めくらやなぎと眠る女のレビュー・感想・評価
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違和感が不安を掻き立てる
日本アニメの可愛い顔を見慣れた目に、この作品の顔には違和感しかない
しかしこのデフォルメの方が現実に近く覚えるのも不思議だ
主人公は村上春樹に似てくる
鑑賞後の街は、私も含めて、アニメ顔の化粧より本来の表情の誇張が浮き上がる
音楽も抒情的な美しさなどなく、不穏な調子に盛られる
思えば村上春樹の世界は、柔らかい文章の底に理解しえない不安が充ちている
良作!村上ファンなら楽しめるかも
センス良い風にアレンジした夢のような作品
「短編小説6編」
ハルキスト
フランスっぽい村上春樹作品
アニメ化にあたって最大の功績は「かえるくん」だろう。可愛さと不...
空虚な人生は埋められない
2022年。ピエール・フォルデス監督。村上春樹のいくつかの短編をつなぎあわせてひとつのドラマにしたアニメ―ション。震災後に妻が家を出て行った男(村上春樹に見える)はその穴を埋めようと有給休暇を取得して実家に帰ったり旅をしたりする。一方、同じ職場のさえない男は帰宅すると巨大なカエルがいて、「東京を救う」ための戦ったくれと求められる。
見ていてつくづく思い知ったのは、村上春樹作品の本質的な要素。
①本当の物語は自分ではなく身近な誰かの身に起こる。
②その物語を自分のものにする機会が生まれるが失敗する。
③結局、人生の空虚さを抱え続ける。
このところ手をつけてない村上作品の本質を思い出させるくらいよくできているということだろう。アクションやスピードよりも省略や暗示、ほのめかしが特徴。
「あ!かえるくんだ!」
中学生の頃に村上春樹を読んでから、おそらくすべての作品は買い読んでいます。中でもこの作品の原作となっている多くの作品が入っている短編集「神の子どもたちはみな踊る」は最も好きな村上春樹作品のひとつだと思っています。
そういう人間の感想なのでかなり強いバイアスがかかっていると思ってください。
日本語版の予告編でかえるくんが「かえるくんです!」と話した時、「あ!かえるくんだ!」飛び上がりました。(もちろん比喩です)
「かえるくん東京を救う」はとても好きな作品ですが、自分の頭の中でかえるくんがどんな声をしているか想像をしたことがありませんでした。それが、あの予告編の声一発で「これはかえるくんの声だ!」と思いました。他のキャラクターの声も誰ひとり「うーん、ちょっとイメージが違うんだよな」と思う人はいませんでした。これだけでも素晴らしい映画化だと思います。
正直言ってストーリー自体は、村上春樹を知らない人にとっては「これ何の話?」と思うものだろうと思います。楽しめる方もいると思いますが。
ただ、私はとても満足しました。ところどころにある、主要キャラクター以外の人(いわゆるモブ)が空気のように描かれているアニメ技法も、村上春樹作品の空気にとてもマッチしていたと思います。
想像していた通り
村上春樹原作の映像化作品として、一番好きです。
今年のアニメ映画の中でも、ルックバックよりこちらを推します。
ずっと前に原作の短編集をよみ、安西水丸さんや和田誠さんの挿し絵から想像していた、脳内の映像にほぼ一致しており、すっきりしました。いわるゆる、ジャパニメーションではうまくいかなかったと思います。
また、短編集のそれぞれの話は繋がっているようで無関係だったりしますが、うまく再構築をして一つの世界にまとめ上げてます。ダメになる前のUCU見たいです。
字幕版を見ましたが、原語の翻訳よりは原作のセリフをそのまま使っているようでした、記憶が正しければ。それもよい。
日本の描写もそれほど悪くありません。登場人物が美男美女に描かれていない(?)のも好感が持てます。主人公は村上春樹氏本人に似せてあります、たぶん。
音楽はジャズで来るかと思いきや、謎感が強くぴったりです。
以下は希望です。
郊外のバスは後ろ乗り前降りなので、直して欲しいです。
猫を待つところは無駄に長引かせて、ずっと雲の映像でもよいです。
ビールを無限に飲むシーンが見たかったです。原作を読んでそんなにビールって沢山飲めるのかって、いつも思います。
カンガルー日和も作って欲しいです。
かえるくん、東京を救う
ピエール・フォルデス「めくらやなぎと眠る女」村上春樹 の短編6本を一本の長編に再構成した作品で、短編「かえるくん東京を救う」の片桐とカエルくんのラインと短編「めくらやなぎと眠る女」の“僕”と“彼女”が他の短編のキャラも兼ねるラインが同時進行する構成でした。
構成も巧妙でとても面白かったけど、セレクトされた短編の中でタイトルにもなっている「めくらやなぎと眠る女」が他の寓意度が高い作品と比べて異質で絵ともあまりハマってなかったなと。タイトルは「かえるくん、東京を救う」でも良かったんじゃないかなーと少し思ったりしました。むしゃむしゃ。
あと、僕と友達が彼女のお見舞いに行く時にバイクに乗りながら歌ったのはなぜ「ベラチャオ」だったんだろう。
器と中味と
突然妻に出ていかれた小村の話と、その同僚で融資を焦げ付かされそうな片桐に巻き起こる不思議な話。
原作は知らず、もとは6つの話しということで章立てたつくりではあるけれど、繋がって1つの話しという作り。あ、2つの話しか?w
2011年の東日本大震災から5日間、妻が震災のニュースを見続けて何も反応を示さないという小村の話しに、担当した7億の融資が焦げ付きそうで憂鬱な片桐が帰宅すると、自宅に人間と同じ大きさで人間の言葉を喋るカエルくんがいたという話しを行き来しながらみせていく。
小村の話しは映画としてはまあありがちでそれ程面白味のない転がり方だけど、キョウコの良いところが全然みえないから同情心をあおられる感じかな。
そして片桐の話しはなんとも不思議なファンタジーで、興味は惹かれるしユニークだけど良くわからずw
あわせてみると、終わり良ければなお伽話の様なヒューマンドラマの様な感じでなかなか面白かった。
絵がシンプルな分、アニメなのに文字として入ってくる
シュールさとおかしみに浸かる
フランス風の色使い
吹替版を鑑賞、期待外れでした。
6本の短編を繫ぎ合わせてアニメ化したらしいが、台詞回しが独特過ぎて耳障りな印象。作画が日本物と違い雑、フランス人が日本のアニメを好きな理由も頷ける、そもそも一瞥して、そのキャラクターの年齢がわからない、20歳の顔じゃないし、どうみても若そうに見えない。日本の銀行はあんなに厳しく解雇を促したりしないし、第一日本の道路は右側通行ではない。現実を抽象化し過ぎではないか、小説ならまだしも映画としてはいかがなものかと思う。本作を咀嚼してブラボーと呼べるほど、私自身の脳は動いておりません。私も虫に脳を刺激されたら少しは村上ワールドを理解できるのかもしれませんが笑。片桐さんの話と小村さんの話に相関関係がなく、ストーリーが分裂している気がします。
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