「映画における象徴的シーンの大切さ」劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく! Re:Re: kameさんの映画レビュー(感想・評価)
映画における象徴的シーンの大切さ
総集編なので詳しめに書いてもネタバレじゃないよね精神で書いています。
この映画は総集編とは思えないほどシネマティックです。これは前編、後編どちらにも言えることです。
特に後編は前編でも登場した印象的な演出が一貫して使われています。
前編はぼっちと虹夏がバンドをやる理由が説明されていました。そして今回の後編は喜多郁代がバンドをやる理由に焦点が当てられています。
前編ではセリフで説明していたキャラクターがバンドをやる理由ですが、本作ではセリフでは明確に説明していません。わずかなセリフと冒頭と後半のぼっちの背中を見る郁代という演出だけでほぼ説明しています。実に映画っぽい。
また、ぼっちの幼い頃の回想でクラスの輪に入れないぼっちが手を先生に引かれていくシーンがあります。このシーンでぼっちが落としたボールが、ボールたちが固まっている場所に辿り着けないシーン(ぼっちも持ってるボールも輪に入れない)が存在します。後にぼっちが一人でいるシーンを入れてくる演出もいいですね。
ぼっちの背中を見るカットと合わせると、「ぼっちが孤高の存在」である感じが出ていると思います。
前作にも登場した顔が照らされる演出が、アニメ本編よりも印象的になっていると思う。
何か不安があると顔に影を落として、その後安心したりして顔にまたキーライトが当たる演出だ。この際、前編後編ともにライティングがアップステージキーであり、反逆光になっている。これは実写の技とアニメ的演出が組み合わさっていて、スクリーンで見ると画力がとても強い。
細かい象徴的演出を積み重ねて一つの雰囲気を作る。これが本作の「映画っぽさ」につながっていると思う。総集編とは思えない出来なので、アニメ版を見ている人にはぜひ見てみてほしい。