ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディのレビュー・感想・評価
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内容はともかく非常に丁寧な作りでした
時代背景に合わせたような映像は、実に味わい深く、導入からエンドまで非常に丁寧に作り込まれた作品でした。故に、新作なのに往年の名作をリバイバルで見たような感覚です。
内容に関しては、70年代の名作を超えるようなものではなかったので、レトロな雰囲気を何となく味わったような─結構笑ったし多少ぐっと来たけど、意外とあっさりと見切ったという印象です。
大好きなクリスマスムービーが増えました
原題は「holdovers」、居残りって感じでしょうか
クリスマス休暇に学校に留まる事になった偏屈な先生ポール、反抗的な生徒アンガス、食堂の料理長メアリー
孤独を抱えた3人が軸になるストーリー
そりゃ皆に嫌われるわっていうくらい偏屈なポールだけど、忖度しない先生で私は好き
最初はポールとアンガスは衝突ばかりで、その中和剤のメアリー
衝突を繰り返す度にみんなの抱えている孤独を知り、理解していき、思いやる関係になっていく
その流れが自然で、ジーンときたりクスッと何回も笑わされたり
その辺のバランスがちょうど良い
そしてラストは涙ポロポロ
日本みたいにただのイベントじゃないアメリカの雪景色の中のクリスマス
そばにいてくれる人の優しさに心があったかくなれるステキな作品でした
観て優しい気持ちになれる作品にまた出会えて良かったです
ハナム先生、さようなら
親指をたてながら映画館のエレベーターに乗り込んできた川平慈英氏は、映画を見終わった後至極上機嫌だった。70年代のハリウッドで盛んに作られた“ニューシネマ”独特のほんわかとした優しい雰囲気に包まれたのは本当に久し振りな気がする。私とほぼ同年代の川平氏も、おそらく同じ気持ちにひたっていたにちがいない。
修復映画の収集家としても知られている監督のアレクサンダー・ペインは、アイデアの源泉として30年代に作られたフランス映画の名前を上げていたが、本映画の基本的構成は英国パブリックスクールを舞台にした古典ドラマ『チップス先生さようなら』にとてもよく似ている。生徒に嫌われていた堅物教師が、新妻の死によって生き方を見直し、悪戯ずきな生徒たちに心を開いていくストーリー。
主人公のハナムは、ギリシャローマ史を専門とする全寮制高等学校の歴史教師。出自に関わらず情け容赦なく生徒を落第させるハナムは、その斜視を生徒たちにバカにされ、ひどい体臭のせいか女性とも縁のない学校中の鼻つまみものだ。実際寮生活の経験がおありになるというポール・ジアマッティの、まさにはまり役といってもよいだろう。はじめからジアマッティを宛がきにしたシナリオだけのことはある。
クリスマス休暇でも帰る場所がないハナム、そしてベトナム戦争で一人息子をうしなったばかりの給仕長のメアリー(ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ)、勉強はできるけど母親からは問題児あつかされているアンガスの3人が、誰もいなくなった学校で寂しいクリスマスを祝うことになる。これだけならば物語の設定をわざわざ70年にする必要もないし、そしてなによりも現代のアメリカに通じるメッセージ性がいまいち伝わりにくいのである。
当時のベトナム戦争によって間接的に傷ついた3人の物語として本映画を観たらどうだろう。ハナムは戦争に志願したものの身体的理由で入隊試験に落第、メアリーの息子カーティスは戦争で帰らぬ人に、そしてアンガスはこの学校で今度問題をおこせば陸軍士官学校送りとなり、将来的にはベトナム送りにもなりかねない身なのである、つまりこの3人、(ベトナム戦争時期の)過去、現在、未来において、いつのまにか“スクルージ”化させられ、PTSDを背負わされたアメリカ人の象徴でもあるのだ。
そんな心の“残留物”を取り除く処方箋として提示された心優しき物語は、他国の戦争(ウクライナ、ガザ)への武器供与のため多大な負担を強いられている現代のアメリカ人の心にやはり響くものがあるのではないだろうか。普仏戦争直前のイギリスで反愛国教育にこだわったMr.チップスのように、あるいは『自省録』を記したローマ帝国衰退期の皇帝マルクス・アウレリウスのごとく、コスモポリタズムに基づいた寛容の精神を、分断が叫ばれているアメリカ人に今一度思い出させようと試みた1本だったのではないだろうか。「歴史とは過去を学ぶだけでなく、今を説明すること」なのだから。
何層もエピソードが重り味がある作品
「サイドウェイ」の監督の作品なので、早速鑑賞。
オープニングから70年代の香り。
男学生寮の匂いプンプン。
それぞれの人に、それぞれの事情があり、うまく重なりながら進んで行く。
監督らしい作品で、味わいがありました。
なんらかのリブート?
