「ロシアの辺境地に確固として存在した「生と性」」グレース エロくそチキン2さんの映画レビュー(感想・評価)
ロシアの辺境地に確固として存在した「生と性」
今年のベストワン候補に滑り込んできた切ないほどの傑作。
ロシア南西部の辺境地。閉塞感、停滞感という言葉が相応しいか。移動映画館で日銭を稼ぐ父親と思春期の娘を描くロードムービー。
仮設のスクリーン、ドライブインシアターならぬ野っ原のシアター、チープな飲食物やPCでコピーした海賊盤ポルノDVDの販売。
荒廃した土地、先が見えない放浪生活。
何の希望もないはずなのに落ちきることがないのはなぜだろう。
そう、ここに確固とした「生と性」が在った。
もっと観ていたかった。
心から愛おしいと思った。
未だ美しい余韻の中にいる。
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