あんのことのレビュー・感想・評価
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どこかにいることを忘れてはならない
第98回キネマ旬報ベスト・テン第10位。
Amazon Prime Videoで鑑賞。
とても苦しくて辛い映画だった。実話ベースの物語だからこその重みが心にずしっとのしかかる。杏の歩んだ悲劇的な半生を体現した河合優実の圧巻の演技に息を呑んだ。
冒頭から辛い。杏の荒んだ暮らしに心が痛む。そんな彼女に差し伸べられた手。見出した生きる希望。観る方も少し心が軽くなる。彼女の前途は明るく照らされ始めた…はずだった。
これは果たしてコロナ禍のせいだけなのだろうか。杏の家庭が機能不全であることが一因なのは間違いない。希望も絶望も知らないから、助けを求めようがなかったのかもしれない。
こんな悲惨なことが現実に起きたのだ。もしかしたら私のすぐ近くでも。衝撃を禁じ得ない。悲惨な現実をまざまざと見せつけられたような感じで複雑な余韻が残る。杏のような人がどこかにいることを、決して忘れてはならないと思った。
依存先は多い方がいい
生活保護や児相、訳ありの人のための家、定時制、高卒認定、非正規雇用など人を助ける手段が沢山でてきた。
また、薬をはじめとして友情、コミュニティ、趣味、勉強、仕事、愛情、使命など人を人たらしめる物も沢山でてきた。
自律とは1人で生きることではなく、依存先が多い状態を保っていること。
人物像が浅すぎて、ストーリーにあんま深入りできなかったのが残念。
刑事は悪人ではないはず
佐藤の演じる刑事の過去の行いと、それを暴いた記者によって、あんの平穏は音をたてて崩れた。
稲垣演じる記者が「熱心だった」と感じた女性。
彼女は、本当に性行為を強要されたのだろうか。
週刊誌側は、彼女に取材料を払ったのだろうか。
彼女についてきた、男の存在は何なのか。
当たり前の話だが、「性行為の強要」は否定されるべきもの。
それを前提として、特に最近、その話を持ち出されると、問答無用で男側の言い分は「卑怯者の言い訳」としてレッテルを貼られる傾向が強すぎはしないか。
男と女は、途中までは上手くいっても、ふとしたキッカケで関係が最悪なものに発展するケースは珍しくない。
そこで、復讐のためには「手段を選ばない」女性は、割といると感じる。
男と女が恋人など近しい関係があったとき、割り切ったり、酷いことを平気でできるのは、どちかというと「女性」のような気がする。
もちろん個人差もあるが、そういう場合、女々しかったりひきずったりするのは男側で、女側はドライ、というのが、今まで見てきた自分の感じ方だ。
いくら人間には多面性があると言っても、この刑事の、本質は悪人であるはずはない。性行為自体はあったとしても、「悪事」であったかどうか、そこは怪しい男を横につけた、女性側の主張一つしかない。
この記者が、余計なことをしなければ、あんは亡くならずに済んだ。
和製ダンサー・イン・ザ・ダーク
なんとも表現しがたい感情
救いは無いし、理不尽極まりないし、胸糞悪い部分もあるが、社会との繋がりが途絶えるとなんとも人間とはもろく、逆になんとも無垢なものかというのを思い知らされた。
そして、経験したあの世界が変わりゆく瞬間、主人公と同じ様にポロポロとこぼれ落ちて行く人たちを、たぶん私たちは知っている。彼らを忘れてはならない。
誰も救われない胸糞悪くなる作品
自宅レイトショー『あんのこと』Amazon Prime Video
映画好きの皆さんの昨年のベストムービーに必ずランクインしてる作品
ある新聞の片隅に掲載された事件が元ネタらしいだけに地味にリアル
