九十歳。何がめでたいのレビュー・感想・評価
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静寂の意味を知る
大正12年生まれの佐藤愛子さんは
空襲の日の『静寂』とその恐怖を知る
子どもの声、街に溢れかえる人々の声
生活の音、その喧騒こそが平和な暮らし
といったようなシーンが胸に沁みた
今時の、小型犬を飼う愛犬家の私には
外飼いも放ったらかしも共感できなかったが
いつも懸命に働く主人の背中を見ていたハチは
きっと幸せだったに違いない
飾らず図々しく失礼なところが
逆にとても可愛らしく
演じられた草笛光子さんの品や美しさで
素晴らしい愛されキャラが描かれていた
人生100年なら私などまだ小娘
私は辰年の蠍座、動物占いはライオンだ
架空の空飛ぶ生き物と毒と百獣の王
どこをとっても暴れるしかない笑
日々を謳歌しまくろうと思った
ほっこりできて、視点の鋭さに気付く至福のときが待っていますよ
2024.6.25 イオンシネマ久御山
2024年の日本映画(99分、G)
原作は佐藤愛子のエッセイ『九十歳。何がめでたい』『九十八歳。戦いやまず』
断筆宣言をした作家と頑固な編集者の掛け合いを描くヒューマンドラマ
監督は前田哲
脚本は大島里美
物語の舞台は、都内某所
元作家の佐藤愛子(草笛光子)は、執筆活動から離れて、暇を持て余す生活を送っていた
娘・響子(真矢ミキ)、孫・桃子(藤間爽子)と同居しているが、いつも新聞を読んだり、テレビを見ては文句ばかり言う日々を過ごしていた
一方その頃、とある週刊誌の編集部では、吉川真也(唐沢寿明)のセクハラ&パワハラ問題で揺れていて、真也はその調査の間、在宅勤務を言い渡されてしまう
そして、結局はそれが認定され、別の雑誌へと飛ばされてしまう
その雑誌では、断筆宣言をした佐藤愛子のエッセイを企画していたが、編集者の水野(片岡千之助)は一度訪問して断られただけで、あっさりと諦めてしまう
真也は意地になって、その担当となり、愛子の自宅を訪れることになったのである
物語は、手土産を持って執拗に訪れる真也が描かれ、あれこれと理由をつけて断る様子が描かれていく
「今日が最後です」と切り出すものの、愛子の対応は変わらず、そこで真也は演技をすることで、家族の同情を買う作戦に打って出る
愛子もその芝居に騙されて、「九十歳。何がめでたい」というタイトルにて、エッセイの執筆を開始することになった
だが、2年ぶりに原稿に向かうものの、書きたいものがまったく見つからない
真也とともに散歩に出かける愛子は、公園にて楽しそうに笑う子どもたちを見て、その後、新聞にて「子どもの声がうるさいという理由で幼稚園の建設が取りやめになった記事」を見て、ある思いに心を馳せることになったのである
映画は、愛子が思ったことをエッセイに書く様子が描かれ、エッセイの映像化のようなテイストになっている
いくつかのエピソードをうまく組み合わせて、ユーモアを交えて綴っているので、館内でもクスクスと笑いが起こっていた
映画館で観る必要があるかは何とも言えないが、空いた時間にほっこりしたいという感じならOKだろう
また、言いたいことを言えずに人生を無駄にしている真也の妻・麻里子(木村多江)が反撃するパートも面白い
前後しているものの、自分の行動が結果として、多くの物言わぬ主婦を起こしている部分があるので、それもまた人生の面白さなのかな、と感じた
いずれにせよ、佐藤愛子を知っていなくても大丈夫で、エッセイを読んだことがなくても問題ない作品だった
日常系エッセイなので共感を得ることは容易だが、言葉の端々で作家らしい言葉選びがあるのが面白い
子どもたちの騒ぎ声を「天使の合唱」と呼び、太平洋戦争の絶望的な静寂を対比に出しているのだが、記事で建設反対を訴えた年齢層に直撃させる内容になっているので、なかなかの切れ味だなあと思った
長生きの秘訣?
