劇場公開日 2024年4月19日

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「明るく爽やか呪術物語。これはこれで楽しいけど。」陰陽師0 あんちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0明るく爽やか呪術物語。これはこれで楽しいけど。

2024年4月21日
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鑑賞方法:映画館

脚本は夢枕獏の「陰陽師」シリーズと京極夏彦の「百鬼夜行」シリーズをつき混ぜた感じ。「この世には不思議なことなど何もないのだよ」(by 中禅寺秋彦)
映像の方は陰陽寮の感じはホグワーツ魔法魔術学校にそっくりだし、仮想空間での戦いはマトリックスに似ている。つまり古今東西のファンタジーの要素をいいとこ取りしたっていうところか。
それはそれで別にいけないわけじゃない。面白ければ良い。でも仮想空間(映画の中では「それぞれの心の中」と表現)がどこもかしこも明るく清潔で広々しているのはどういうことか?特に博雅と徽子女王が「繋がっている」デジタルショールーム(背景で雪や桜の映像が切り替わる)のような空間。理由はなんとなく分かる。抽象度が高ければ高いほどCG処理はやりやすくなる。つまりボロが出にくい。海外作品に比べどうしてもSFXやVFXの予算が少ない日本映画の方法論の一つだと思う。
でもそもそも陰陽師っていうのは平安の闇の中、怨霊や人の怨念が乗り移ったあやかしと戦う話ではなかったのか。もうちょっとドロドロしてた方が感じなんだけどな。まあ、ヤング◯◯っていうのはだいたいこんなものか。
徽子女王の人物像にも違和感がある。博雅への思いが金の龍になって、という話なのだが、ちょっと綺麗事過ぎるよね。六条御息所のような生霊になるとか、怨念が陰部から出て黒いヘビになるとか、いったあたりが平安ヤミ落ちあるあるだと思う。最後に博雅への思いをきれいに断ち切り帝を受け入れるとニッコリ笑って言った時、違うだろと思わず叫びそうになってしまった。せっかく奈緒を起用したのにね。相変わらず彼女の顔に張り付いたような笑顔は怖く、最後の最後までドンデンがあると期待していたんだけど。単なるいい子ちゃんを彼女に演じさせてどうするの。

あんちゃん