「Valley of Tears」雪山の絆 おひさまマジックさんの映画レビュー(感想・評価)
Valley of Tears
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本作レビューはスペイン在住のジャーナリスト、木村浩嗣氏の寸評が的確かつ正確と思われ、私の個人的感想にも沿い、興味のある方は検索してお読みになられると良いとおもう。
同氏の解説によれば、私はどうやら「本作をもっとも楽しめるタイプ」に属していたようだ。「生きてこそ」も観ておらず、本作を楽しめた。もっとも、楽しむというと不届き発言になりそうなノンフィクション作品だが、当時より半世紀の時が過ぎた現在では、時効としてその気持ちを赦してもらえるだろうか。
映画の内容としては、なるほどこういう事故があったかという感想で、なかなかにショッキング。大惨事がいつまでも終わらない絶望感、絶望の先の悲惨が、私たち観客にもおそいかかる。文化人類学上のカニバリズムなどいうと冷静に聞こえてしまうし、乗客がラグビー選手団だったことで当作品の邦題「…絆」という側面もよく描かれていたが、実際の現場は更に筆舌に尽くし難い状況であったろう。生存者の証言によると「水は作り出すもので、札束は紙切れで燃料にしかならず、食べ物が**という、法の無い原始的な社会」だったとのこと。
時系列上で最後の死亡者であるヌマが、カニバリズムのタブーに対し最後まで納得しない(いま日常に居る視聴者の感情スタンスに近い)考えであり、その彼に事故前から自らの死後に至るまでナレーションを取らせ幕間となる流れはおもしろかった。
ウルグアイ空軍機571便遭難事故。その犠牲者に暫し黙祷をささげたい。
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