映画公開を知り、図書館で原作本を借りて読んでからの鑑賞。
佐藤愛子さんの本は、過去に1~2冊しか手に取ったことがなくうろ覚えですが、映画に出てきた年賀状コスプレはそれらの本で読んだ気がします。
原作本はエッセイだから、どういう感じになるのかと思ったら、新聞のお悩み相談や愛犬ハチのぐちゃぐちゃご飯、修理を依頼した時の出張費の話など、原作本の内容も活かされていて、構成が良かったです。
キップがいいというのでしょうか。飾らず気取らずはっきり言う先生。
ご家族と一緒に住んでいて人との交流もあり、大きなストレスをためないことは長生きされてる理由の一つかもな~と思いました。(小さなストレスはあると思うんですけども)
草笛光子さん、貫禄もありさすがです。そして草笛さんも90歳でいらっしゃる。お元気で素晴らしい。
唐沢さんも久しぶりに見ましたが、いいコンビで面白かったです。
「お終活」と同様、人生100年時代というワードが出てきます。様々なことが昭和と変わり対応していかねばなりませんが、何かにしがみつかないで、できないものはできないと、キッパリ言い切る佐藤愛子さんの姿、元気をもらいました!
出版までの展開が素晴らしい
佐藤愛子のエッセイの出版までの経緯とエッセイ紹介を中心に描いてんのね。
もとのエッセイが相当いいと思うんだよね。エッセイ紹介のところは泣けたりすんの。犬の話は泣いた。
オープニングはゆっくり入るんだよね。草笛光子(佐藤愛子)の年取った人の日常を描いてくの。なにも起きないのに観ちゃうんだけど、画がきれいだね。明かりの使い方がめちゃくちゃうまいの。
前田哲監督、《水は海に向かって流れる》では色づかいが良かったから、映像に気を遣う監督なんだろうな。いいと思う。
次に来る唐沢寿明の紹介シーンはうまい。アップデートできずパワハラする人設定だから、部下を叱責するシーンからいきそうなものだけど、ほめるシーンから入るんだよね。
その後の人事部とのやり取りも「この人事、おかしくないか。言ってることはまともだけど」という感じを残しつつで、アップデートされた現状の批判は一切してないけど「唐沢寿明、こんな奴らに負けるな、頑張れ」って気分になるの。
草笛光子のところに通い続けて、唐沢寿明が連載勝ち取るところも面白いね。
最後、玄関先で渾身の演技をする唐沢寿明に孫が『おばあちゃんから』と紙を渡すと『エッセイタイトル案』が書いてあるのもカッコいい。
エッセイ紹介が終わって、唐沢寿明の事情収拾に入って勲章受章の流れは、前半ほどの面白さはないのね。ストーリーじゃないんだろうな、この映画。
「草笛光子 生誕90年記念』という映画だけど、90歳まで、この可愛さと美しさを保つ草笛光子はすごいね。鍛錬か。
エンドロールに出てきた佐藤愛子も同じく美しくて、年を取るならこう取りたいと思ったよ。
【”暴れ猪生まれの頑固な所が似た者同士の作家と編集者が産み出した傑作エッセイが出来るまで。”草笛光子さん、矍鑠とされていてお元気だなあ。】
■昨年100歳を迎えた佐藤愛子さんのベストセラーエッセイ「九十歳。何がめでたい」を底本に映画化した作品。
90歳の愛子(草笛光子)は断筆を宣言したが、何もしない日々を鬱々として暮らす。そこにやって来た出版社のパワハラ・セクハラでヒラになった編集者、吉川(唐沢寿明)。
何度も追い返すが、有名なお菓子を差し入れする彼に根負けしてエッセイの連載を始めるお話。
◆感想<Caution!内容にやや触れています。>
・断筆宣言をしたが、鬱々とした日々を過ごす愛子と、会社ではパワハラ・セクハラでヒラになり、家では妻と娘に出ていかれ、傷心の編集者の吉川との掛け合い漫才みたいな遣り取りが面白い。
・愛子が、いざエッセイを書き出すと徐々に活き活きとなって行く姿や、世の風潮を一刀両断に切り捨てる小気味よいエッセイがコレマタ面白い。
特に保育園建設反対と言う新聞記事を見た時の、彼女の劇中語られるエッセイは秀逸である。
”人が生きる街には、騒音が有って当然。天使の様な子供達の声を嫌う等とは・・。戦中の音を出してはいけない町を知っている者には、このような意見が出る国は・・。”
・又、嫌いなモノは嫌いと言うべき!”と言うフレーズを吉川の妻(木村多江)が読んでいて、吉川が過去の自分の行状を詫び復縁を願った際に、ニッコリ笑って”私、貴方が嫌いだから。”と言うシーンなどは、ナカナカであったよ。
・更に言えば、”お母さんを解放してあげて”と久々に会った娘(中島瑠菜)からキビシク言われつつ、バレエの発表会に行った時に娘から届いたメッセージのシーンも良かったな。
<愛子が寸鉄人を刺す言葉を多々使いながらも、それが的を得ているために出版したエッセイがベストセラーになったり、優しき心持ちを持つ人であった事を示す北海道の別荘の家の前に捨てられていた犬を引き取り育てていた事や、孫娘の成長に合わせ二人で撮った面白い写真を載せた年賀状のシーンなど、佳き作品でありました。>
きっとツマラない、そう思ったが 観て好かった!生きてる実感がそこに。
原作:佐藤愛子さん「九十歳。何がめでたい」
この本を知ってました?読んでました?
