「グリーフケア セルフ 悲しみからの再生」彼方に 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)
グリーフケア セルフ 悲しみからの再生
連続通り魔事件の犯人と遭遇したことによって白人妻とまだ幼い娘を亡くした黒人男性の話
当時はなにかしらでっかい仕事をしていたようだが今はそれを辞めライドシェアのドライバーをしている
ライドシェアは所謂白タクのことで今のところ日本では違法だがアメリカでは合法
タクシー業界から献金をもらっている政治家やマスコミや知識人が反対してるんだろうがいずれ日本でも合法になる
あれから彼は寡黙になり心を閉ざしてしまい妻子との思い出に生きる毎日だが食べていくためライドシェアの仕事をしている
彼が喋らずともとっかえひっかえ次々に登場する乗客がいろいろと喋るので飽きさせない
そんなある日に黒人男性と白人女性とその娘が乗客として彼のライドシェアを利用した
生きてれば自分の娘と同じくらいに成長した姿だった
車内でくだらない口論する夫婦とそれにはもううんざりの娘
彼らの自宅の前で乗客3人を下ろしドライバーはあの幸せな日々を強く思い出さずにいられなかった
男のあまりにも寂しい背中を見かねた黒人白人夫婦の娘は背後から抱きついた
座り込みしばらく泣きじゃくったドライバーは我に帰り晴々とした表情でライドシェアの車に乗り込み発進させた
Netflixの短編としては大衆向け
わかりやすい
少なくとも難解な芸術作品ではない
コメディー要素は微塵もなく娯楽映画とはいえないし感傷的な内容だが多くの人が共感しやすい
好みではないがまあ悪くない
背後からいきなり抱きつく会ったばかりの他人の娘なんて有り得るだろうか
極めて稀だが創作作品はあるあるではないし話のキモはそこじゃない
これはあくまで自分の妄想だがおそらく亡くなった天国の娘が生きている黒人少女の身体を借りて主人公を勇気づけたのではないか
敬虔なクリスチャン的発想かもしれない
だが自分は無神論者だ
一瞬あの場面は『バックドロップ犬』を思い出したがもちろんそんな展開はなかった