「マイペースの静かな少女が、自分の意志で歩き、やがて走り出すようになるまでの一夏の体験のお話。観ている内この少女を応援したくなく気持ちが心の中に芽生えてくる、そんな作品です。」コット、はじまりの夏 もりのいぶきさんの映画レビュー(感想・評価)
マイペースの静かな少女が、自分の意志で歩き、やがて走り出すようになるまでの一夏の体験のお話。観ている内この少女を応援したくなく気持ちが心の中に芽生えてくる、そんな作品です。
ポスターから受けた爽やかな印象が頭にありまして
作品紹介を読んだところ、親戚の家に預けられた少女の
ひと夏の物語。 うーん。気になるかも。
というわけで鑑賞したのですが … ・_・
何とも不思議な味わいの作品だったかと。・-・ハイ
家庭の事情で夏の間、知り合いの家に預けられること
になった一人の少女のお話 です。
少女の名前はコット。9才。
人より飲み込みが遅く あら
行動もワンテンポ遅く あらら
自分の世界に浸ることが好きな少女。…ふむ。
自分に自信が無くて
周囲の目を気にして
父の声に怯えるように
姉の蔑みの視線を浴び
オドオドしながら暮らしている。
コットはそんな女の子。 …うーん。
親戚夫婦の家での生活が始まった。
夜にトイレに行けずに漏らしてしまったり
牧場の牛をおっかなびっくりお世話したり
水汲みに行った先の泉に落ちてしまったり
失敗するコットを、親戚夫婦は叱らない。
落ち着いて自分の行動が出来るようになり
借りた子供服が男の子用だと気がついたり
離れたポストまで郵便物を取りに行ったり
オドオドした女の子が、次第に変わっていく。
顔にも表情が現れるようになっていく。
ゆっくりと、心が育っていくコット。
その姿を見ている内、次第に観ている側の心にも
ゆっくりと愛おしさが増えていく感じがした。
◇
帰宅してからの事。ふと
"窓際のトットちゃん" が思い浮かんだ。
性格は、似ていない。
全く と言って良いほど似ていない。 ・-・;;
けれど
” もしも ” の世界として
トットちゃんにあれだけの行動力が無かったなら
トットちゃんの両親が別の夫婦だったなら
トモエ学園に通っていなかったなら…
この作品のコットは、もう一人のトットちゃんの姿なの
かもしれないなぁ と、そんな風に感じてならない。
◇
人生の中で、転機になるコトが誰にでもどこかにある。
コットにも転機が訪れる。
本人が転機と思ったかどうかは分からない。
けれども、親戚夫婦に預けられた一夏の体験は
この少女に足りなかったモノを埋めてくれた。
愛情を受けること。
行動すること。
周りの人をを知ること。
知ろうとすること。
夏休みが終わり、家に戻る日。
送り届けられ、立ち去ろうとする親戚の夫婦を
走って追いかけ、しがみつくコット。
” ありがとう ”
” 帰らないで ”
” 連れてって ”
その姿が健気で愛おしい。
少しだけども、確かに
成長したコットの姿がそこにあった。
そう思えるラストシーンだった。
鑑賞後にじわじわと、暖かい気持ちが広がっていく
そんな作品だったかと思います。
※年齢を重ねた人ほど、優しい気持ちで観られる
作品なのかも。そんな風にも感じます。・-・
◇あれこれ
■タイトル
原題 An Cailin Ciuin (訳:静かな少女) ※google翻訳先生
邦題 コット、始まりの夏
どちらにも味わい深さが感じられる気がします。・_・♪
■ヒロインの子
9才の子にしては少し大きい気がしたのですが
実年齢は12才なのですね。なるほど。
今作での役がとても大人しい主人公だったので、次はもっと
違った作品での演技も観てみたいです。
■同じような状況を描いた作品
70年代ころの漫画に、似たような雰囲気の作品があったような
気がしているのですが、思い出せません。・_・; ウーン
少女漫画だったかなぁ…。モヤモヤしてます。
◇最後に
預け先から戻る日。
面倒見てくれた夫婦の車を全力で追いかけたコット。
私道からの出口の扉のところで追いつき
おじさんの首にしがみつく。
そしてさらに,コットを追いかけてきた父。
コットを持て余しているような態度があからさまだった
人物なのだが、どんな心境の変化があったのだろうか
ラストの後、コットと彼女を取りまく人達の人生が
どのように変化していくのだろうか。
この登場人物たちのその後をあれこれと想像しています。
◇だそく
※ ラストシーンで追いかけてきたコットとおじさんの会話
” 行ってしまうの? ”
” …うん コワーイおじさんが追いかけてきたからね ”
” 私を連れていって。牛の世話はまだ出来ないけど、きっと覚えます ”
” バカなこと言ってんじゃないよ クラ… いや コット ”
…。
だから蛇足だと…。
すいません。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
マサヒロさん、コメントありがとうございます。
と、マサヒロさんのレビューに返信を と思ったのですが
なんと「コメント不可」ではないですか。あらま。@-@
仕方がないので自分のレビューにぶら下げます。
>だそく
笑ってくれる方が居て良かった ・_・; 本望です。
>決めゼリフ
そんな大げさなシロモノでは…。
けど 気に入っていただけて何よりです。
※「決めゼリフ」というと、昭和の時代劇あたりが
頭に浮かんで来ます。(…遠い目)
遠山の金さんが、悪人どもに桜吹雪の刺青を見せながら
” この遠山ザクラ すべてお見通しでぃ ” とか
” 散らせるもんなら 散らしてみやがれ ” とか
月に代わってお仕置きよ♪ とかも決めゼリフですね。
と、とめどなくなりそうなので自重します。
ダソクが笑えました。 ”もりのいぶき” さんのレビューの最後の決めゼリフ「☆映画の感想は~」が気に入ってます。 今までニックネームは覚えてなくて、 ”きめぜりふの人” で覚えていました。 決めゼリフがあるレビュアーは他にいないと思います。 今回、ニックネームも覚えました。