恥ずかしながらタイトルだけ辛うじて知ってました。
現在100歳でいらっしゃる作家さんの本が映画化で。
しかもソレの主役が 佐藤愛子役:草笛光子さん(90歳)、
出版社担当役の吉川真也役:唐沢寿明さんでして。(;^ω^)
オモロイに決まっとるやないけ~ (勇気ある発言)出来る方は
そんなに居ないでしょう。きっと。
しかも草笛さん主役ですよ。3歩ぐらい下がるでしょ、皆さん。
昔、ドラマ撮り時に控室から本番直前で現場入り。
一気に空気感が変わったの覚えてます。そんな方迎えて撮るんですからね。
前田監督も変な力み方されたのではと感じます。
よって、普通の作品仕上がりと思ってましたけど、予想反して良かったかなと思ってます。
歳取って、思う事多そう。それを普通に本に書かれてて。
若い年配者の更に上の方が申す意見てチョット重要なのかもと。
----思った点---
①幼稚園増設を反対する老人意見を指摘している点。
この前もSNSで何処かの公園注意看板指摘が有ったけど。
金網にボールが当たって老人が迷惑、そう言うの理解できる人に成ろうって
球技を控えましょうって指摘有ったな。
世知辛い世の中に成ったなと感じるヒトコマですね。
②もう飼わない犬を飼う。ぐちゃぐちゃのゴハン。
この話の下りは、吉川とともに涙したわ。
何もしてあげた記憶がなく亡くなって行った犬の想いを
動物霊能力者の言葉を通して感じ得た所。成る程と思う。
人も動物も話さないと気持ちが伝わらない。その為に言葉や文字があって。
あの犬が助けてくれた恩を思っていてくれた事。ぐちゃぐちゃのゴハンを食べたいなと・・・そう言う感情が分かるって事が、歳を取るって事なんだと思うね。
③吉川と娘と妻との会話。
結局、家庭を省みない仕事人間の吉川が、妻と離婚。
それを薦めたのが傍で見ていた娘で。”もう母を自由にして前へ進める様にしてあげて。” この言葉 目が覚めるね。吉川にとって予想外だったと思う。
そして 娘のバレ-発表会を見に行って、妻に向かって心から謝罪。
縒りを戻そうと申し出るが、そうは成らない所が良い。
しかし、娘からLINEで”見に来てくれてありがとう” この言葉が来る。
吉川は今までに無かった 心に幸せが触れるのである。
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こう言う場面の成り上がりが今作の神髄だと思います。
歳を取って行くって事、それは人生喜怒哀楽の中で元気に生きて行くって事では無いでしょうかね。そう感じさせてくれる素敵な時間でした。
何時も大河の激流、山肌の爽やかな空気感の様なものを求めて映画館へ足を運んで居られる方からすると ツマラない作品に感ずるかもですが。
何処にでもある景色をどう感じ獲るか、どう過ごすかだと思いますね。
気になる方は、
是非 劇所へ。
また新たな老後についての映画(笑)
これまで老後をテーマに、PLAN75とか数々の作品がありましたが。
今回もなかなか良かったです!88歳で一度断筆宣言した作家が、90歳で再度オファー!!
