劇場公開日 2023年12月8日

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「イースターのごちそう」ファミリー・ディナー 津次郎さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0イースターのごちそう

2025年3月31日
PCから投稿

どういう話かだいたい想像つくが、落ち着いた丁寧な描写で見入った。くせっぽさや、いやなところもぜんぜんなかった。

imdbは5.7だったが、imdbに載っていたユーザーレビューに共感できる言及があった。
そのレビューは、これは平均的映画で本当の評価は6~7点だと言いつつ、10点をつけていた。そして彼はこう続けた。
『誰かが言ったように、ミニマリストの映画だ。全体的には間違いなく平均的な映画だ。この映画がどこに向かうかは早い段階でわかるが、決して退屈にはならないし、予想がつきすぎることもない。あるいは、予測はつくが、どこに行くのか期待しながら見続けても飽きない、とでも言おうか。これは目新しいものではないし、超傑作というわけでもない。しかし、演技は見事だし、設定も何もかもがうまくはまっている。雨の日曜日の午後にはいい映画だ。』(DeepL翻訳)

同感だった。なんなら見終わってもとくに思い出すところもなく、翌朝にはけろっと忘れているが、なんていうか映像の勉強をした人が、映像の方法論にもとづいてつくった映画という感じがした。
Peter Hengl監督は(短編製作の来歴はあるものの)これがデビュー作になっているが、将来頭角を出してくる予感がする、素地・土台のしっかりしたホラーだった。

トマトメーターは採点者が少なかったものの100%だった。この映画は刺激も驚きもないが、だめなところもまったくない。その辺りをしっかり見て取っているのはさすが批評家だと思った。

映画はやせていない女の子がダイエット関連の著作がある叔母さんの農場でイースター前の休暇を過ごす──という話。
ホラー描写はないが、うさぎの皮を剥ぐ描写がけっこうはっきりと尺をとってあり、そこがいちばんグロテスクだったかもしれない。
出演者の演技も確かだが、お料理描写がいい。叔母さんは管理栄養士兼シェフという感じで、おいしそうなお料理をつくる人だった。したがってこの映画でもっとも残酷なのは、ダイエット敢行中のやせていない子が、食べないのに食卓につかされるシーンだったと思う。わら

オーストリア映画で言語はドイツ語。
国民の半数以上がカトリックだというオーストリアではキリストの復活を祝うイースターは、クリスマス同様の大きなイベント日だそうだ。移動祝日で「春分の日以降、最初の満月の日の次に迎える日曜日」と決められ、4月下旬があたる。
うさぎと卵(イースターバニー・イースターエッグ)は誕生を表すモチーフ・装飾として使われるのであり、とくに兎肉と卵を食べるというわけではなく、もっといいものを食べる。それが食人だったとしたら・・・とは、誰もが想像できるイースターホラー展開ではあるが、斬新さがなくても映像法則を解っている人がつくると、しっかりしたものができる証明のような映画だった、と思う。

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津次郎
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