あんのことのレビュー・感想・評価
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河合優実を観に行く
今までも売春や薬を題材にする映画はあったし、映画だから面白おかしくやちゃんと腑に落ちる結末などが有った。
今回も逮捕を期に足を洗って真っ当に生きる道を選んだ杏に誰もが共感したと思う
何か成功した時や褒められた時などに時折、控えめに笑顔になる時などほっと胸をなでおろす
後はストレスを溜めないように、再発しないようね、って見守る
親との対峙でも何とか乗り越えてきた時はやはり手に汗握ってた
あとはどんどん成功例を作っていき、自分に自身を持っていければ…
そう思っていた矢先…
脱力
ドキュメンタリー調で見ていたのでつい感情が持っていかれた
今回は河合優実の悲壮感漂う演技と河井青葉の鬼気迫る鬼の演技が見ものだったと思う
汚部屋も出てくるので(虫はなし)体調が良い時に鑑賞を勧めたいです
境界線
作品としては実話ベースできっとキツいんだろうなとは思いつつも、河合優実さんが出演しているとならば観に行かなきゃなと上半期滑り込みで鑑賞。
観る側の心を抉っていく地獄映画でした。
救いの糸が見えた瞬間にぶった斬られ、絶望へと落としていくループで観終わった後は肩をずっしり落としていました。
今作は終わっている家庭環境から始まり、子供の頃から売春に薬、そして娘を金づるにしか観ていない母親の下衆さがキツく、彼女が出てくるたびに拒絶反応が出るレベルでした。
これまた希望が照らし出したタイミングで登場して、幼児退行したり、暴力を振るってきたりするので、胸糞さは限界突破していきます。
そこから手を差し伸べてくれる刑事や記者に助けられ、介護施設での仕事で改心していく様子も見られ、中盤では再生の糸口が見えていたんですが、コロナ禍という未曾有の事態には抗うこともできず、仕事も生活もグチャグチャにされていく様子が生々しかったです。
その前後にも刑事の汚職が判明したり、知らない人から子供を預けられたり、どんどんと窮地に追い詰められていき、トドメの母親の行動や言動がこれまた腑煮えくりかえるもので、それがきっかけでプツッと切れてしまった糸を取り戻すことが出来ずに…。
ここまで生々しいものが事実なのかというところに驚き、声も言葉も出なかったです。
役者陣も撮影中の葛藤が凄まじいものだったと思いますし、その中でも座長を務めた河合優実さんの振れ幅がこれまた素晴らしく、絶望の表情も希望に満ちた表情も美しかったです。
若干ノイズだったのが杏の死後に、杏に娘を預けた母親が色々答えているところで、児童相談所から取り返すのが大変だったとか。なんか自分が悪くないということを強調させている感じや、上辺だけの杏への感謝だったりと、なんかこうここは事実ではないんだろうなという釈然としないものがありました。
どうしても杏の最後を桐野が見て腰を抜かしたところで終わった方がまだキチっと終わったのになという惜しさがありました。
コロナ禍や毒親の闇、自分はコロナ禍も安定して仕事がありましたし、両親には大切に育てられてきたので、どうしても強烈に喰らってしまうところがありましたが、それでもこの事実に向き合う強さを身につけていきたいと思いました。
それでも行動に移すのは難しいですし、そんな事実に気付けない自分がいるのは確かなのが歯痒いところです。
鑑賞日 6/27
鑑賞時間 9:55〜11:55
座席 D-13
あまりにも辛すぎる顛末
実話ベースの内容なだけに重い
とにかく重たく何も云えない
これは辛すぎる顛末
ホステスの母親が酷すぎる
ちゃんと義務教育を受けていたら
母親が娘を金のなる木としか
思っていないからこうなる
娘をママって呼ぶ時点でおかしい!