しかも毎回編集者が持ってくるお菓子が様々で、でもなかなか引き受けないけどとりあえずお菓子はもらうとか(笑)うんうん、そのしたたかさ、大事ですよね。
そうか、長生きするとお茶する友達もだいたい先にあの世へ行ってるのか。。!
わりと1人でガンガン行動するタイプなんで、別に1人で映画でも旅行でも喫茶店でもレストランでも入れるけど、そうだな〜確かに気持ちがわくわくしないと「やっぱり面倒くさい〜」ともなっちゃいそうなの分かる(笑)
幾つになっても自分がワクワクすることを無くさないでいるのは大事なんだな、と思いました。
そして、さんざん振り回されてほんっとーーーーーーにもう無理!!!ってなった人には笑顔で「あなたのこと嫌いだから!」って言えるメンタルでいようと勉強になりました!(笑)
_φ(・_・
さ〜自分は何歳まで生きるんだろう、とりあえず映画館ならさほど体力要らないし(1日3本が限度だけどスケジュール考えるの楽しいし)
今のところシニア料金になったらマジで何曜日でも安いよな〜いいな~~と日々思っているので、シニア料金になる日を楽しみにこれからも生きていきます(笑)
今後、シニア料金開始年が引き上げに変更されないことを祈ります(笑)
年齢も性別も異なる作家と編集者のバディ・ムービーとして楽しめる
豊かさや便利さを手に入れた代わりに、我々は、何か大切なものを失くしてしまったのではないだろうか?
面白おかしいエピソードと、葉に衣着せぬ物言いで、そんなことに気付かせてくれるのが、原作のエッセイの魅力なのだろう。
映画でも、そこのところはよく描かれているのだが、それ以上に、老作家と中年編集者とのバディ・ムービーとして楽しめるようになっている。
特に、ラストの記者会見で、老作家が、断筆宣言をしてうつ状態になっていたところを、エッセイを書くように勧められたことで、「編集者に救われた」と打ち明ける場面は、2人の固い絆を改めて認識することができて胸が熱くなった。
その一方で、年齢も性別も異なる2人が、そんな「友情」とも言えるような関係性を築けたのは、「昭和」の価値観と頑固な性格が共通していたからだろうが、そうであるならば、若い編集者ではなく、「この中年編集者だったからこそ、エッセイが成功した」みたいなところもきちんと描いてほしかったと思う。
それから、中年編集者は、老作家から、「面白い爺さんになれ」とか「当たって砕けろ」とかといったアドバイスは受けるものの、結局、妻とは別れてしまうので、「編集者も作家に救われた」みたいなことが明確に分かるエピソードがあっても良かったのではないかと思う。
まあ、中年編集者は、離婚した後も、娘に会ってもらえるようになったみたいなので、その点は、救われたのかもしれないが・・・
エッセイの向こう側にみえる景色。
88歳で最後の小説を書いた作家が90歳になり、ある編集者の人間との出会いでまたペンを握る事になった佐藤愛子の話。
何もかもが面倒な愛子、ある日訪れてきた二人目の編集者吉川のしつこい「エッセイを書いて下さい」を何度も断るが…、膝を着いてガッカリする吉川の後ろ姿に騙されてエッセイの話を受けた佐藤愛子と、妻と子供に出てかれた編集者吉川の家族と心情を描く。
~佐藤愛子演じた草笛光子の生誕90年記念作品~
とりあえずストーリーよりも草笛光子さんが美しい、立ち姿といい力強い声と演じた佐藤愛子のハッキリした物言いが気持ちいい!
ちょっと昔のやり方で会社から煙たがれる吉川、妻、子供をちゃんと見れてなくて別居を絡めながら、書き始めたエッセイ…過去と現在の違いだったり、愛子の書いたエッセイ読み自分自身を見つめ直す吉川と。
ストーリーはシンプルだし少し前にも観たお終活の時も思ったけど映画ってこんなんでいいと思う。気兼ねなく観れて楽しめた。
草笛光子さんには体には気をつけ、また作品を届けて欲しいですね。
あと変なタクシードライバーには笑えた。
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