「良いセリフはある。でも、人情話だとしても、プロット・脚本がひどすぎる」あまろっく p.f.nagaさんの映画レビュー(感想・評価)
良いセリフはある。でも、人情話だとしても、プロット・脚本がひどすぎる
主役の江口のりこがうまかった。物事に批判的で、人あたりの悪さ。そのクセの強さがこの映画の面白さになっていると思う。
タイトルの「あまろっく」は、劇中のセリフで重要な言葉として使われていて、確かにそういう存在は大事だよな、と共感した。
架空の人情話だから、気にするべきでもないのだろうが、プロット・脚本がひどいと思う。そんな展開にはならないでしょう、ということが多く、話についていけなかった。
・父親を反面教師にして努力するのは良いけど、京大に入って、ボート競技で活躍するまでになる理由としては弱い。そんなに簡単に京大には入れないでしょ。実名の「京大」と設定したのはやりすぎと思う。
・同僚に対して厳し過ぎることでリストラされるという設定も、そんなことが起こるとは思えない。EQが低い場合、(出世はできないけど)それを理由に解雇というのはあり得ないと思う。さらに、最後のシーンで、町工場の社長としてうまくやっているという設定と矛盾している。
・主人公の相手である、京大卒のエリート商社マンの行動・判断は、ことごとくあり得ない。輝いていた京大時代を知っていたとしても、今の姿を一目見れば、近づきたいと思う方がおかしい。七味を入れ過ぎたうどんのエピソードも意味不明なレベル。デートでも「誠実」というより「卑屈」になっている態度も理解不能。特に、プロポーズをするという判断、商社を辞めるという判断は意味不明を超えて悲惨なレベル。
・まだ他にもあるが・・
主人公たちが涙を流して良いセリフを言ったりする場面はあり、家族愛を訴えるテーマ性もある。しかし、あり得ない展開が多すぎて、映画としては評価できない。せっかく映画を作るなら、もう少しまともなプロット・脚本を練ってほしいと思う。