ここ数年超注目女優の河合優美主演の話題作
私的に配信待ちでいいかなって事で、アマプラ鑑賞
内容的にはR18ながら露骨な性描写をあえて無しにした感じのPG12
その部分が、誰も救われない虚しい悲哀と妄想を増長させる
なので下世話ですが、観てお得は無し。。。
こどもは親を選べない
香川杏(かがわあん)
…母から薬物、売買を強要され
学校も行けず教育も受けられず
母の虐待を受け続けて
身体や心の状態まで
病んでいる時に…
刑事と出会う
そして
薬物を止めるきっかけをもらった
介護施設で働き学校で学べることが
彼女の心の安定となり
順調にいくのかと思いきや・・
コロナ禍で
施設で働けなくなり
学校も休校になって全てが止まり
人との繋がりも失くなってしまった
そして母に見つかってしまった事が
あんにとって最悪な状況に戻ってしまった
…母がいる限り
あんの生きる場所はないかもしれない
コロナ禍かぁ~
いい人達と繋がったのに
もし、コロナ禍じゃなかったら
と思ったりもするけど。
ひたすらに救いがない
殺虫剤を撒く前に。
近頃の浮ついた自分への覚醒剤
貧困女性というジャンル映画
あんのこと
どこまでも自己中心的な母親が娘に暴力を振るい、自分の為に売春をさせ、娘をママと呼ぶ未成熟さが痛々しい。そんなどうしようもない毒親からの自立を図りなんとか生活を立て直そうとするも、電線に脚を絡め取られたカラスのように自由に空を羽ばたくことが出来ない。
薬物依存から立ち直る為のサルベージは間違いなく機能していたし、刑事の功績も大きかった。
記者が「私があの記事を書かなかったら、彼女はまだ生きていたんでしょうか?」と問うていたけれど、たったひとりの刑事の個人的努力によってしか救えない事自体が社会の問題で、やはり刑事の逮捕は間違っていなかったとおもう。それとは別の問題として捉えないといけない。
全く救いのないように見える物語だけれども、主人公はおばあちゃんのことをずっと想っていたし、あんな母親でも直接的に傷つけることはできなかった。
唐突に預けられた他人の子供もちゃんと面倒をみて、自分の体を犠牲にしてでも救おうとした。
だからこそ、彼女には幸せになってほしかったけれど、母親のように誰かを傷つける前に自分を傷つけて、それでも耐え切れずに命を絶ってしまった。
こんな子供たちの為に、映画を観ている私たちは何ができるんだろう。
きっともう忘れられない。あんのことを。
考えさせられる映画でした
今、若手の最先鋒(正しくは急先鋒?)河合優実さんの迫真の演技が話題で絶対観ようと思っていたものの、なかなか映画館に足を運ぶことができずVODでも「しっかり腰を据えて臨もう」と思っているうちに年末を迎えてしまいました。
紅白で珍しくちょっと感動して、カウントダウンは遠慮して精神的にしっかりした状態で鑑賞しました。
が、これは凄いというかなんだか後味が悪い状態で新年を迎えることになってしまうとは!?それにしても河合優実さんの、本物じゃないかと思えるほどの演技に圧倒されました。事実をもとに作られたお話というのもより苦い後味の一因かと。日本の貧困社会にコロナ禍が相まって、とても哀しい展開になっていましたね。
福田監督作品の佐藤二朗さんは正直好きじゃないのですが、今回の色々な苦悩を抱えた演技には見直さざるを得ませんでした。同郷で大学の後輩でもある佐藤二朗さんを陰ながら応援してきた甲斐がありました。余談ですがジブリパークの宮﨑吾朗さんも同時期安曇野あたりで青春してたと思います。またふつうのジャーナリストの吾郎ちゃんとの対比もよかったです。吾郎ちゃん、『半世界』での寡黙な雰囲気よかったですね!もうSMAP再開しなくても大丈夫でしょう!
