本を綴るのレビュー・感想・評価
全6件を表示
苦悩する作家の旅、書店の試行錯誤
この映画の観賞後、本がますます好きになり、
本や本文化はもちろんですが、「書店員さん」も大事だと再認識。
店員さんが、書棚と書棚の間で考えながら作業をしている姿は、知的で静か
な文化遺産そのものです。そして、店主の個性も魅力です。
『本を綴る』
役者さんは皆、自然体で、こういう人って絶対「いるいる」に笑います。
初主演になる矢柴俊博さんの、瞼までピクピクさせる熱演に乞うご期待。
矢柴さんの良質な演技の中に見え隠れする「鋼のような強さ」がこの映画を
貫いていて軸ぶれがない。終盤、彼の着地点が見つかる事によって、観る側
の気持ちもふわっと軽くなります。(本も応援したいので、星は多め。^ ^)
矢柴さんは「小さな作品ですが、皆さんと一緒に育てていければ、、、」
とコメント。一年かけて大きく育ち、また東京に戻って来る日が楽しみです。
色んな意味で本が好きな人達が作った映画 そして優しい気持ちになれる...
色んな意味で本が好きな人達が作った映画
そして優しい気持ちになれるような映画だった
黄色い消防車
旅をしながら全国の本屋をまわりコラムを執筆する本を書けなくなった作家の話。
かつてベストセラーになった本を書いたが、その作品が誰かの灯火を消すことに繋がったことを知り、小説を書けなくなった主人公が、図書館や本屋を巡りながら、思いを届けたり、自分と向き合ったりするストーリー。
本屋がなくなっていく理由は活字離れに加えて、利益が少ないは万引きが多いはネットで買えるはというところでしょうか…そんな現状の中で、本を愛する人や本屋を営む人たちと交流していく展開だけど、残念ながら年に10冊程度しか本を読まない自分には思いは届かず…。
昔は倍以上読んでいたけれど、その時でも、本は読むけれど本屋に思い入れはこれっぽっちも無かったしね。
婆ちゃんのロマンスの話しも関節的だし、いくらか感情が入ってきたのは旅館でのやり取りぐらい。
決して悪い話しではないけれど、話しがピンポイント過ぎるのか、そんなものなのかねぇ…というだいぶ他人事な感じに終止した作品だった。
本がつなぐ物語
那須から始まり、世間は狭いなぁと思う反面、行く先々の出会いが都合良すぎやしないかと。
とはいえ、それぞれが前に進む、それを本が繋いでいく、なんて素敵なお話なんだろう。
重くなりすぎず、落ち着いたテンポで、期待以上に好み。
図書館が徒歩圏内なので、最近まで移動図書館が何のためかよく分かってなかった。
離島にだって読書家はいるもので、とても意味のあるものだと知った。
矢柴さん、今作は良い人の役だったけど、腹立つ嫌な奴が似合う時もあって、得なお顔立ち。
予期せぬ特別出演にオッとなった。
居場所探し
ロケ地の縁で、那須塩原では先行上映されていましたので、劇場鑑賞。
チラシに「本の居場所、自分の居場所」というコピーがありますが、これは秀逸。まさに、そういう内容です。
自作小説で人を傷つけたことを悔やむ文筆家が、那須、京都、高松と、地域に根差した書店を巡り、市井の人々との出会いを通して、自分の「居場所」を再発見していきます。
各地の情景や、庶民の等身大の悲喜こもごもが、共感を持って静かに心に響く良作でした。
全国公開は2024年秋とのことですが、今日は上映終了後に監督さんと脚本家さんのトークまで聞けて大満足。
この監督さんは、以前ぴあ映画生活で交流のあった方のお勧めでDVDを購入した「月とキャベツ」を撮った方だということは、帰宅後に知りました。
あの作品も好みだったので、それなら一言声を掛けても良かったと、予備知識不足を後悔しています。
トークによれば、元々は本屋を題材にしたドキュメンタリーから企画が生まれたようです。街の個性的な本屋さんの実話が登場するのも一興で、ロケ地を訪れたくなる味わいもあります。静か目の映像も演技もしっとり心に沁みて癒され、前向きな気持ちになれます。
こういう真面目な作品が、来年、全国でヒットすれば嬉しいです。
全6件を表示