「ジーザス!」NOCEBO ノセボ なつ F列さんの映画レビュー(感想・評価)
ジーザス!
初っ端から不穏なBGM。
楽しい家族の朝の一幕では?しかし内容は娘っ子の送り迎えの押し付け合い。
そりゃ不穏だよ。娘っ子が。
バリキャリデザイナーのクリスティーン。
いきなり悪魔犬みたいなのが出てきて、身体をぶるったらノミがぶわり。その1匹が彼女の首裏に…キャー
そして8ヶ月後。展開早くてとても助かる。
眩暈や頭痛、曖昧になる記憶と物忘れ。
8ヶ月後の間クリスティーンはかなり弱っていた。
家政婦としてやって来るダイアナ。あなたが頼んだのですよ?あぁ、そうだったかしら…そうですよ。
記憶が曖昧なため自分が信じられないクリスティーンはダイアナの言うことを信じる。霧がかった頭で自分が信じられない。
そして、ダイアナの一時的な対処により病状が和らいだことによりすっかりダイアナを信じきる。
このダイアナがとっても怪しいのだが、情報が小出しなため観ているこっちも敵なのか味方なのかわからない。
しかし、まじないや時折呟く謎の呪文で怪しさは満点。それをガンギマリな大きな瞳でやるので怖い。
彼女はオンゴという強力な力を持つという。
ダイアナに不信感を抱く夫と娘っ子。
一方でどんどん信じていくクリスティーン。
あの、手を繋いでぐるぐる回る呪文はなんだろうと失笑した。新しいまじないだわ。
血液、爪、髪の毛などを採取したり「身体を治すため」の呪い方法も多いので楽しい。
その時のワードは「私を信じて」
娘っこのボブスも彼女を嫌っていたが、プチいじめの現場をダイアナは見てその心に隙間にするりと入り込む。
うーん、忙しいがためにあまり両親にかまってもらえずプチいじめを誰にも相談できない幼い少女にとって、友達になってくれるダイアナに心を開くのは仕方ないなぁ。
そもそも、ダイアナが初めて家に来た時にボブスの写真を見て可愛いって言ったのに「外見だけはね」って言ったクリスティーンは私はちょっと嫌だったのよね。
扱い辛いって言ってるも同然だよ。
夫は夫でダイアナを怪しみ、クリスティーンが以前飲んでいた薬をダイアナの部屋で発見する。
そこで「信じる」相手を夫にシフトし、ダイアナを非難し追い出してしまう。
そこでダイアナは掌握したボブスに夫に罪を被せるように指示する。
今度は「信じる」相手を娘に変え夫を責める。
この辺から、おいおい…クリスティーンよ…とか思うけど自分を「信じる」ことができないのだから仕方ないよなとも思うがもうちょっとなんとかやれ。まぁちょろい。
ヒスを起こすばかりで大人なんだからもっとなんかやれ。
だけど、家族が別々なこと言うしなぁ、なんだかなぁ。
とにかくうまいぞ、ダイアナ…
ついに明らかになるダイアナの過去。
愛しい娘を工場の火事で失ってしまう。
その復讐のためにクリスティーンに近づいていた。
故郷を追われて貧しい生活をしながらも娘と共に懸命に生きてきた彼女。
しかし、それは逆恨みってやつでは……
そもそも娘っ子を職場に連れて行ったのはダイアナでは…
クリスティーンはもっとたくさん働けやって言っただけで承諾したのは工場長であって、クリスティーンでは無いのでは、とも思う。
まぁ、恨める工場長は火事に巻き込まれててるしなぁ。やるせない恨み?
クリスティーンは呪いにより足踏みミシンを踏みながら、ダイアナの娘の死に様を見る。燃えていく娘、燃え盛る部屋。
駆けつけた夫が見た彼女は焼けこげ、残ったのは赤いラッキーシューズ。
ずっと一緒にいると約束したボブスの前で飛び降りをしその死に様を見せ、ボブスを新しいオンゴとする。
異国の地でオンゴとなった彼女をダイアナはそっと見つめ、ダイアナと共に生きるボブスは寂しさを感じることなく生きていく。
外に出してはダメって言われてた鳥、そのオンゴの継承の媒体が鳥の雛の様なのも意味があるのかな。
「ノセボ」ってなんだろうって調べたら「プラセボ」の反対なのね。
信じたら良くなるではなく悪くなるって。
自分を信じられず、他の人を信じたら自滅したクリスティーン。怖いなぁ。
ラッキーアイテムとして信じてたラッキーシューズが最後まで残るってのもしみじみくる。
展開も早いのでストレスもなく恐怖アイテムは悪魔犬とノミくらいだが呪いの方法がたくさんあるので常に湿度が高くてよい。
細かい伏線もしっかり拾えたのは良かったけどなんとも理由づけが弱いかな〜と。たくさんあった呪いもそれぞれ効果を見せて欲しかった。でも短いながらもボリュームがあって満足度は高い。