70年代(のちに70年だと判明)を舞台に、オープニングから70年代の映画っぽい意匠で描く、あらゆるバックグラウンドが異なる3人の不器用な疑似家族の話。
きっとなにか参照されるべき過去作があって描き方の意味があるのだと思うんだけど、70年代映画はあまり知らないので…
嫌われ者の教師ハナム、ひねくれものの生徒アンガス、息子を亡くしたメアリーそれぞれの過去と事情が紐解かれてゆき、それに連れて相互理解と絆が深まってゆく…
本作が目新しいのは、70年代風の意匠ながら、ストーリーとしてはとてもポリティカリー・コレクトなこと。
いっぽうで、「良い話」風に『何を』描きたかったのかはピンとこないままだった…
「こういう後味の映画ってあったよね」とは思うので、その現代的なリブート、ってことなら分からんではないのだけど…
クリスマスシーズンにもう一度観たい一本
第96回アカデミー賞では作品賞、脚本賞、主演男優賞、助演女優賞、編集賞の5部門にノミネートされ、ダバイン・ジョイ・ランドルフが助演女優賞を受賞した評価の高い一本。公開したら観に行こうと楽しみにしていたが、県内での上映館が2館のみということで、車で片道30分掛かる映画館のレイトショーで鑑賞。客層は映画好きそうな人がパラパラということで、良い映画なのに少し勿体ないなと思いました。
ストーリーは王道で最初は反発しあう人達が助け、助けられという経験をするうちに心を通わせていくというもの。王道であるためストーリに入りやすく、最初は嫌な人に見えていた登場人物に徐々に共感し、どんどん好きになっていく。脚本も素晴らしいんでしょうね。
クリスマスシーズン独特の寂寥感がストーリーの背景にあるため、シーズンにもう一度じっくりと観たい。ウィットに富む会話が主体であるため、一語一語じっくりと噛みしめながらシーズンに観るとさらに味わい深い作品なんだと思う。
私だけかもしれませんが、居残り高校生アンガスの雰囲気やしぐさが、最近先輩に噛みついている芸人と被ってしまい、あの人もいろいろあるのかもなぁと勝手に思ってしまいました(笑)
映画の余韻としては、苦みのある清涼感といいますか複雑な後味でした。人生は時に不条理で、不合理でままならぬものだという諦めの反面、みんないろいろあるんだから自分も日々できることを頑張らなきゃなと少し前向きな気持ちで映画館を後にしました。鑑賞者の人生経験によって後味は少し変わってくるかもしれません。(映画ってそんなものですけど)
誰からもリスペクトされない教師の行く末は、
序盤は学園もので面白かったが、
話が進むにつれて、一個人の特性や過去の行状が詳らかになる度に超えては行けないことが始まる。
そして、中盤はアントヌルーと言う魔法の言葉で見てない振り、知らない振りをする言う忖度なのだ。
信頼や寛容ではなく盲目的な安易な妥協がどれほど物事を混乱させるのか…
そんな延長線による終盤は、戦友、悪友の晩餐会と堕ちて行く。
ラストになるほど締まらないなぁ
( ̄▽ ̄)
ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ
劇場公開日:2024年6月21日 133分
「ファミリー・ツリー」「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」の名匠アレクサンダー・ペイン監督が、
「サイドウェイ」でもタッグを組んだポール・ジアマッティを主演に迎えて描いたドラマ。
物語の舞台は、1970年代のマサチューセッツ州にある全寮制の寄宿学校。
生真面目で皮肉屋で学生や同僚からも嫌われている教師ポールは、クリスマス休暇に家に帰れない学生たちの監督役を務めることに。
そんなポールと、母親が再婚したために休暇の間も寄宿舎に居残ることになった学生アンガス、
寄宿舎の食堂の料理長として学生たちの面倒を見る一方で、自分の息子をベトナム戦争で亡くしたメアリーという、
それぞれ立場も異なり、一見すると共通点のない3人が、2週間のクリスマス休暇を疑似家族のように過ごすことになる。
ポール・ジアマッティが教師ポール役を務め、
メアリー役を「ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ」「ラスティン ワシントンの『あの日』を作った男」のダバイン・ジョイ・ランドルフ、
アンガス役を新人のドミニク・セッサが担当。
