グレースのレビュー・感想・評価
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70点ぐらい。荒涼とした美しさ
ロシアの映画、カンヌ国際映画祭に認められた作品、その情報だけで観ました。
皆さんタルコフスキーの名を出していらっしゃいますが、僕はアキ・カウリスマキを感じました。
悲観的な感じが(笑)
あと、ヴィム・ヴェンダース。
静かで淡々としてる感じが(笑)
ロードムービーという事で転々と旅をしていき様々な風景を観せてくれますが、どれもが全て美しくて楽しめました。
哀愁を帯びた夜の町、荒涼とした美しさ。
静かで暗いので眠くなりますけどね(笑)
僕は好きです(笑)
少しだけ日本への言及あり。
ロシアの辺境地に確固として存在した「生と性」
今年のベストワン候補に滑り込んできた切ないほどの傑作。
ロシア南西部の辺境地。閉塞感、停滞感という言葉が相応しいか。移動映画館で日銭を稼ぐ父親と思春期の娘を描くロードムービー。
仮設のスクリーン、ドライブインシアターならぬ野っ原のシアター、チープな飲食物やPCでコピーした海賊盤ポルノDVDの販売。
荒廃した土地、先が見えない放浪生活。
何の希望もないはずなのに落ちきることがないのはなぜだろう。
そう、ここに確固とした「生と性」が在った。
もっと観ていたかった。
心から愛おしいと思った。
未だ美しい余韻の中にいる。
映画の質感がたまらない
移動シアター及びコピーエロDVD販売を生業としてる親父とその娘のロードムービー。
殺伐とした景色、無骨なキャラ同士で会話がいまいち成立しない放置加減。これらがどこか吹っ切れてる様な荒丁寧な画で淡々と続く。
好きだなぁ、こういう映画。
同国タルコフスキーの影響も少なからず有り。
現実的ながらのファンタジー??
ロシア辺境と言われてもいまいちピンとこないし国の情勢すら分からない、どこに行ったって女を抱く親父に嫌悪感を抱く年頃の娘、でも互いに離れられない地味に近親相姦な訳はないか。
単純にも単調で難解にも取れながら物語に集中しかけて学校とか色々と冷めた現実を考えてしまう。
タルコフスキーよりもヴェンダースみたい??
憧れのヤシの木
ロシア南西部の山岳地帯や平原を旅して映画上映やDVD販売を生業とする父娘の話。
山岳地帯の川で水を汲む女性から始まって行くけれど…えっ?誰だったの?まさかこんな場所で?
海へ行きたいと宣う退屈そうにガムパッチンな娘を乗せて、時々商売や買い物をしながら赤いポンコツワゴンでキャラバン生活。
会話もあまり多くないし、地名を言われても良くわからないし、何もないところを走ること多々。
娘にしてもそこら辺にいる子どもや若者たちにしても、何もないという鬱屈観全開で、それが伝わってくるまったりなつくり。
これを15年って…。
最後は少しだけ動いたけれど、思ったのと違ったのか、諦めたのか、それとも最初からそれだけのつもりだったのか…フロントガラスの行もあるしどう捉えるかちょっと難しかった。
ロシア期待の若手。
世界的に逆風吹き荒れるロシアですが、若手の良い作品をちゃんとピックアップできるのは流石カンヌ。
ドキュメント撮ってた監督らしく、予算の関係もあるだろう16mmフィルムの映像はリアリティバリバリでよい。皆んなが言うようにヴェンダース初期やタルコフスキーみたいなベタっとした固定アングル長回しとハンディのコントラストが上手くいってる。
出演者も黙ってるシーン多いからルックは重要でオーディションも大変だったろう。
いきなり「少女椿」かよ!と先制パンチをくらったが話はシンプルで進みが遅いから気をつけて。
最後まで見るとなるほどこのパターンのロードムービーかと腑に落ちます。次作が気になる監督だがウクライナ侵攻には反対姿勢を表明しているらしく、ちょっと心配である。とっとと近隣国に逃げて次作を作って下さい。
近作だと「葬送のカーネーション」思い出したかな。
どちらも辺境の話、こういう土地の映画はキチンとパンフ買う事にして後でその土地の歴史や現状辿るようにしてます。人生は学びの連続じゃ。
あ、あと見所はロシア南西部から旅立って何も無い荒地を映画目当てに突っ走る車、巨大ショッピングモール、そして人々が去った田舎の廃墟がほんと美術セットの様に美しいです。荒々しい北の海バレンツ海(約北極海)と移動映画館で見る水着とビーチサイドのコントラスト。日本だと畑の跡取りもいなくなった廃村って感じだろうか。いや昔は栄えた漁村かなぁ、、。
救済のロードムービー
救済感のあるロードムービーだし、青山真治のユリイカを思い出さずにはいられない。ロシアといえば忌避感をちょっと感じてしまう時代だけど、それでもカンヌ映画祭が選んだのには納得の内容。テレビでは取り上げられないような、民族や文化を丁寧に写していて、はっとした。最後はあっけなくて戸惑ったけど、すごく腑に落ちた。鑑賞後にじわじわくるやつです。
旅は大人の階段を昇る通過儀礼
ロシア南西部の辺境にあるコーカサスを征く、年齢不詳で名前も明かされない父と娘のロードムービー。違法DVDを売り、巡回上映をする事で生活費を稼ぐ2人が、何の目的に旅をしているかは明示されない。ハッキリしているのは、娘が海に行きたがっている事と、肌身離さず小さい壺を持ち歩いている事。終盤で娘の理由および壺の中身が明らかとなるが、それは旅の道中が通過儀礼となり、大人の階段を昇った娘の成長とイコールとなる。
明らかに地球に存在する地なのに、どこかディストピアな様相を醸し出し、ロシアが舞台ということもあってかタルコフスキー作品とダブる。劇伴もなくセリフも極端に少ないドキュメンタリータッチの作風は、観る者の理解力が問われる。それが合わない人は本当に辛いかもしれない。ただハッキリ言えるのは、ロシアという広大な国だからこそ本作の制作が実現したという事だ。
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