ってかちゃんと働けよ👉💥
母親が娘のためにが微塵にも
足の悪いおばあちゃんは
あんのためにしてやれることは
母親からの暴力を庇うことだけなのか
内職をするなり何か出来なかったのか
いつも気にしてくれていたやさしい
刑事が別の事件で逮捕され、希望を失った
生前最期の彼女の姿は悲しい😢
彼女の唯一の癒やしは預かることになった
子供の存在だろうか
相談していたらまた違っていた…
彼女は身近に相談する相手がいなかったため
相談することを知らず常に気に掛ける人がいた
おかげで更生もできたのだろう
そう考えたら悲しい現実に目を背けては
ならないと改めて思った
万人にはおすすめしません
想像していたとはいえこの結末には全く救いようがない。過去に虐待を受けたことのある人にこの映画はかなりきついと思うのでおすすめしない。映画としては主人公はもちろん刑事役の佐藤二朗をはじめとした脇をかためる役者さんの演技も素晴らしかった。また実際の事件に基づいてかなり忠実に描かれていることに驚かされた。自分はまた観たいと思った。
マスクも要らなきゃワクチンも要らぬ私ゃも少し愛が欲しい
観覧注意バッドエンド
厳密にいうと愛じゃなくて希望だけど語呂が悪いし愛がなければ希望が湧かない
2024年映画館鑑55作品目
6月23日(日)フォーラム仙台
会員割引1500円
監督と脚本は『22年目の告白 私が殺人犯です』『ビジランテ』『AI崩壊』『聖地X』『映画ネメシス 黄金螺旋の謎』の入江悠
本編開始直前実話を元にしたというお知らせ
原案は2020年の6月1日の新聞記事らしい
子供はいずれ母に返さなければいけないがコロナ禍の影響で職場と学校を失ったのは大きかった
あとノーコメント多々羅の逮捕も痛かった
家族はあれだし
そんなわけで再生に向けて築き上げて来たものがガラガラと崩壊し飛び降り自殺してしまう杏
観客からも思わず「あっ」という声が
杏主演『かくしごと』に比べてあまりにもハードだし救いがない
ここまで来ると苦手な内容だが星5
だが鑑賞はおすすめできない
黒髪でショートになったせいか河合優実が実年齢または役の年齢より若く見えた
中学生に見えなくもなかった
『機動警察パトレイバー』の泉野明みたい
おそらく杏の母の春海もまた母の恵美子に幼少の頃から激しい体罰を受けてきたのだろう
だから娘を「ママ」と呼ぶのではないか
取調室でヨガりながらヨガを始める二朗さんが面白かった
背後の真面目な女性警察官のリアクションも含めて
たぶんあそこまでやるのはアドリブだろう
倉本聰が嫌うタイプの典型
でも自分は佐藤二朗という俳優が好きだ
配役
小学校もろくにいかず12歳から売春を始め16歳でシャブ中になった香川杏に河合優実
杏を気遣う刑事で薬物依存者の更生を目的としたセラピー「サルベージ赤羽」を運営する多々羅保に佐藤二朗
多々羅の友人でジャーナリストの桐野逹樹に稲垣吾郎
アパートの汚部屋で恵美子と杏と同居している杏の母で杏に暴力を繰り返しなぜか杏を「ママ」と呼ぶ水商売の香川春海に河井青葉
杏の祖母で体調不良の香川恵美子に広岡由里子
幼い息子を無理矢理杏に預けて逃亡したシェルターの女の三隅紗良に早見あかり
桐野の上司で多々羅刑事のスキャンダルの証拠を求める雑誌社の編集長に赤堀雅秋
多々羅の同僚で多々羅を心よく思っていない刑事の加藤に吉岡陸雄
セラピーの参加者で多々羅のスキャンダルを桐野に告発した真野雅に護あきな
セラピーのスタッフの坂元に中山求一郎
老健施設「若草園」の施設長で若い頃はヤンチャだったと自称する上間陽平に盛隆二
老健施設の「若草園」利用者で介護補助の杏を慕っている原幸太に小林勝也
日本語学校の先生の北山に竹内晶子
優れた作品、と言っていいと思うけど、少しだけ不満が残りました
どこが優れているかは他の人も色々書いているし、YouTube動画などにも上がっていて概ね賛成で私の言いたいことも言われているので、ここではどこに不満が残ったかを書きたいと思います。
