「この現実に唾を吐く」ニューヨーク・オールド・アパートメント MARさんの映画レビュー(感想・評価)
この現実に唾を吐く
安定した暮らしを求めペルーから不法移民としてアメリカに来た家族だが、現実は厳しく…そんな中で母、息子がそれぞれ恋に落ちて巻き起こる物語。
アメリカにとって不法移民というのは勿論良くないことなんだろうけど、自らが透明人間に思える程、居場所の無い日々は辛いだろうなぁ…。
そんな燻った3人の生活がよく描かれており、双子のピュアさとたくましさが重々しいハズの雰囲気も和らげてくれ、とても見易い作品に仕上がっている印象。
一見ワルに見えるクリスティも(実際に悪い事してるんだけれど)、クロアチアからの移民。双子からは高貴に見えてたかもだけど、彼女は彼女で居場所探しに必死だったんでしょうね。
比較的、淡々とした展開ながらも終盤に向けて畳み掛けるような負の連鎖には焦燥感を覚えたし、そこからの一本の電話で胸にジ〜ンと熱が広がる。
その他にも、少なからず差別を受けているであろう人達のコインランドリーでの協力にはグッときた。
家族愛はまたきっと国境を超えてくれるでしょう。大きなインパクトは無くとも、リアリティがありつつ、わざとらしすぎない作風でとても良作だった。
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