「陰陽師実写化史上一番の再現度」陰陽師0 映画フリークさんの映画レビュー(感想・評価)
陰陽師実写化史上一番の再現度
私は小説版のファンで、野村萬斎バージョンの『陰陽師』にがっかりしていた当時の私に安心してと教えてあげたい作品。
平安時代の、京都の、和の美しさというものを日本人の繊細な感覚で表現しつつ、小説の中に存在するぴりっとした緊張感を残して再現していて、監督やスタッフさんの、美意識の素晴らしさを感じました。
紫と黄色は帝にしか許されない色ではなかったかいな?透明な硝子の酒椀はあったのかいな?という疑問はあったけれど、【光る君へ】より上下社会をリアルに表現していたと思います。
本当は帝や上位貴族といち陰陽師が直接話すなんて無かっただろうし、絶対同じ座にはいなかった。砂利に座って待機していたのはリアルで良かったと思います。女性が御簾越しに会話したのまで表現してしまうと、絵に収まらないのでそこはしょうがないと思えるけれど。
博雅と晴明の関係性は小説の通りしっかり描いていて、原作読んでる人ならニヤリとする台詞が沢山盛り込まれていて嬉しく思いました。
原作どおりなら式神や晴明の屋敷の描写もしたかっただろうけど、『呪』をテーマにするなら整合性合わなくなるところも混乱する観客も出てくるだろうからもう出さない!という思い切りも好感がもてました。
『安倍晴明』を世界へ紹介することを意識してるのかなという意図をすごく感じて、海外の『安倍晴明』を知らない人には羽生結弦が演じた『SEIMEI』は確実に入り口だったわけで、
そのファンに、【これがSEIMEIですよ、羽生結弦はこれを演じていたのよ】と説明しつつ日本の良さ(日本映画の良さ)をアピールしたのかな、と思いました。
夢と現の境目が曖昧だったという時代やそれを原作で表現されていたのをちゃんと表現されていることにめちゃくちゃ感銘をうけたし、
晴明と博雅のキャラクタがしっかり反映されていた。この点をツッコむ人がいたら、原作読んだらいいよと伝えたいです(笑)
脇役も良かったですね。大御所俳優あれだけいると犯人が誰かすぐには分からないっていう(笑)そして鬼滅の刃思い出したの私だけじゃないはず(笑)
アクションや呪のシーンもとにかく無駄なく美しく必要なだけ入れる。マーベルとかハリウッド映画のアクションに慣れてる人は物足りないかもしれないけれど、物語の緊張感を保つのにダラダラしないのはとても良かったと思う。
パンレット読めば分かるけれど、『呪文』に関してもこだわりがあり、聴いていて耳触りもよかった。
この映画はまたお金払って観たいし、何かしらの動画配信で家庭の大画面で観られるようになるのが待ち遠しい。
バンプのエンディングテーマも良かったな〜。
原作ファンなら観るべきだし、話題になるし考察やりとり楽しそうなのでカップルにもオススメ、山﨑賢人ファンは絶対観るべき作品。一部グロシーンあるので未就学児は注意必要。