まず、主人公の杏がいい子過ぎます。劣悪な環境で育てられて、あそこまで素直ないい子には育たないよな、と感じました。福祉施設で老人にわがままに振る舞われてもまるで反抗的な態度も見せないし、手を差し伸べてくれる大人の親切をすべて素直に受け入れているところに、やや非現実的なものを感じました。親切に接しても反発されてしまう、対応に苦慮してなかなか救いの手を差し伸べられないし差し伸べるのも嫌になってしまう、それが現実だと思います。そこを踏み込んで描いて欲しいなと感じました。
佐藤二郎演ずる多田羅が雅と関係したくだりで、多田羅に対する雅の態度を見ると、雅の方から誘ったのではないかと思えてしまいました。あるいは誘われたと思った多田羅がその気になって関係を持とうとしたら、雅の方が引いてしまったため、不満を感じて多田羅が強く迫ったのかと。もしそのような流れだったら、週刊誌が記事にしてしまったのが悪かったと、それがあれば最終盤の留置所での「もし記事にしなければ彼女はまだ生きていたのか」という台詞ももっと生きたと考えてしまいました。でもこれを描いたら、杏の話ではなく多々羅の話になってしまうので、やりづらかったのかも知れません。
以上書いた通り少々不満も残りましたが、全体的には非常にいい映画だったと思います。
予想はしてても
やはり厳しいテーマ そして途方に暮れる問題 勿論、実際に起こっている事件とはいえ、脚色はしてあるので、ドラマとしての要素は色濃く残る
観る前から、「絶対、こんな作品観てしまったら気分が落ち込むこと分かり切っているのに・・・」
なぜ、観てしまうのか。。。それは観なくてはいけない責任を自分は負っているからだ 苦行であり原罪
あの毒親を非難するのは簡単 でもその近くに自分が居たら?・・・
右だ左だ関係無く、学校教材に絶対すべき作品である
自分を救えるのは自分だけ
小学生の頃から売春させられて、薬を覚えて中毒になって、親には虐待されて…
正直自分が経験してきた生活と違いすぎてリアリティがなかった。
けれども、確かに存在した人物の話ということが、これが真実であることを感じさせてくれた。
コロナ禍じゃなければ、支援してくれた刑事が本当に真っ当な人間であったなら、あんは死なずに済んだのか嫌でも考えてしまう。
確かなのは人間は簡単に欲に屈してしまうということで、結局のところ自分を救えるのは自分しかない。
あんが子育てをしていたという部分はフィクションだが、心優しく必死に生きようとしていたなら最後まで死なないで欲しかったなと感じた。
空虚で、どちらにも転んでしまう存在感
「あんのこと」というタイトルのように、杏自身でなく、杏に関わる周りの人がとらえた「あん」がテーマの映画とも受け取れる。
後半、少し説明しすぎなほどに杏の転落の背景を語る刑事、大袈裟に杏に感謝する隣人。これらの人がどこかチグハグで体温高めに描かれる一方、通り一遍な対応しかしないのが公務員、薬局の店員。人の関わり次第で主人公の運命はどちらにも転んでしまうことを冷静に描いているように思った。
肝心な主人公の感情はどこにあるのかあまり読み取れず、不安に感じた。勧められるまま几帳面に日記を付けたり、表情豊かにラーメンを食べたり。どこか危うさを感じる成長ぶりが、後半に暗転する。(それにしても支援施設の管理人を認識しているのになぜ大事なとき連絡しないのか、とは思った。)
よくある薬物中毒の再発、実家の呪縛。どちらも原因だろうが、主人公の内面は解釈の余地が大きい。もしかすると、ちゃんと育ててもらえなかった杏にとって、不意に訪れた「子育て」が自分の存在意義を確認するチャンスだったのたろうか。その子との別離が悲劇につながったのかと思うと、胸が詰まる。空っぽの人にとって、充実した日々は喪失の前触れにもなりうる。
性悪説は多分正しい
救いのない「実話」。心が痛むと言うか、しんどいです。
ニンゲンは、性悪説が多分正しいんだろう、と思わされる
コロナ禍でおきた悲劇ではあるが、こんな話は日本中、いや世界中に数え切れないくらい転がっているのだろう
杏には戸籍はあったようだが、戸籍のない子供すらいる。
戸籍がなければ法的に存在しないニンゲンなので「日本人」として保証されている権利を最初から享受できない。当然、学校に行く機会がない。
