったのだろう。この作品を書いた(製作にも名を連ねている)デビット・ヘミングソンは、第96回アカデミー賞にノミネートされている。
では、どこが見どころか、アンガスとの距離を縮めて行ったポールがentre nous (二人だけの秘密)と口にするところ。なんだか、旧制高校の学生と先生との会話のよう。彼の学校も授業内容も、とても高校とは思えず、大学の前期課程(以前の教養部)を思わせた。
当時のポップスや、メアリー(本当はメアリーの息子)の好きなアーティ・ショウのスウィング・ジャズも良かったが、アンガスが講堂の舞台のピアノで弾いたエリック・サティも耳に残る。
キリアンもよかったですがポールにとってほしかった
アカデミー賞。
元教え子で○茎○な校長からくすねたレミーマルタン、飲み下さないとこに
しびれました。
ジムビームじゃないから、だけじゃないんですよね。
おもねず、ヤケにもなってない、通常運行でこれからも自身をつらぬいてくんだろーな
と安心したラストでした。
アンガスの俳優さんの別の演技が早く観たくなりました。
音もよかったです。
舞台や時代背景に合わせたような選曲とクリスマスアルバムな楽曲の数々。
古いレコードアルバムを棚からひっぱりだして、プレーヤーにかけるように始まる
クレジットのデザインも秀逸
そんな冒頭からエンドクレジットが終わったあともちょっと余韻を残してくれるように
レコードのノイズが響きます。
いい映画です♪
星はいつも三つです。
アレクサンダー・ペイン監督『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』
とても良い映画でお勧めなのだが最初にひとつだけ、日本公開タイトルはどうにかならんかったのか。ホールドオーバーズって何? どゆう意味? だいいち覚えにくい。原題をそのままカタカナに起こしただけで、知り合いと会話していてこの映画を薦めようと思ってもスッと出てこない。聞いたほうも、たぶん、記憶に残らない。またホリディって『休日』のこと? だったら『ホリデー』にしたら。このところ出色のひどい邦題です。もったいない。
悪口は以上で、あとはほめるところしかないです。
英米で良家の子息が集まる伝統ある全寮制の学校というと、イメージでは野蛮で偽善的。またいじめなんかもけっこうタチが悪そう。『チップス先生さようなら』などはかなり美化されている気がする。あくまでイメージで、です。
1970年、アメリカ東部のボストン近郊。本作の舞台となる寄宿舎もやはりそんなところ。
こういう学校には必ずいそうな初老の独身男の歴史教師と金持ちの息子だが札付きの生徒、そして息子をベトナム戦争で亡くしたばかりの女料理人の話。
英米の学校を舞台にした映画というと、寄宿舎ではないが『小さな恋のメロディ』なんかは学校生活の短いスケッチを上手に使っていたが、本作も冒頭の聖歌隊の練習から始まって雪に埋もれた寄宿舎のスケッチがとても巧み。
またホームパーティーやクリスマスツリー、スノーボウルなど、クリスマス休暇を大切にするアメリカ人の心も丁寧に描かれている。
『アメリカン・グラフティ』や『スタンド・バイ・ミー』と同じく、主人公の少年はのちに小説家になるのではないか。老境にはいった小説家が、半世紀以上前の自分の寄宿舎時代の忘れ得ぬ恩師の思い出を綴った映画、という想像をしたらまた味わい深くなりました。
