「なぜ彼女は見出されたのか」恋するピアニスト フジコ・ヘミング あっきゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
なぜ彼女は見出されたのか
正直な話、素人耳の自分にはこの人がどれほど凄いピアニストなのかはよく分からない。お婆ちゃんなのにリストの難曲を弾きこなせる人で、たまたま母と同じ名前のため勝手に愛着を感じていた程度。昔見た映像では時々和音が変だったりテンポがえらく遅いな等と感じる時もあった。音楽界でも評価には賛否両論あるらしい。
でも今日、劇中で流れる「エオリアン・ハープ」を聴いて不覚にも涙が出た。独特の風貌、デビュー直前に聴力を失うなどの波瀾万丈な人生、我が道を行く曲の解釈などが全て相まって理由の分からない感動を呼ぶのだろうか。そう言えば殆どのシーンでピアノに楽譜が無かった。
全ては90年代末にNHKが彼女を取り上げた事から始まった。ではNHKはなぜこの時彼女を選んだのか。市井には他にも才能に溢れ、劇的な人生を送っている人は数多いたであろうに…。素朴に解明してみたい点である。
「悲しみを癒すには神に祈るだけじゃダメ。側に音楽が無いとね」幾多の試練をかいくぐってきた人の言葉として胸に沁みた。
安らかに眠られんことを。
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