まともに学校に行っておらず、親や家族のみの極端に狭い世界しか知らなくては、それを否定する発想がない。なので杏も母親に反撃できないし脱出しようとも考えていなかった。
杏が小学校に来なくなった段階で、児相や警察が介入できないものかと思うが、できない、もしくはしていないのは、現状からよく分かる。
杏の場合は、コロナ禍をはじめいくつも悪い条件が重なってしまったというのはあるが、
反社会的な人々が更生しようとして、一旦それがうまくいったとしても、長続きしないことが多いらしい。
本人が変える努力を怠らなくても周囲がそれを許さない場合が多いのだろうと思う。
多々羅が逮捕されなくても、いづれ杏は元の生活に戻ってしまったのではないか。
毒親は血眼でタカれる娘を探し出すだろうし、娘を脅して言いなりにさせるのはお手の物。そして杏はまた身動き取れなくなり、母の言いなりになるしかない。売春を強要され、またクスリに手を出す。
または、多々羅の毒牙にかかったかも。
シェルターは本人と無関係で本人を知る人が皆無で足がつかない遠いところに住ませてもらえるはず、と思うが、わざわざこんな近くにいさせるなんて下心のせいかもと後から思った。
結局のところ行き着く先は絶望的ではないか
彼女にもう少し知識があって、正しく助けを求められることがあれば若干は変わったかもしれないとも思う。
誰かがケーススタディーで想定できる危機とその対処法を教え込んでいたら、もしかしたら杏の悲劇は防げたかも。コロナ禍でなければ、多々羅と関係ない自助会に参加してアドバイスが受けられたかもしれない。
もしかしたら、コロナ禍でなければ、杏は救えたケースだったのだろうか
教育は大事だ、とつくづく思う。
身を守るための知識を得ようにも、最低限の教育がなければ何をどうして良いものかすらわからないと思う。
一方的に杏に託児していった早見あかりの母親が警察署で、息子は大事にされてたとか、あんちゃんありがとうとか微笑んじゃってフザけたことを抜かして責任感も罪悪感もないのに唖然としました。
リアルでこういう人いますけどね。
「誰も知らない」の母のような、杏の母と違うタイプの虐待親の臭いがします。
言葉に出来ない絶望と悲しみ
前評判も良かったのでぜひ観たいと思っていたものの上映館が思いのほか少なくてタイミングが難しかったのだが、ここに来てようやく観れた。
予想はしていたが、あまりにも辛く悲しい物語だった。僕はオッサンなので杏と同じ世代ではないが、それでも同じ日本に産まれたわけだし、広い意味では同じ時代を生きてるとも言えるだろう。そんな僕には到底考えられないほど過酷で絶望的な人生がそこにあった。その事実はあまりに重過ぎて、僕の心に深く刺さった。
もちろん知識として社会にそのような世界があるのは当然知っているし、それをある程度リアルに想像する事も容易に出来る。でも、やはりそういう問題ではないのだ。「知ってる」というのは所詮「知ってるだけ」に過ぎないのだから。最近の世の中における風潮で強く思うのだが、「知ってる」というだけで「分かったつもり」になってはいけないのだ。自分が分かった気になっているだけで、本当は何も分かってないのだ。本当に何ひとつ分かってないのだ。杏がどんな気持ちで生きて、そしてどんな気持ちで飛び降りたのか。なぜあの若さで自ら命を絶たなければならなかったのか。僕らは本当に何も分かってないのだ。
「人の気持ちを分かったような気になるな」
そう言われてる気がした。
杏の、恥ずかしそうにはにかむ顔が脳裏に焼き付いて離れない。
杏の、お年寄りや子供に優しく接する笑顔が忘れられない。
本当は良い子だったんだよなあ。産まれた所が悪かっただけで。
クスリに溺れていたのを助けられ、少し人を信じ始める杏。
日記を購入し、慣れないペンで毎日「丸」を書き綴る杏。
人見知りなのに学校へ行き、学ぶことの楽しさを知る杏。
人の優しさに触れ、働く喜びや誰かの役に立つ幸せに気づく杏。
子どもを預かり、世話をする事で生きる価値を感じ始める杏。
些細な毎日、些細な幸せをコツコツ丁寧に積み重ねる杏。
そんな彼女が、なぜ死ななきゃいけなかったのか。
そんな彼女が、なぜ死ぬしかなかったのか。
もう本当に。本当に涙が溢れて止まらないのですよ。