脚本はテレビシリーズ「23号室の小悪魔」「ママと恋に落ちるまで」などに携わってきたデビッド・ヘミングソン。
第96回アカデミー賞では作品賞、脚本賞、主演男優賞、助演女優賞、編集賞の5部門にノミネートされ、ダバイン・ジョイ・ランドルフが助演女優賞を受賞した。
ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ
劇場公開日:2024年6月21日 133分
それでも生きていく、生きていける…
少し展開が冗長・緩慢かもしれないが、それは好意的に観ていくとして、観る側は時間をかけて伴走しているうちに、徐々に登場人物と親密になっていく。
そして、それぞれの蓋をしていた<生きにくさ>が開示されていく。登場人物との距離が縮まっているから、こちらもグっと来る。
「人生捨てたもんじゃない」とは違うが、「人生そんなもんだよ」と訴えてくるような…
誰もが、人生は大変で(退却することも出来ず…)、へこたれることもしばしば…。
かっこよく生きる必要なんてなくて、「肩の力を抜いていいんじゃない?」「もっと楽に行けよ」という優しさが自身に染み入っていることに鑑賞後気付きました。
期待度◎鑑賞後の満足度◎ おそらく2023年度の最良のアメリカ映画の一つ。アメリカ映画もまだ捨てたもんじゃない。
※2024.06.27. 2回目の鑑賞。《ユナイテッド・シネマ橿原》
①人生はどんなに不条理でも不公平でも不合理でも不平等でも立ち止まらずに前に進んでいかなくてはならない、歴史を学ぶのはそのためのもの、ということを教えてくれる映画。歴史が好きな私には頷けることばかり。
②良い脚本、良い演出、良い演技があれば良い映画は出来る、ということを今更ながら沁々と教えてくれる映画。
③3人のメインキャラクターは俳優陣の繊細な演技によって見事に息を吹き込まれ生きた人間を感じさせる。
④始まって直ぐにこの映画は良いかもと感じた。その辺りの直感はちょっと自慢。
⑤現代がこんな時代なのは過去の歴史の歩み・人類のやってきたこと(進歩?も含め)のある意味当然の帰結であり、人間一人一人の現在は過去に望む望まないに関わらず起こったこと・経験してきたこと・通りすぎてきたこと・失望・落胆・後悔・苦労・あがき・戦い・諦め・叶わなかった夢・期待、様々な事柄の結果である。
どんな人にもその人の歴史がある。人に語らないだけで。
そんな当たり前なことを思い出させてくれ、なおかつ
合わなかった、
アレクサンダー・ペイン監督、
『ファミリー・ツリー』から合わないなと思ってたけど
やっぱり合わなかった。
最初の演出。
MIRAMAXとかロゴたちが、
おそらく70's映画のように出てたけれども。
それ自体はかっこいいとおもっちゃったし、
すごく好きなんだけれども、経験則から
こういう演出する映画って本編つまんねんだよなー
って思ってて、案の定……という感じだった。
つまんなくは無いんだが、
あまりにもメアリーの存在が都合良すぎて。
先生と生徒でやっててくれや、と思っちゃった。
あのあざといラストとかも、
悪い意味で古風で、かなり冷めた。
もっと一人一人を掬ってくれや。
孤独な人物たちの家族のような絆への道程に心温まる
久しぶりの洋画。
舞台が1970年代のクリスマスシーズンの、雪に閉ざされた名門校の寄宿学校を舞台とし、家族の待つ家に帰らず・帰れず留まらざるを得ない事情を抱えた、堅物の教師と料理長と反抗的な生徒の物語。
反発し衝突し合っている彼らが、発した発言や行動に至ったそれぞれの孤独の背景を互いに見て聞き知ることで、だんだんとまるで家族のような絆を強めていく様に心温まった。
教師の専門が古代史ということもあり、ギリシア、ローマ時代の歴史的事実や有名な言葉・美術品なども映画内に散りばめられ、その時代に教養的観点で興味がある向きにも楽しめるものと感じた。
中盤以降で Entre nous アントルヌー=ここだけの話・内緒ですよ といったワードが出てくるあたり、打ち解けてきている仲であることを彷彿とさせるのが上手い。
たまの摂取に程良い、じっくりと味わう映画。
まぁ、まぁの映画。色々な映画賞を取っているから、良い映画なのでしょう。
けれど、私には退屈な映画だった。内容もありきたりで、私の心を動かしはしなかった。1970年の舞台背景を再現していることに驚いた。当時の車を揃えるだけでも大変なのに。建物はVFXだろうか。そんな箇所に感心していた。