ちなみに邦題についてさんざん悪くいいましたが、公式サイトはつくりといい内容といい、お手本にしたいくらい充実していました。
ハナムとアンガスとメアリー‼️
この作品は名作「サイドウェイ」に勝るとも劣らないアレクサンダー・ペイン監督の名作‼️クリスマス休暇の寄宿制の名門高校を舞台に、帰れない生徒の面倒を見ることになった生真面目で頑固で融通がきかない、みんなからの嫌われ者教師ハナム、反抗的な生徒のアンガス、そして料理長のメアリーら三人が共に過ごす2週間の日々‼️さすがはアレクサンダー・ペイン監督、メインとなる三人のバックグラウンドも実に興味深いです‼️ハナムは学生時代に論文を悪友に盗まれ、逆に罪を着せられたあげく退学処分、その事実を隠して教師をやっている‼️アンガスは父が病気で施設入り、母は再婚、母はアンガスを厄介者扱い‼️メアリーはベトナム戦争で一人息子を亡くしたばかり‼️そんな三人が衝突を繰り返しては絆を芽生えさせ、少しずつ変化していく様が丁寧に描かれます‼️ハナム役のポール・ジアマッティは相変わらずウマいし、アンガス役のドミニク・セッサはスター候補、メアリー役のダヴァイン・ジョイ・ランドルフはあの体格なのに結構美人‼️まるで「シャイニング」のような状況での三人の微笑ましいやりとりに時間が経つのも忘れてしまいました‼️映画の美術もそうなんですが、フィルムの質感やユニバーサルのロゴなども70年代風になっているのもこだわりが感じられます‼️そしてラストのハナムの決断‼️あのハナムがあの決断‼️胸がアツくなりました‼️
思いのほか料理長の存在感が薄いのはどうしたことだろう?
偏屈なのに、どこか温かみを感じさせるボール・ジアマッティの演技に引き込まれる。
斜視や体臭といったインパクトのある特徴もさることながら、心に大きな孤独を抱えていて、本当は人から愛されたいのに、「どうせ好かれないなら、嫌われ者になってやる」と開き直っているかのようなひねくれた感じが、とても魅力的に感じられるのである。
そんな彼が、同じように嫌われ者の生徒と交流し、「友情」にも似た信頼関係を築いていく過程も絶妙で、2人が理解し合い、共感し合っていく様子には自然と胸が熱くなった。
その一方で、もう一人の重要な登場人物である寄宿舎の料理長の存在感が、(アカデミー賞を獲得した割には)今一つ希薄に感じられるのは気になってしまう。
それは、彼女が最愛の一人息子をベトナム戦争で亡くしているということが、物語の冒頭で明らかになり、それ以降は、あまりサプライズを感じさせるようなエピソードがないからではないだろうか?
物語の終盤で、ハーバード大学を中退したという教師の過去や、父親が精神疾患の施設に収容されているという生徒の事情が明らかになり、それで2人の心の距離が一気に縮まったように、料理長についても、そのような「仕掛け」があってもよかったのではないかと思えるのである。
それから、生徒の将来を守るために自分のキャリアを犠牲にするという教師の選択は、確かに感動的ではあるのだが、ある程度は予想できた結末でもあり、その割には、そこに至る過程が全体的に冗長で、テンポが悪く感じられたのは残念だった。
この映画大好き。
ドラマ・グッドワイフのエルズベス・タシオニ役が超素敵なキャリー・プレストンが、ミス・クレイン役で初っ端からわたしを喜ばせました。久しぶり!