まるで自分の子どもかと思うほど感情移入してしまった。
だからこのレビューを書くのもめっちゃ辛かった。
ところで多々羅という人間をどう捉えるか、非常に意見が分かれる所だと思う。彼は杏をどう見ていたのか?杏をどうするつもりだったのか?ここは最後まで明確にはならなかったわけだが、僕は彼なりの「善行だった」と思っている。とは言え彼がクソ野郎である事は間違いない。ここがポイントだ。
昔ハーヴェイ・カイテル主演の「バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト」という映画があったが、この作品は僕の人生の中でも3本の指に入るであろう傑作だ。(ただし分かる人にしか分からない世界観だと思う)
どんなクソ野郎でも、最初からそんな人生を望んでいたはずがない。誰も最初から悪い人間になりたいなどと思うわけがないからだ。誰だって幸せになりたいし、良い人間でありたいし、尊敬される人間でありたい。本来は誰だってそうなのだ。でも自分が決して良い人生を歩めるような種類の人間ではないという事を、意識するかしないかはともかくどこかのタイミングで悟るのだと思う。そうして人は転落していくのだ。でも転落しながらも少しだけ運命に抗ってみる。どんな形にせよ誰かを助ければ何とかなるのではないか。良い行いをすれば良い人間になれるのではないか、と夢を見るのだ。本当はもう手遅れでどうにもならないのに。そんな儚さを描いたのが「バッド・ルーテナント」という映画だ。その主人公(刑事)と多々羅という刑事は非常に被るものがある。いやそれどころか本当にハーヴェイ・カイテルがモチーフなのではないかと思うほどによく似ている。だからとても心揺さぶられるものがあるのだ。
自分の欲望に忠実なだけのクソ野郎でも、心のどこかには良い人間でありたいと願う気持ちがあり、それはそれで決して嘘ではないのだ。もちろん誰にも理解されない事ではあるのだけれども。そういう人間の愚かさも同時に描かれているのが個人的にはとても良かったと思う。
ちなみに杏が母親を刺そうとするシーン。
自分だったら間違いなく刺してるんじゃないかと思った。
でも杏は刺せなかった。最後まで優しい子だったのだ。
そして母親を殺す代わりに彼女は自分を殺した。
それがまた悲しくてたまらなかったなあ。
ずーっと「あんのこと」を考えてしまう。
そういう意味では入江監督の術中にまんまとハマったのかも知れない。
心にいつまでも残る
子を授かりどんな気持ちで出産したのか?
その子は母に12歳で売春させられ、お金を稼ぎ15歳で覚醒剤をさせられる。
実話を元に出来た作品だが。
辛くてたまらない映画だった。
しばらく心の中にモヤモヤが出来ていたが、
いろいろ考えさせられる作品だ。
ある刑事と記者との出会いからこの環境から抜け出そうとする中で、学校や仕事、自立と助けられながら、前に進むも刑事の逮捕、コロナと自立への妨げてがやってくる。
思いと裏腹にいろんな重圧がやってくる。
歯を食いしばりながら見ていたが、なぜ?
こうなるの?と悲しくなるばかりだった。
この映画を見て、今の環境は当たり前じゃなく、もっと人を大切に助けられる事が出来たらと考えさせられた。
悲しくて心に刺さる作品。だからいろんな人に見てもらいたい映画だと思う。
すごい映画 今年の映画賞はもうこれで決まり!にしたい
実話を基にしているが、リアリティがすごい。ドキュメンタリーを観ているよう。魂の映画。娯楽性はない。
酷い状況の描写や悪い人間がいっぱい出てきて、感情移入して、嫌悪感が沸いて、切ない。物語に対しても、実際あった事実に対しても。
河合優実が本当の人、本物みたい。
河合優実や佐藤二朗はそれぞれ主演女優賞、主演男優賞を獲ってほしい。
リアリティを作り出した他の俳優さんも、嫌悪感を抱かざるを得ないが、素晴らしい。
最後の場面が、あんが<守った>子供の姿で終わるのが泣かせます。
監督(入江監督)も素晴らしい。
期待外れだった「ネメシス」と同じ監督とは思えない。
満点でないのは自分のせい。
座席を後ろにしてしまい、「あぁ、もっとスクリーンに近い席で観たかった」というのが心残りでした。
