「自分の頭で考えてる?」型破りな教室 シネマディクトさんの映画レビュー(感想・評価)
自分の頭で考えてる?
ベタな教師モノと思っていたら、やはりベタなんだけど、国家が行う教育とは何かと改めて考えさせてくれる作品でした。メキシコでも治安が悪い地区にあり全国統一テストでは最下位の小学校にやって来た教師が、文字通り型破りな授業で生徒達を惹きつけるお話しです。わかってはいても、教師の一言で今まで考えもしなかった未来に子供達が眼を輝かせるのは、ジーンときます。この一言や教室で出される問題が頭にインプットされた子供達が、自主的にその事を考え続け結論を見出す過程が、微笑ましくも楽しいです。子供の個性を大事にと言う甘い教育論でなく、ネットに頼らず自分の頭で何が正しいのかを考え続け発見し答えを出すことの楽しさと大切さを強調しているのに好感が持てます。もちろん、子供達が全員ハッピーになれるわけでなく、厳しい現実もしっかり描いているのもいい所ですね。一方で、教育委員会のお偉方の目指す教育や試験は、国や社会の一員としてコントロールしやすい国民を育てることであり、映画のジャンルは違うけどキューブリックの『フルメタルジャケット』で新兵を同じ基準の兵器に訓練していたのを思い出しました。役者では、まさにエウヘニオ・デルベスの独壇場で、この人『コーダ』でも音楽教師役がハマってました。校長役のダニエル・ハダットもいい味でした。
コメントする