スイート・イースト 不思議の国のリリアンのレビュー・感想・評価
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ダルい女子高生にタジタジになるオッサンどもの敗退録
オッサンどもが(若い男性も女性もいるが)、無感動、無関心で退屈しきった女子高生を手懐けようとしては逆搾取にあって撃沈していくという、なんとも皮肉で奇妙なロードムービー。しかし主人公のリリアンはリリアンなりに、自分で次の状況を切り開くし、ダルい無関心娘なりにそのときどきを楽しんでいる。しかし圧倒的に自分本位であり続け、世界が狂っていることなど意にも介さない。おそらくリリアンが生まれてこの方世界はずっと狂っていて、彼女にとってはごく当たり前の初期設定でしかないのだろう。
この空っぽの女子高生がやけに魅力的に見えてしまうこと自体が、オッサンどもが若い女性を搾取しようとする構造の裏返しでもあり、自分の中にも眠っているほのかな欲望を見透かされたようで、居心地が悪いような、風通しがよすぎて笑ってしまうような、非常に中途半端な気持ちにさせられ。なかなかほかの映画では得られない感覚を味わえる意味でも最高。とっつきにくいが、一度ハマると笑いっぱなしのブラックコメディ。とりあえずリリアンが歌い出したあたり(かなり序盤だが)から、すべてを受け入れると覚悟を決めて観ることをオススメします!
アイディオロジストに好きなだけ語らせれば、財布の紐は緩くなる
2025.3.17 字幕 アップリンク京都
2023年のアメリカ映画(104分、R15+)
修学旅行中に抜け出した高校生が奇妙な大人と出会う様子を描いた社会風刺ロードムービー
監督はショーン・ブライス・ウィリアムズ
脚本はニック・ビンカートン
原題は『The Sweet East』で、直訳すると「甘ったるい東部(東海岸)」という意味
物語は、サウスカロライナ出身のリリアン(タリア・ライダー)たちの高校が、修学旅行としてワシントンD.C.に来る様子が描かれて始まる
彼氏のトロイ(Jack Iry)や彼にちょっかいをかけるクラスメイトのアナベル(エッラ・ルビン)たちがはしゃぐ中、リリアンはどこか物憂げに彼らとの距離を取っていた
いくつかの観光地を回った彼らは、地元のピザダイニングへと足を運んだ
アナベルたちがカラオケに興じている中、リリアンは席を外して、トイレで一服することになった
その後、店内に戻ってみると、店長(J・パトリック・マクエルロイ)に銃を突きつけているイカれた男(アンディ・ミロナキス)がいた
客は一目散に逃げ出し、その中にいたパンツファッションの男・ケレイブ(アール・ケイブ)は、リリアンに声を掛ける
そして、秘密の出口から地下道を通って逃げ切ることになった
その後、ケレイブについていったリリアンだったが、彼はアナキストの活動家で、ネオナチの集会を襲撃しようと計画を立てていた
映画は4つの章に分かれていて、「Fancy a Trip to Charm City?」「Right on the Delaware」「I’ve never ever been to Hollywood」「First time in Vermont?」となっていた
道程は、ワシントンD.C.→チャームシティ(ボルティモア)→デラウェア→ニューヨーク→バーモント→サウスカロナイアという流れ
リリアンは、その都度本当のことは話さず、友人の名前を騙ったり、直前に得た知識を自分ごとのように話していく
そんな彼女に対して、多くの大人がひたすら語るという内容になっていて、リリアン自身はそれを受け止めるでもなく、スルーするでもなく、という感じに対応していた
印象としては、何にも傾倒していない無垢な若者が「現代のアメリカのイデオロギーの何に反応するか」というテイストになっていて、その答えは「何も琴線にふれない」というものだった
現実に戻っても、それらのイデオロギーは彼女の一部になることはなく、アイディオロジストは自分語りで満足しているというふうにも見て取れる
ある意味、その主義主張に傾倒する人々を揶揄っている感じがして、この中には「現代の若者を取り込める力はないんだよ」と言っているようにも思える
アメリカの内政とその主義についての話なので、日本でウケるはずもなく、アメリカ通のコラムニストの解説をわかったふうで流すのが精一杯のように思う
ある意味、若者の声を聞こうとしない人の集まりのようなものなので、若者たちが傾倒するものというのは既存の枠組みではなく、若者の中から派生するのかな、と感じた
いずれにせよ、最後まで本当の自分を見せないリリアンなのだが、自分の彼氏をクラスメイトに取られても動じないほどに空虚だった
かと言ってそれが不幸にも思えず、自分自身は何者かとか、何かしらの使命感を持って行動している人たちを冷めた目で見てきた
結局のところ、彼女自身の生活に1ミリの影響もなければ興味も湧かない話なのだが、反発するとさらに語ってくることに気づいているのだと思う
気持ちよく自分の言いたいことを言わせられれば、その人のウィークポイントというものも見えてくるので取り込みやすい
彼女が不思議の国を渡り歩いたというテイストに見えるが、実際には「リリアンという不思議の国を旅して打ち砕かれた人々を描いていた」とも言えるので、アンチ・アイディオロジストの力というのは侮れないのかな、と感じた
この映画から見えるパーマクライシス=永続危機現象。した世界の状況。
昨日、町山さんの上映後解説もある事を知って、観て来ました。
サウスカロライナ州のごく普通の学生が、首都ワシントンD.C へ修学旅行に行き、バーで銃撃事件に巻き込まれて逃げ込んだトイレの地下通路を通り、サウスカロライナ州の自宅に戻るまで、アメリカ各地の様々な社会問題を経験する事を描く作品です。
作品に出てくる数々の出来事=ネオナチ、映画撮影現場での銃撃事件、マイノリティ、ジェンダー、地域格差、トランプ大統領2.0...等諸問題=世界中で起きているパーマクライシス=永続危機現象。とリンクする所が出て来ます。
上映後の町山智宏さんの解説も分かりやすく、過去の作品、撮影技術をフィードバックして製作した事、トランプ大統領2.0後のアメリカの状況を詳細に説明し、監督、俳優等が声をあげらない状況にある事、最後に「声をあげられない」状況でも希望を持って前に進む大切さの事を伝えていました。
本当、町山さんの行動力=作品の監督にインタビューする所には共感です。
是非推薦します。
フィルムの無駄使い...
真剣に見たはずが... 何が何やら、全然、
脳ミソウニのあたいには理解できませんでした〇
だからって、もう一度見る気は起きませんでした〇
理解が出来ないからって、悔しさも湧かないそんな映画ですマス〇
なのに☆3ってどうよ⁉
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