武蔵野館は前の席にすべきです。
それでもこれだけ衝撃が残った。
すばらしいです。
コロナ禍に実際に起きた出来事を元にした、ある少女の物語です。同じ事が起きない事を願うのは勿論の事ですが、この少女の事を忘れないで欲しいとのメッセージを感じました。
実話ベースのお話らしく、家庭内暴力・薬物使用・そして
体を売る少女のお話です。その主人公を河合優実が演じると
あって、予告編を観た時点から気になっていた作品です。
上映時間がなかなか合わずにいたのですが、なんとか観るこ
とができました。 ・_・ヨシ
軽い作品のハズ無いよなぁ と構えて観たのですが、その予想
を遥かに越える重い内容の作品でした… @_@ ; ヒィ
どんな内容かと言いますと。
祖母と母親と3人で暮らす香川杏(河合優実)。
10才の頃から万引き常習者となり不登校に。 うーん。
12才の頃から母親の紹介する男に体を売るように。うーん。
16才の頃から薬物に手を出すように。(強要?) うーん。
そしてとうとう、警察のご厄介になってしまう。
その時の担当警官が多々羅刑事(佐藤二朗)。
この刑事、言葉遣いが悪く口調も荒い。
どこでもタバコを吸うわ,やたらとツバを吐くわ と
一見してまともな警察官には見えない。 うーん。
そんな男なのだが、薬物使用から立ち直りたい人の為の
立ち直りを支援する組織(サルベージ)を運営してもいる。
杏もこのサルベージ組織に加入することになる。
そしてここを中心に、社会に適応するための行動をする。
・薬物使用からの脱却、
・母親のDVからの逃避
・介護士を目指して施設で実習に参加
介護士を目指す理由は、将来自分の手で祖母の介護ができるように
なりたいとの想いがあったかららしい。
このサルベージ組織には、桐野(稲垣吾郎)というジャーナリスト
も頻繁に顔を出していた。この記者も、多々羅刑事同様、杏に対して
好意的な対応を見せてくる人物なのだが。(…実は訳アリ)
理解者はさらに増える。
ある介護施設の経営者は、杏のプロフィールを知りながら、自分の
運営する介護施設に採用してくれた。
住む所も「訳あり女性を支援する団体」の紹介で、同じ境遇の女性
しか入れない、専用のアパートに入居できた。
さあ、これからが人生のリスタート。
…となるはずだったのだが… うーん。
2020年に世界的に流行し始めた新型コロナウイルス。
そのあおりを受けて非正規従業員の解雇。…杏も非正規だ。
働いている場所が母親に知られ
住んでいる幅所も母親に知られ
祖母がコロナだと母親に騙され
預かった男の子を人質にとられ
また体を売ってこいと強要されて… ああああ
少しずつ積み上げてきた、杏の新しい世界が崩れていく。
何もかもを失った杏に残された道は一つしか無かった。
というお話であります。
うーん。うーん。うーん。
…
コロナの初年。
未知のウイルスの出現で、世の中全体が奇怪しくなっていました。
その中で起きた「一人の少女の自死」という出来事です。
新聞の記事になったそうなのですが、全く知りませんでした。
その当時、杏を救う方法があったのかどうか。
今更ですが、「可哀相な女の子がいたという話」だけで済ませては
ダメな問題なのだとは思います。
杏のような少女が自分の周りにいたとして、自分には何ができるのか。
そう自問してみても、簡単に答えが出そうには無いです。
…けれど。
考え続けることは、止めてはいけないとも思います。・-・;
ずっしりと重いテーマの作品でした。
観て良かったかといえば、良かったのですがそれでは不正確。
” 観ておくべき作品を観ました ” そんな心境です。
◇あれこれ
■この作品を通して思うこと
記事になった内容や、杏の生きた背景などに関して
鑑賞後に色々と疑問なことが頭に浮かんできました。 ・_・
・どんな内容の新聞記事だったのだろうか?
・何がきっかけで記事になったのか。コロナの犠牲者として?
・子供を預けた母親は、多々羅をリークしたのと同じ女性?
・杏が付けていた日記は作品に反映しているのか?
杏を自死に追い込んだ一番の原因は、あの母親にあるとは思うの
ですが、あそこまでひどい母親になったのにも理由があるのでは?
