「【”素晴らしき哉、人生!コシノアヤコバージョン。”今作はだんじり魂で日本を代表するデザイナーのヒロコ、ジュンコ、ミチコの三姉妹を育てたど根性女性の半生を描いたチョイと沁みるヒューマンコメディである。】」ゴッドマザー コシノアヤコの生涯 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”素晴らしき哉、人生!コシノアヤコバージョン。”今作はだんじり魂で日本を代表するデザイナーのヒロコ、ジュンコ、ミチコの三姉妹を育てたど根性女性の半生を描いたチョイと沁みるヒューマンコメディである。】
■粗筋、他。
ー 今作は、子を持つ親として参考になるシーン満載の、そして参考にしてはイケナイシーンも描かれている、今や時の人である池田テツヒロ氏の映画愛溢れるオリジナル脚本の元、描かれている映画なのである。
そこでは、若くして親(木村祐一)の決めた人と結婚したコシノアヤコ(大地真央:ナント!映画初主演だそうである。ビックリ!)が、娘を三人もうける中で自由奔放に、けれども常に子のことを考え、更に様々なピンチを機転を利かせて切り抜ける姿が描かれているのである。
物語は、イキナリ、コシノアヤコが危篤の状態で病院に担ぎ込まれ、意識不明のままベッドに寝かされている所に、赤、ピンク、黄色の服を着たかしまし娘のヒロコ、ジュンコ、ミチコが登場するシーンから始まる。
そして、コシノアヤコの魂の脇にはどう見てもチョイ情けない見習い天使(温水洋一)が分厚い彼女の人生を綴った本を手に立っているのである。
誰が見てもフランク・キャプラ監督の名作「素晴らしき哉、人生!」のパロディだと分かるのである。だが、ここで怒ってはイケナイ。この作品は、含蓄もチラリと含ませながら一人のだんじり魂を持った肝っ魂母さんの半生を、見事に描いているからである。-
◆感想<Caution!内容に触れています!>
・冒頭のコシノアヤコの魂とチョイ情けない見習い天使との会話から、娘のアヤコの生き様が描かれて行く。全て大地真央さんがアヤコを演じている。天使が”チョイ、無理がありますな!”などと余計な突っ込みをしているが、私は気にならなかったな。逆に”大地真央さん、凄いな!”と思った程である。目力が凄いのである。流石、元宝塚大スターである。
・アヤコは結婚し三女を設けるも、夫は戦地に赴き帰って来ない。それでも、彼女は家業である呉服店を一人でミシンを踏みながら切り盛りするのである。供出品の指示によりミシンを護国婦人会に要求されるも、軍服を急遽作りミシンを守るシーンは、ナカナカである。
ー この辺りからコシノアヤコの機転と肝っ魂母さん振りが発揮されて行くのである。ー
・アヤコが、妻子ある男(市川右團次)と禁じられた恋に落ちるも、胸を張って娘達が渋い顔をする中で掛けていく姿。彼女の初めての恋である。
ー 褒められた行為ではないが、彼女の破天荒な一端を表している。ー
■アヤコの、後に世界的なデザイナーになるヒロコ(黒谷友香)ジュンコ(鈴木砂羽)末娘ミチコ(水上京香)の育て方もナカナカに凄い。
ヒロコとジュンコには、特に教える訳でもないが、家業の呉服店を手伝わせることで、二人は自然と服飾の世界に入って行くのだが、末娘のミチコが、テニスの全国大会で優勝した時に掛かって来た電話にも、喜ぶわけでもなく”はよ、帰ってキイ!”と言い労う訳でもなく電話を切るシーン。褒めもせず、貶しもしない。だが、ミチコは母を見返すが如く、服飾の道に進むと決め”ロンドンに留学する!”と言った時には、周囲の大反対の中でただ一人”行ってこい!”と言う姿が、印象的である。
そして、困窮しているだろう娘の所に単身食料品を持って乗り込み、お手製のすき焼きを食べさせるシーンは沁みたなあ。ミチコは嬉し泣きをするのだが、その姿を見ながら”ヤッパリココの肉は美味いなあ”と言いながら、もりもり食べる姿。
ー アヤコの子育てとは、正に”背中で教える”と言う方法であり、娘三人はアヤコが意図した訳ではないが、世界的なデザイナーになったのはご存じの通りである。-
・更に凄いのはアヤコが74歳で自らのブランドを立ち上げたシーンでの、猛抗議する三人娘に対する啖呵である。
”アンタらを産んだのは、私や!だから、アンタらのデザインも含めて、全て私のブランドや!”
ー ”凄いなあ。だんじり魂だなあ。”その威勢の良い母としての啖呵に対し、言葉を返せない娘達の姿。ー
<そして、意識不明のアヤコのベッドの隣に、ヒロコ、ジュンコ、末娘ミチコが川の字になってアヤコの馬鹿話 <海外に出国した際に、”SEX”の欄を見て”最近してないなあ。”と言ってアヤコが0を書いた話は可なり笑った。>で、盛り上がる中、天使が”さてどうしましょう”と言った時にアヤコが言った言葉が、又凄いのである。
今作は、だんじり魂で日本を代表するデザイナーになったヒロコ、ジュンコ、ミチコの三姉妹を育てたど根性女性の半生を描いたチョイと沁みるヒューマンコメディなのである。>
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