「人の心の闇が晴明を襲う。晴明と博雅の友情がいい。恋が裏(?)テーマ?。(追記)恋愛パートは要らないと言う意見に納得。」陰陽師0 マサヒロさんの映画レビュー(感想・評価)
人の心の闇が晴明を襲う。晴明と博雅の友情がいい。恋が裏(?)テーマ?。(追記)恋愛パートは要らないと言う意見に納得。
平安時代は人とモノノケと鬼が同じ場所空間に住んでいたというナレーションが入る。しかし、今回、安倍晴明(山﨑賢人さん)が戦う相手は実体があるモノノケや鬼ではなく、人の心に巣くう闇。 具体的には嫉妬心が鬼となり呪となって安倍晴明を襲う。
ヒェー(>_<)、鬼やモノノケも怖えーけど、人の心も怖ぇ~と思った。
後半に明らかになるが、結局 帝の何気ないひとこと 「 (天皇専属の陰陽師は) 安倍晴明ではどうか?」 が、陰陽師の総ボス藤原義輔(小林 薫さん)の嫉妬心に火をつける。それが今回の事件の発端。
年功序列か実力主義かという現代にも通じるテーマなのかもしれない。
心の闇は晴明にもあって、それは晴明のパパとママを殺したヤツに対する怒りと恨みだ。晴明が呪で意識の世界に落とされた際には、怒りの炎で晴明も危うくなる。それを間一髪、横笛で救ったのが最近友だちになった先々帝の孫・源博雅(染谷将太さん)。 博雅は最初こそ晴明に、 「お前なんか一生友だち出来ないぞ」なんてこき下ろしていたが、他人が晴明の悪口を言うと逆に「晴明はいいヤツなんだ」みたいなことを言って、一生懸命に晴明をかばう。なかなかイイ奴である。
身分と役職を越えた友情みたいな感じで、なんか青春物語っぽい感じがした。
安倍晴明だから戦いも基本は、結界張ったり、印を結んで呪術で怨霊退散なんて感じなんだけど、演じてるのが何せ山﨑賢人。山﨑賢人と言えば大立回りのアクショでしょう。というわけで、キングダムやゴールデンカムイとキャラが違うので1回だけなんだけど、監督がちゃんとやってくれました。平安調の着物を生かしたアクションが良かった。これこれ、これが見たかったんだよと心の中で大きくうなずく。
平安時代といえば恋を忘れちゃいけない(スッカリ忘れていた)。 描かれたのは、徽子女王(奈緒さん)と博雅の身分違いの禁断の恋。これがまたいいんだ。最初はお互い想いあってるのに口に出さない感じで、見ていて 「なーに中学生みたいなことやってんだ」と思っていた。それに安倍晴明の映画だから、この2人の恋バナはこれ以上広げないと思っていたら違った。ガッツリ描いてて、かなりグッときた。
村上天皇が徽子女王への文を博雅に託したところから、まじラブストーリーの様相を呈してきた。庶民なら自由恋愛がアリだったかもしれない。だけど身分制が厳しい貴族社会の恋となると簡単でないだろう、しかも相手は現職天皇だ。徽子女王への文を頼まれた博雅は断るわけにはいかない。ましてや、自分は徽子女王が好きだから遠慮してくれなんて口が裂けても言えない。一方、村上天皇からの文を博雅からのものだと思ってウキウキ気分で読んだ徽子女王は奈落の底につき落とされる。嘆き悲しみ激怒して博雅をなじる。 「どうしてあなたが持ってくるの、なぜ断らなかったの、どうしていつも皆んな私の気持ちを考えないで勝手に決めるの」。涙ながらに博雅が好きだという徽子女王にワシの心も張りさけそうじゃったヨ。このまま一緒に逃げようと言う徽子女王に、それは出来ないと言う博雅。そんなことは徽子女王も分かってる。2人の悲しみが怒涛のように打ち寄せる。うわー勘弁してくれ、油断した、安倍晴明の映画でこんな展開になるとは思ってもみなかった。それにしても2人が不憫でならん。 → (つづく)
(つづき)
中略 (/--)/ 。 そういうワケで深いところで博雅と繋がってることを知った徽子女王は笑顔になる。そしてその想いを胸に秘め、村上天皇のところへ行く決心をする。自分の身分、境遇をわきまえ、運命にしたがう。結局、想いを寄せる2人が一緒になれないのだから悲恋だとは思うが、奈緒ちゃんが笑顔なので良しとする。
「他の人を抱いていても、心はいつもあなたといるわ」というのも少しコワイ気もするが。
山崎賢人さん、古代中国、明治時代、平安時代といろんな時代に引っぱりダコだと思った。
【追記】2024(令6)/4/27(土)
「恋愛パートが気に入った」とレビューしといてこう言うのも変だが、他の何件かのレビューで 「恋愛パートは無くても良くね?」とか「それよりかもっと陰陽師の活躍や呪術の映像化を見たかった」というのが有って、言われていれば、ああ、そうだな、恋ばな部分は無くてもよかったなと思った。
確かに僕は、陰陽師・安倍晴明の呪術を使った活躍を見たいと思って見に行ったのであって、ラブストーリーを見たくて行ったのではないと改めて思った。
だが、恋愛パートも含めて楽しめたという感想はいまも同じである。
続編が見たいと思った。平安時代って記録が少ないから、フィクションではやりたい放題のなんでも有りだ。 映画監督、小説家、漫画家の腕の見せ所でもあると思う。
だけど、安倍晴明が空を飛んだり、竜の背にのって平安京の上空を飛び回るのだけは取りあえずやめてほしいとは思う。