と、そこも気になっています。
杏の父親は登場しません。なので想像するしかないのですが、
「母の杏に対するDV行為同様、父から母に対してもDVがあった」
そんな可能性もあるような気がします。
杏のお骨の行方が気になってます…。
結局のところ最後まで、
あの母から逃れられなかったのかな と思うと…。(涙)
■河合優実さん
「自分が杏なら、どんな表情や仕草をするだろう」
と考えながら杏を演じたと、パンフの記事にありました。
その結果は観てのとおりなのですが、杏の存在がリアリティを持って
感じられる演技でした。いや、演技に見えないリアルさでした。
これからの活躍に、ますます期待しちゃいます。
■河井青葉さん
杏の母親役を演じた女優さんです。
作品中では本当に憎ったらしい毒親を熱演されてました。
地の性格がこうだったらどうしよう(んな訳無いですよね)
なんて想いながらパンフを読んでいたら
「本当の河井さんは、役とは正反対のやさしい方です。
この役を演じて辛かったと思います」
との河合優実さんのコメント。
役者さんて色々と大変なんですね。としみじみ。
◇最後に
いくら考えても、杏にとって救いの無い終わりとしか思えず
半ば呆然としながら映画館を後にしました。-_-;
あ 「薬物中毒からは抜け出していた」という多々羅の一言
だけが、救いといえば救いです。T_T
その言葉が杏に届くことは無く、それが哀しい。
これだけ心をかき乱される作品、そうそう出会うものでは無い
気がします。
あの” 毒親 ” は、実の娘という金ヅルを失った後どうやって生き
続けていったのでしょう。そんなところまで気になってます。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
社会とのつながりが深まり、世界を新しい感覚でとらえるきっかけになります。
▪️感想
現実にあった話でズシンと重かった。
自分が住む国で同じ時代に、あんのような人がいることをこの映画で知ることができた。
アンダーグラウンドな世界が日常のすぐ近くにある、あんの生きつらさにヒリヒリした。
▪️気づいたこと
序盤では、覚醒剤をやめて社会復帰していくあんの姿が描かれるが、面接や仕事が決まった時、住む場所が決まった時も常に刑事は見守ってくれた。仕事が決まった時に3人で祝杯をあげた時のささやかな喜びはとてもキラキラして、スクリーンに釘付けになった。
あんが、毒親とおばあちゃんを売春で養いながらシャブで気持ちをハイにする毎日から更生していくうちに、あんの内面が変化していったように見えた。受身で人形のような性格から、力強く前に進んでいく性格に変わっていったように見えた。
あんは、介護の仕事で自分が誰かの役に立っていることに社会とのつながりを感じただろうか。隣人から無理に押し付けられた子供の世話は、あんに生きがいを与えただろうか。
あんは自分と社会とのつながりを作るきっかけになった刑事が捕まったことは現実として受け入れたのかもしれない。つながりを断ちたい肉親とは、最後までつながりを断つことができなかったのに、つながりたい人達とは分断されてしまう。あんは、自分と社会がつながっても、すぐにほどけてしまうことに絶望して疲れてまい、死んだ方が楽だと感じたのだろうか。
▪️登場人物について
毒親の存在の痛々しさが、部屋の汚さや娘をママと呼ぶところ、キツイ言葉使いにも感じられた。
新聞記者の接し方は、適度な距離感を保っているように感じた。その分、あんが辛い時に声をかけにくかったのだろう。刑事には頼れたけど記者には頼れなかったのか。
刑事の女性への接し方には序盤から不穏でざわざわしたが、後半に「やっぱりそうか」となった。刑事は性犯罪を犯していたが、聖人ではないところが人間くさく、あんや他の薬物中毒者たちを救いたい気持ちは本気だったように感じた。
▪️おすすめしたい
「あんのこと」は1人の女性の現実を描いた映画です。この映画を観れば、社会とのつながりが深まり、世界を新しい感覚でとらえるきっかけになるので、多くの人に観てほしい、強くおすすめします。
予告で結末は察していたけど・・・。
あまりにせつない。
実話の部分はコロナ禍に親から虐待、売春強要などを受け自〇したという部分のようですが・・・。
正直コロナ対策は過剰過ぎたと思っているのですが、人と人との結びつきがあるからこそ人生というか。不要不急という言葉でどれだけの人々が苦しんだのか。
まあ、これに関してはそれぞれの価値観があるので、それはさておきとして。
本編の多々羅は、あんのことはそういう目では見てなかったのだろうか。
生き生きと薬を止められていることを語っていたみやびや、その他の女性に対して立場を利用して手を出していたと思うと・・・。