もうひとりのかわい(川合)さんも本当に憎らしく、、いけないこととは思いながら「刺しちゃえ!」って思っている自分がいました。TVドラマ『Mother』で幼い芦田愛菜ちゃんを虐待する尾野真千子さん&駆け出しの綾野剛さんを思い出しました。悪役の演技は心から憎々しく思わせたら『勝ち』ですね。
今日は一日明け、年も明けて心穏やかな朝を迎えていますが一年前の突然の震災や社会が抱える根の深い課題を考えると、普通の生活が送れることの幸せに感謝しなければと心から思います。事実に基づく話であることを再度認識して後味の悪さは置いておいて考えさせられる大事な作品だと思いました。
それにしても河合優実さんからしばらく目がはなせませんね。缶コーヒーのCMの中でファン第一号を名乗る神木隆之介の気持ちがよくわかります!!
話題性、過激性、マーケティングに問題あり
河合優実主演で話題作になるかと思えば都内なのに上映劇場は少なく配信もすぐ終わった。
これでは観ないでくださいとでも言っているよう。
やっとPrimeビデオで観れたので見た。
PG12なのに性的なシーンなど皆無
ただラリってる風なシーンのみ
暴力シーンも軽微なものしかなくPG12にする必要あった?
せっかく河合優実が主演を承諾したなら
「闇の子供たち」くらいの事したら良かったのに。
新聞記事が元だと言う事だから活字からの実写化だからかリアル性にも欠けるような淡々さ。
杏は薬物中毒者であるがSEXワーカーを強いられている虐待児なのに
体を売るのが日常であった事が1ミリも描かれておらず
現実を知らない脳天気日本人にキレイなところだけ見せて終わりにして可哀想を誘う映画。
馬鹿なの?
この手の事実はいつだってあるし、他にもニュースになった実話は沢山あるよね。
最初から最後まで救いがないようにたんたんと流れていくが、
心臓がびっくりしないように活字だけから作った淡白なお話。
同じSEXワーカーを描いた「エゴイスト」はフィクションであれもリアル性にはかけたがまだマシだった。
この手の映画は人に観てもらわなければなんの啓発にもならない。
もっとまともな作品作りをすれば河合優実の代表作にもなったかもしれないのに。
残念だ。こんな映画で心が痛くなったとかほざくお花畑日本人がいたら失笑する
つらい…
「新型コロナウィルス」の人々に及ぼした影響を描いた映画としても鑑賞する価値はありましたね。
今年最後の目黒シネマさんにて『~光と影のはざまで息をする~』(12/26(木)~12/28(土))と題した『ミッシング』『あんのこと』2本立て鑑賞。
『あんのこと』(2024)
2000年6月に実際に朝日新聞に掲載された実話をモチーフにした作品。
家庭崩壊、母親からの虐待の末に不登校、売春、ドラッグに溺れた杏(演:河合優実氏)がドラッグの更生施設も主催する刑事・多々羅(演:佐藤二朗氏)との心の交流のなかで復学、就職をして自立更生していくが、新型コロナウィルスの流行による学校・職場の閉鎖、多々羅の更生者への性加害による更生施設の閉鎖と逮捕により、徐々に元の荒れた生活に戻っていくというのが大まかなストーリー。
鑑賞中は令和の時代にかなり荒唐無稽な話だと思いましたが、鑑了後身近に起きた事実、主人公・杏の壮絶な人生に愕然としましたね。
山田洋次監督『学校』シリーズのようなハートウォーミングな作品、ラストを想定していましたが、完全に心をえぐられましたね。
河合優実氏の体当たりの演技は見事でしたが、佐藤二朗氏の普段とは違うシリアスな演技、
多々羅氏との友情と記者としての正義に揺れる稲垣吾郎氏の両氏もお見事でした。
世間が忘れはじめた「新型コロナウィルス」の人々に及ぼした影響を描いた映画としても鑑賞する価値はありましたね。
大変参考になりました!
河合優実さんの演技に拍手
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