型破りな教室のレビュー・感想・評価
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いい話。
心震える映画、出会えてよかった
『いまを生きる』他の作品との共通性
一番イメージが近いのは、『いまを生きる』であろう。教師が机の上に立ち上がったり、様々な働きかけをして、子どもたちに既成概念から脱却するような発想ができるように仕向け、管理職や同僚、保護者から睨まれ、子どものなかから死者を生みだした挙げ句に職場を追放されるところまで行く。同じ中央アメリカの貧困な環境で生活する『マリア怒りの娘』のような状態があり、『泥の河』に出てくる子のように、学校の外から羨ましそうに覗き込む子がいたり、『人間の壁』に出てくる子のように、家庭で子守をしなければならないために学校に通えない子がいたり、『宙わたる教室』のように、科学に興味をもち、自分たちで工夫して実験装置をつくり上げる子がいたり、悪い環境から抜け出そうと藻掻く子もいたり、『みんなの学校』のように、助け合いの日常生活の積み重ねでテストの点数も上がったりする成果を挙げたり、『風をつかまえた少年』のように、学校で学ぶことができなくても、図書館で自分で調べて知識を高めようとする子がいたりするように、つながりが広がっていく。
浮力の原理の発見では、アルキメデスを出してほしかったところだった。
エンディングで、実話に関わる写真で、パロマしか出さなかったので、少し疑問に感じた。命を失ったニコや学校に通えなくなったルペのことを忘れさせないことこそ、仲間の絆が確認されるところではないかと感じたところであった。しかし、その二人は架空の人物であったようだ。それならばせめて、パロマが自分の学力でどんな社会貢献を果たそうとしているかを語る場面があったら良かった気がする。
日本の教育現場でも失われつつある
メキシコの辛くともからっとした感じ
先生と子供たちのやりとりがとてもいい。子供らが過酷な現実もありながら前向きに、課題や日常に取り組んでいくのを見て、頑張ってほしいと思う。メキシコの情勢を知る機会にもなった(アメリカへの移民で話題になっており)。担任の先生と、数学の特異な子、哲学の好きな子、校長先生とのやり取りが心に残った。
予想通り・その通りの内容ですが、そんなの関係ないくらいに─
ずーっと気になっていた作品でしたが、多分ああだろうとか恐らく型破りでも結構ありふれたものがたりじゃね?なんて酷い思いから、まぁ見逃しても─なんてことも感じ始めていましたが・・・
ようやく見ることができたわけですが、内容は、その通り!といったもの。でも、想像しないくらいに心に響きました。
理想と現実、そのせめぎ合いが実に素晴らしくて、まさに喜怒哀楽すべてを刺激される傑作ではないでしょうか。
あまりの内容の面白さに、その質とか演出とか、そんなテクニカルなところなんて全く気にならないくらいで、むしろ、周りから聞こえてくるあらゆる水音の方が気になったくらいに、見ている人みんなが作品に見入っていたような気がします。
こんなことを言うと元も子もないとは思いますが、この作品のこの内容ならば、映画という媒体でなくとも、テレビでも携帯でも、極論小説や漫画であっても、同じような感動を味わうことができるではないでしょうか。
自分の場合は、誘惑を遮断してくれる映画というこの閉鎖空間こそが最も集中して堪能できるので、この映画は最高です、ということになります。
メキシコの、治安最悪の地帯にある、小学校。 学力も最悪、やる気もな...
過激で型破り
メキシコの国内事情を背景に描かれる実話ベースのお話です。どうしようもないやるせなさを感じると同時に、子供たちの将来への希望も熱く伝わってくるお話です。
作品紹介を読んで気になった作品です。
メキシコの映画を観るのも初めて(多分)な事もあり
鑑賞してきました。・_・
お話はというと…。
◆アウトラインは
貧困と暴力、そして格差。
画面に映し出されるのは、メキシコという国の実態。
老婆の座った車椅子を押す少年。
近づいてきたバイクの少年が「隠れていろ」と言い
そのすぐ後を、手を縛られた男が車に繋がれて
どこかへと引き立てられていく。んー
日本なら、戦後の混乱期でも見ることのないような光景かも。