安心して観ていられる作品
1970年の雪景色にアコースティックギターのメロディで作品にスムーズに入り込めた。
偏屈、くせあり、わだかまり。そんな言葉が浮かぶ面々のクリスマス休暇のひととき、前半はニヤッとするやり取りから徐々に素をさらけ出し、抱える過去の秘密も闇も共有し打ち解けるまで灯火がほわっと広がっていく感じ。ラストは寂しいが前に進むしかないのよね。メインの三人三様の演技、いいあんばい。
クリスマス映画
アレキサンダー・ペイン最新作、これは観ねば!と新宿へ
2時間超の上映時間、全く飽きることなく観せる力量は相変わらず
’70クリスマス休暇からの’71のニューイヤーの瞬間、自分が生まれた年、妙な感慨(゚∀゚)
話自体はよくある展開でオーソドックスなのだが、映像、音楽、どれも素晴らしく、映画を観た!という感覚
贅沢言えば、クリスマスシーズンに観たかったなと‥(夏に観る映画ではない)
学生役の新人俳優、栗山千明顔はともかく、教師役のポール・ジアマッティ、実年齢が自分より4歳しか違わないことに、ビミョ~に老いるショック! オワリ!
See ya!
「ホールドオーバーズ置いてけぼりのホリディ」ベトナム戦争下の寄宿学校が舞台のクリスマスホリディに取り残された3人の物語。これ、観客とそれぞれ3人とのバディ物語でもあるよね。脚本が素晴らしくて、当初は全く魅力的に感じられない3人の抱えた生き辛さ、孤独が少しづつ積み上げられるストーリーによって、その人間性に惹きつけられていく。そしてその展開が全然あざとくない。
誰かが勝手に決めた勝ち組でなくても、人生は祝福される、そんな映画です。
あと、劇中でバッドフィンガーの「No Matter What」が使われいます。ゴジラ×コングでもラストに「Day After Day」が使われていたし、密かに再評価されてるのか。
後半はロードムービーになるんだけど、ボールとタリーの旅を観ていて、三浦友和とオダギリジョーの「転々」を思い出したな。
キリスト教に関する文化がバックにあるとかなり有利
今年225本目(合計1,317本目/今月(2024年6月度)25本目)。
(前の作品 「おいハンサム」→この作品「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ」→次の作品「ターゲット 出品者は殺人鬼」)
ストーリーとしては、1970年代をテーマにした、キリスト系の高校(日本相当)のアメリカで、冬期休暇を取れなかった生徒と先生、学校の食堂の女性の方の交流を描いたストーリーです。
多くの方が書かれている通り、クリスマスというのは日本でもアメリカでもたいていの国では「何らかの意味で多くの方で祝う」文化が確かにあるので、こういった展開になるとちょっと辛いですね…。
PG12の扱いですが、序盤にやや不穏当な発言をする子(ひやかしをする子)がいるからで、その子たちがいなくなる30分くらい後は一般指定でいいんじゃないかなといった感じです。また、タイトルにも書きましたが、キリスト教のいわゆるミッション系学校がテーマなので、キリスト教に関する語句(モルモン教やらエホバの証人やらなにやら)が結構多く出てくるので、これらの知識があれば有利かなといったところです。
映画それ自体が言いたいことは理解できるし(特に、主人公の高校生の子が背景に持つ生い立ちの事項)、この映画自体はアメリカでは2022年公開のようですが、1970年をテーマにしたために、映画を最後まで見ると、今日では珍しい The End も出てきます(別に出たからってどうってわけじゃないですが)。
若干映画の長さとして難があるかな(インド映画でもない限り、120分を超えるとちょっときついし、この映画では飛ばせそうなシーンがいくつかある)というところはありましょうが、日本以上に普通に存在するアメリカのミッション系学校で「ありうる」ストーリーを描いた映画という点ではほぼ満足です。ただ上述通り、キリスト教に関する語句はどんどん飛んでくるので、そこの点がある程度知識として知っているかどうかでかなり差が出るかなといったところです。
採点上特に問題はないのでフルスコアにしています。
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