あと、テイト・ドノバンがどこで出るかどこで出るかソワソワしてたら、アンガスの継父だった。ドラマ・アリーマイラブでアリーがポイしたロナルド・チーニー役の。25年以上前の役ですが。
映画には関係ないが、冒頭5分くらい?(アンガスが寮で荷造りしてる辺り)まで、字幕なしで上映されてて、一回そこで上映が止まったんです。15分くらい?機器の調整(再起動ってゆってたかな?)をして、もう一度頭から上映するという、珍しいハプニングを体験しました。合唱の練習からちゃんと字幕ついてたんやーって思いましたw
字幕翻訳は愛しの、松浦美奈さんだった。
教師ハナム、生徒アンガス、料理人メアリーの3人は名門寄宿学校バートン校のクリスマス休暇を学校で過ごす羽目になる。
嫌われ者ハナム、頭いいのに色々問題を抱えてるアンガス、ベトナム戦争でバートン校卒業生である息子を無くしたメアリー。それぞれの事情により、悲しく寂しい日々。ちらちらと読み解ける各々の事情が切なくて、割とずっと泣いてた。
ハナム先生の過去は、かわいそうすぎる。嫌な同級生のせいでハーバードを卒業できてないなんて。
アンガスが不安定な理由は、家庭崩壊にあった。父親が重い精神疾患を患い、母は離婚して新しい夫を見つけ、アンガスに冷たい。休暇の当日に約束破って迎えに来ないとか、酷すぎる。
メアリーは、息子が生まれる前に夫を亡くしてて、その息子にいい教育を受けさせたくてバートン校に勤めたのに、生徒は無礼だし大学の学費は出せなくて、徴兵に取られた息子が戦死…きついよね。
アンガス役の彼は映画初出演だそう。これからが楽しみな役者だと思う。
ちょっとしたやりとりがクスッと笑えて、3人の悲しみが刺さって痛くて、ムカつく奴らに小さく仕返ししたりするのがスカッとして。わたしの好みどストライクで、ハートがずきゅんとなりました。
ラストで、ハナム先生はボストンでのアンガスの父親訪問を庇ってバートン校を解雇される。代わりにアンガスは退学させられなくて済んだ。まだこれからが長い若者に居場所を譲ったハナム先生。
これからどうすんのかな、本書いて売れたらいいな。
マルクス・アウレリウスの自省録をいったい何冊買ってんだかw
どう良かったかがうまく言葉にならない。わたしは日本人だし、名門寄宿学校に行ってないし、息子もなくしてないし、彼らとの共通点はすくない。でも孤独には一家言あるからその点は分かる。I know.って言いたい。
音楽がトラディショナルなクリスマスソングでとっても素敵だった。冬に観たかったな。梅雨入りした日本で汗だくで観るのは風情に欠けるわ。
クリスマスの魔法
全寮制の学校での、家族と過ごせ無い立場の違う三人のクリスマス休暇の物語。
ついクリスマスの願いを叶えてやると言ってしまった教師のハナムに、何故かボストンへ行きたいと言い出す生徒アンガス。寮の料理長メアリー・ラムに諭され一緒に小旅行に行く事になる。
ライ麦畑のコールフィールドはペンシルバニアからNYに行き精神病院に入ってしまうが、アンガスはNYからボストンに行き、罰の陸軍学校には行かず信頼出来る大人に庇われ未来を目指す。
愛したいけれど相手と意思の疎通が上手くいかない人、愛されたいけど愛して貰えない人、愛し愛されたいけど大切な人を失ってしまった人。
孤独な彼らにはお互いに他人に心を開かない理由があったが、クリスマスの雪が溶ける様に三つの寂しい魂が寄り添い始める。
地味で派手さは無いがとても素敵な物語。
監督アレクサンダー・ペインの素朴で人間的な物語がとても好きだが、相変わらずポール・ジアマッティの演技が素晴らしい。
期待せず
特に期待はしなかったせいか?笑えてしんみりしてどこか清々しい気持ちになれる、良い作品だった!
時代は70年代。
スマホもない時代の全寮制の学校が舞台。
男子学生のロン毛が目立つこの時代。
年齢的に教師に反抗したり、粋がったりは当たり前だが、どこかまだ従順で素直な子達。
しかも金持ち笑
クリスマス休暇のベビーシッター笑に任命される嫌われ教師との約2週間のちょっとドタバタハートフルホリデー。
ユーモラスなセリフが楽しい。
変にベタベタしたところがないのもいい。
1人でアイススケートを楽しむ17歳とくわえパイプで眺める教師。
そんな平和な図、今じゃなかなかない、かも。
変に力説したり励ましたりしない。
自然に任せていく感じがよかった。
美しい雪景色!
またね!で終わるところも!
Life goes on だからね。
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