録音とかもあるから、陥れたい人物の狂言でもないんだよなあ・・・。
桐野は悔やんでいたけど、救われた女性もいるから難しい・・・。
最後にノートから破ったのが何かと思ったら・・・。
どうやって子供のアレルギー知ったのかな?と思ったけど、最後の希望があの子だったというのが。
見終わった後、しばらくぼーっと座っていたかったぐらい脱力感があった。
積み重ねるということ。あんは生き続ける。
あんが日記に◯をつけて、1日1日逞しくなっていく姿に心打たれる。そんな世界を見せてくれた人を失い、さらに、せっかく積み上げたものをいともたやすくぶち壊す人がいる。あんはいなくなったが、あんを知る人の中に、あんは生き続ける。
社会を直視する114分
冒頭にも注意書きがある通り、「あんのこと」は実話を元にした作品である。河合優実の演技力も然ることながら、演出からテーマまで非常に作り込まれている印象を受けた。
映画でまず脳裏に焼き付くのは、赤い光に包まれたラブホテルでのワンシーンではないだろうか。このシーンはもとより、作中を通じて「光」が象徴的に使われている印象を受ける。あんが実家から逃げ出すシーンでは、明るい公園で彼女を待つ多々羅をあえて暗所から映し、一人暮らしという希望に向かう様子を効果的に描いている。彼女が実家でカーテンを開けるシーンは、暗澹たる環境で何とか希望を見出そうとする彼女の姿勢を象徴しているだろう。こうした「光」による表現は、その明暗を問わず作中の至る所で見つかる。ラストシーンで暗い廊下を光へ向かって歩く母親の姿も、響き渡る赤子の泣き声と相まって、あんの残した一縷の希望だと了承されよう。
光以外の演出も細かい。例えば前半であんがラーメンを食べるシーンでは箸の持ち方が正しくないし、日記を書くボールペンの持ち方も不器用だ。こうした細かい作り込みが、徐々にあんの置かれた境遇に対する創造力を掻き立てる。手持ちのカメラで撮影されるシーンはドキュメンタリーのようなリアリティを出しているし、暴力の生々しさを強調する。随所に現れる交通機関は社会のメタファーとして、ときに無音で、ときに轟音で、社会に対する彼女の心緒を表現しているのだろう。さらに、エンドロールは静かなピアノソロである。映画の商業性のみにとらわれない姿勢には好感が持てる。
映画のテーマは、あえて短絡的に表現すれば「社会派」といったところだ。
リアルに描写される男児のおむつ替えのシーン、水を落とす高齢者介護のシーン、学校で多くの外国人と学びを共にするシーン、どれをとっても年齢や国籍の多様性を強調している。そして、あんは彼女なりに、それぞれの多様な人々へ上手く溶け込み、馴染んできた。しかし、そんな多様な人々が包摂されるはずの社会に、あんは救われなかった。東京五輪を象徴するブルーインパルスが出す灰色の煙は、自分を見放した社会に対する彼女の眼差しそのものといえよう。
この映画を通底しているのは、登場人物の二面性である。
薬物中毒だったあんは、カラオケやラーメン屋で普通の大学生かのように無邪気な笑顔を見せ、多々羅らを慕っている。多々羅は薬物中毒者を救いながら、サルベージ赤羽を私物化してきた。桐野(稲垣吾郎)は多々羅を質しつつ、後半には自身の行動に対する迷いを見せている。誰をとっても「完全なる善」ではない。こうした人間としての不完全さが、観客へある種の共感を呼び起こし、本作における社会描写のリアリティを一層増していると思われる。
救えなかったのか?
見る前から暗い映画だと知っていたが、以前に見た映画 関心領域 人間の境界に比べれば、救いがあると思われた。彼女には一緒にカラオケする仲間? ラーメンを食べる仲間がいたから
彼女を救えなかったのか? どこかで 救いあげる事はできなかったのか? 小学校で担任は気がつなかったのか?
やっと 自立できる道を歩もうとしたところに、コロナ禍が始まり、彼女は孤立する。追い討ちをかけるように、隣人から子供を預かり、その事を誰にも相談できず、なんとか子育てをしようとする。健気で純粋で、知恵のまわる大人であれば、児童相談所に電話するだろうが…
最後は絶望し そりゃ~ 絶望するだろう。
私だったら何ができるのか? まず、そういう人たちに気づかない。自分のことでいっぱい いっぱい。
誰か悪いというのは簡単だ。そういう人たちを救うシステムが必要だと思うが どうやって?
困った時、誰にも相談できない、声をあげることすら知らない。助けと言えない。せめて、彼女の声を聞くことが社会をと願う。
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