「MADMAX」の世界感を持った作品なのかと錯覚しかけた。
だが、メキシコでは良く見かける光景のようだ。@_@;
多くの子供は小学校を卒業すると働き始める。いや
かなりの割合で、小学校を卒業できない子供もいるらしい。
子供は家庭内の貴重な労働力になっているのだ。
明治、大正、そして昭和と。
戦前の日本の農村部なども、子供の立場は似たようなモノだった
のでしょう。しかし、この作品の時代は今から数十年前などでは
ない。2011年。
今からほんの10数年前に起きた実話がベースになっている。
◆あらすじ的な内容は
舞台となったのは、マタモロスというアメリカとの国境近くの町。
その町の小学校に、一人の教師がやってきます。
そこから始まる、教師と生徒たちとの交流のお話です。
教師の教え方は、恐らく「指導要領」とはかけ離れたモノです。
最初は当然、とまどう生徒たち。(それはそうかも ・_・;)
けれども、この教師が生徒に教えようとしているのは「考える力」
であったり「積極的な行動」だったりします。
この教師、校長先生をも巻き込みながら、時には強引に、時には
一歩下がりながらも自分の考える方法で子供たちに接して行くのです。
(この校長、好きです♡)
次第に「考える楽しさ」が分かってきて、画面に映る子供たちの姿に
「明るさ」が見えるようになっていくのが印象的でした。
けれども、順調に進んでいくばかりではなく… あら
・そんな教師を快く思わない「旧態依然」な教師たちの反発
・本来学ぶべき学習項目がほとんど進んでいない
・全国学力テストの「不正」への参加強要
・卒業後には現実が待ち受ける子供に「夢を見せるだけ」との反発
そして、天才女子生徒に仄かな恋心を寄せるようになった男子生徒。
彼には、不良組織に加わっている兄がいる。
自分も手伝い的な行動をしていたのだが、組織に入らないと伝えると
それを許さない不良組織の手が、その女子生徒に伸びてしまい…。
あああ…
◇
と、まあ
メキシコの抱える 光と闇、それを描きながら未来への希望をも描き
出した作品。ひと言で言えば、そんな作品に思えました。
単純に面白いとか悲しいとか、それだけの内容では無いです。
くすっと笑ってしまう場面も多々あるのですが、終始表面には出て
こない奥のほうで、何か穏やかならざるものを感じてしまう…。
複雑な感情が交錯しながらの鑑賞でした。 …・_・;;
けれど、 観て良かった。
それは間違いないです。
◇あれこれ(登場人物に寄せて)
■フアレス先生
迷える導師。
生徒を導きたい想いに溢れているが、時には自分も導かれたいヒト。
校長室に乗り込んで何を言うのかと思ったら
” 君は正しい と言って下さい ”
” …… ”
” 君は意味不明だ ”
うーん そうなりますよね。・_・;
■ルペ
悩める哲学者。
現実を見ながら未来への扉を探す君のコトだから
回り道したとしても、学びたい気持ち揺らがない。きっと。
産まれたばかりの妹を抱きかかえ見つめる表情には、家族
への愛が感じられるただけではありませんでした。
きっと数年先の進学と、それまでに学べることを模索して実践
し続けるのではないだろうか。そう思います。
■バロマ
優しき天才。
学びたい。けれど目立ちたくない。
父を見捨てるなど考えられない。
ならば夢を諦めることは…できる? できない?
手作りの望遠鏡を作りながら将来への夢を観ていた少女の前に
現れた一人の教師が、希望の扉を開くきっかけをくれました。
■ニコ
悲しき不良(…の予備軍)
” どうすれば女の子の気を引けるの?…センセイ ”
気を引くどころか、パロマの永遠の記憶として心にに残りました。
間違いなく、君はパロマのヒーローだ。
■チュチョ(校長センセ)
この人を忘れてはいけません。・_・
最初はアタマの固い、古い考えの先生かと思わせておいて
次第にフアレスの影響をうけ、自分も変わり始める人。
もしかしたらこの先生も昔は、熱き志を抱いていたのかも。
◇最後に
作品を通して振り返ったとき、印象に残っているのが
「 子供たちのキラキラした瞳と笑顔の表情」です。
ルペもパロマも、他の子供たちもみんな輝いてました。
この子たちの将来が、より良いものになりますように。
そう願わずにはいられません。
◇おまけ ・_・ あら?
フアレス先生の中の人(?)
” フアレス先生、巻き舌の発音を教えて下さい ”
” 来る作品が違うようだが、まあ良い …こーだ ”
「あいのうた」でも熱血指導の教師でした。・_・♪
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
観たあと、色んな思いが浮かんでくる映画
観てよかった。
過酷な家庭環境と、知を一方的に「伝達」される授業で、学びに対してやる気や意欲を奪れていた子どもたちが、新任熱血教師の探求的授業によって変わっていく。
日本の現状に重なるな。
最後、母親に乳児の世話のため学校を休ませられた子が結局登校できなかったのは残念。
でも彼女には公共図書館がある。
彼女が学校の図書室に本を探しに行って、空っぽな書架と司書のさんざんな態度にへこまず、そのあと公共図書館に行って、たくさんの本に出会い司書のレファレンスに助けられるシーンは、すごくよかった。
学びは学校だけじゃない。
彼女はきっとそうやって学び続けるだろう。
だって、先生から「可能性は誰にもある」と気づかせてもらえたから。
よき映画でした。
メキシコの厳しい現状
実話ベース&主演のエウヘニオ・デルベス(『コーダ あいのうた』の音楽教師役)が先生役という
ことが鑑賞動機です。
主人公フアレス先生と校長先生の関係性が徐々に熱い友情になっていくのが、すごく胸熱でした。
また、生徒のパロマ(実在の天才少女)、ニコ、ルペ、この3人にスポットを当てて
物語を進行させていき、この3人の学問への興味・向かい合おうとする姿勢が
フアレス先生との出会いによって変化していくところも、すごく胸熱でしたね。
ただ、メキシコという国の状態、それぞれの家庭環境、この国の文化、が、
なかなか教育・学問で素晴らしい成績をおさめたり、天才的な子どもがいても、
世に出ていくのが難しかったりするのでしょうね。
そういうことを思うとやるせなくなったりもしました。
でも、胸が熱くなる、すごく良い作品でした。
フアレス先生・校長先生をはじめ、子どもたちの俳優陣の演技も素晴らしくて、
良い映画を観たなあと、うれしく思いました。
こういう作品との出会いがあるから、映画鑑賞は楽しいですし、人生が豊になるように思いますね。
メキシコの土地の様子はリアルだが、肝心の教室内容は少しガッカリ
評判の良さに惹かれて鑑賞したが、教員としては期待はずれであった。教師は大勢の生徒を相手にすることに大変さがある。特にこの映画のような地域ならば、問題を抱える生徒は何人もいるはず。それなのに、全編を通して主人公教師が関わっていることが描かれるのは3人の生徒のみ!(そのうちの1人が全米1位をとったという実在の優秀な子。)また、描かれる授業内容が目新しくないのにもガッカリ。等差数列の合計を直ぐ出せた生徒を天才の証拠のように描いたり、生徒を惑星に見立てて自転させたり、どこでもやっていることでは?冒頭で、主人公が生徒の興味を引こうと投げかけても、生徒はキョトンとするばかり、という場面こそがリアルで、そんなにすぐ浮力の理解ができる子ども達になるか?
ただ、乾いたメキシコの風景には目を奪われた。これは一見の価値がある。
太った校長先生がだんだん味方になってくれるのは微笑ましい。子守でまた学校に行けなくなったルピはどうなったのか気になる。
国境沿いの学び舎。
実話を元にしたメキシコ発の意欲作。ギャングが蔓延り、銃声が鳴り響き、通学路には死体が転がっている。そんな日常を生きる子供達。実在する国境付近の小学校を舞台に学ぶことの意味やその価値、そしてメキシコという国を生きる子供達の置かれた環境など、色々と考えさせられました。
全国でも最低レベルの小学校に新しい先生が赴任してくる。そしてカリキュラムそっちのけのまさに型破りな授業が始まる。初めは警戒心MAXだった校長も巻き込んで、眠っていた子供達の好奇心が刺激されてゆく。これこそが学ぶことの本質なのだと思い知らされる。
まるでドキュメンタリーのような授業のシーン。演技を越えた子供達の自然体な姿がとても眩しい。一方で日本ならまだランドセルを背負っている年代の子供が銃を手に大人達の小間使いとして消費されていくというメキシコの現実。どこの国であっても、未来を生きる子供達から学ぶことを奪ってはならない。
傑作
大感動作でした。子どもたちの学びたいという気持ちを何より重視する事ができれば子どもたちの本来持つ可能性を引き出すことができる、と。教育を受けたことがある人、教育をする人、とにかくすべての人に見てほしい傑作です。「コーダ」でも教師役が素晴らしかった主演俳優がこちらでも(タイプはまったく違いますが)素晴らしい教師を演じています。
一点、思ったことです。教室の中で哲学に興味をもった少女が、家庭の都合で子守をせざるをえなくなります。この少女には少なくとも作中では救いはありません。しかし、この少女を描くことは製作者のメッセージを伝える点で大変重要だったのだろうと思います。
つまり、作品の中では素晴らしい教育の機会を得た子どもたちが描かれますが、実際にはこの哲学を志した少女のように、学びたいと思いながら家庭の事情で学べずにいる子どもがたくさんいる、ということです。「なんで親は自分で子育てできないのに子どもを作るのか」と親を責めることは簡単です。しかし親は親で働かなければ、子どもという稼ぎ手をつくらなければいけないという事情もあるでしょう。その課題こを、国がしっかり解決すべきことです。それを作り手は訴えたかったのだろうと思います。
小学校を覗いていた男の子が印象的
教育を受けることができる環境は誰もが持っているわけではない。
小学校を覗いていた男の子が印象的でした。彼は裸足で荷車を引いて服も砂埃だらけで、きっと働いているのでしょう。年齢は低学年くらい。覗いているだけで小学校の生徒ではない。学校の内側と外側の対比にもなっているのか、教育を受けること、学校に通うことができること自体が恵まれている側なのかもしれない。善き教師との出会いって、ほんとうに子どもの将来を左右するほど大切なことですね。子どもの笑顔にこちらも笑顔になりました。
25-008
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