怪獣ヤロウ!のレビュー・感想・評価
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そこに(ジャンルに対する)愛はあるんか?
「ご当地映画作りを命じられたぐんぴぃ演じる市職員がかねてから夢だった怪獣映画制作に取り組む」
ってコンセプトを聞いて全体的にチープでも怪獣映画愛に溢れた愛すべき作品なんじゃないかとけっこう期待して観に行ったんですが…
監督、別に怪獣映画作りとか好きじゃねぇだろ!
中学生の時に自主制作した怪獣映画を文化祭で披露したら皆に笑われた苦い経験を持つ観光課の職員にご当地映画で再度怪獣映画を作れるチャンスが巡ってくる。
ここまではいいですよ
でもそんな人間なら「また怪獣映画を作れるならこんな事もあんな事もやってみたい。中学生の時には出来なかった理想の怪獣を細かいディテールで作ってみたい!」とかのこだわりや怪獣愛が溢れてるんじゃねぇの?と思えるんですが割とそんな事はなく、ご当地映画として地域の人達に協賛を取り付ける描写はしつこくあれど怪獣映画作り自体の描写は非常にアッサリ。
ぐんぴぃ演じる市職員も怪獣映画を撮りたいとは言ってるものの、具体的なこだわりやアイデアを発揮するでなく、映画作りを手伝ってくれる往年の怪獣映画監督の言われるままに動くだけ。
挙げ句、破損した怪獣キグルミを修復するために奔走する描写もなく「怪獣のキグルミが用意出来ない!でも怪獣は怒りをぶつければいいんだ。だから生身の怒れるぐんぴぃが怪獣として画面に写ればいいんだ!」って…
これ最初から生身のぐんぴぃが怪獣として暴れるってのをやりたかっただけだな。
で、監督自身そこに至るまでの怪獣映画作りのプロセスには何のこだわりもねぇのな。
期待した俺が馬鹿でした。
あと完成したご当地怪獣映画を観た地域の人達がブリーフ姿の怪獣ぐんぴぃがすっ転んで屁をこく場面に爆笑するってシーン。
普通に薄ら寒いうえに「田舎の純朴な人達はこうゆので笑うでしょ」って舐めた考えが透けて見えるのでああ言うのは本当に止めた方がいいですよ。
作品そのものが“ご当地怪獣映画”として成立している面白さ
岐阜県関市の市役所に勤める観光課職員の山田は、市長からの命で“ご当地映画”を製作することに。やがて事態は、山田が兼ねてから抱いていた〈怪獣映画〉製作の夢へと向かって行く。
監督は、芸能事務所タイタンのマネージャー業も行っている八木順一朗。
主人公山田には、コンビ芸人「春とヒコーキ」のボケ担当、更にYouTuberとしてチャンネル登録者数180万人超(2025年2月1日現在)を誇る『バキ童チャンネル【ぐんぴぃ】』のメンバーである“ぐんぴぃ”が映画初出演&初主演。
共演には元欅坂46・櫻坂46の菅井友香をはじめ、手塚とおる、田中要次、清水ミチコとベテラン勢も参加。更に、「春とヒコーキ」や監督の所属するタイタンから、様々な芸人達もゲスト出演。
私自身が、まだチャンネル登録者数10万人程度の頃からのファン(ぐんぴぃさんが自身の人生を語る動画)であり、同じ童貞(現在31歳)として「あまりにも有名になってしまったが為、寧ろ童貞を捨てられなくなった」という思い十字架を背負って生きるぐんぴぃさんを“心の師匠”と仰いでいるだけに、観に行かないわけにはいかなかった作品。
また、監督の八木順一朗氏は、かつてバキ童チャンネルの「『ゴジラ』について語る回」にて、怪獣映画に対する愛の深さが見え、そんな八木監督がどんな怪獣映画を作り上げるのか楽しみでもあった。タイトルロゴや予告編の作りからも、東宝特撮、特に平成ゴジラシリーズへの愛が溢れていたのもポイントが高かった。
舞台は岐阜県関市。怪獣映画好きの中学生・山田少年は、自身が製作した手作りの怪獣映画を学校にて上映するも、不出来な作品を生徒達に笑われてしまう。しかし、恩師である桝井(田中要次)だけは、彼の作品を評価し「お前の怪獣で、全てぶっ壊すんや!」と叱咤激励する。
時は過ぎ、市役所の観光課に勤めるようになった山田(ぐんぴぃ)は、昔の情熱をすっかり忘れ、やりたい事を見出せない日々が続いていた。
ある日、市長(清水ミチコ)の命で地域活性化を図る“ご当地映画”製作をする事になり、上司の武藤(手塚とおる)や後輩の古川(三戸なつめ)に加え、市長の秘書である吉田(菅井友香)と共に映画製作に励む。しかし、凡庸なご当地映画の製作を進める中で、次第に山田の中には「これでいいのだろうか?」という疑問が募ってゆく。
映画製作も折り返し地点を過ぎた深夜、突如として吉田から連絡が入る。それは、吉田の些細なミスによって、製作していた映画のデータを全て失ってしまったというものだった。
残り少ない予算と製作期間。追い詰められた山田は、怪獣映画製作の伝説的人物・本多英二(麿赤兒)との出会いもあって決意する。
「「「ヨシっ! 怪獣やろうッ!」」」
まさに本作そのものが、“地域活性化を図るご当地映画映画”になっているという作りが面白い。監督の故郷である岐阜県関市の伝統(鵜飼や刀)と対照的な現状(シャッター街)という明暗どちらも映し出す正直な姿勢に、地域に対する愛情が感じられた。クライマックスで山田自身が怪獣として登場し、大映の『大魔神』を彷彿とさせる暴れっぷりを披露するという仕掛けも面白い。
また、主演のぐんぴぃさんのハマりっぷりが素晴らしく、映画初出演とは思えない演技(俳優としてのドラマ出演経験があるとはいえ)には驚かされた。このあたりは、芸人としてコントも行うスタンスが活きている面もあるのかも知れない。更に、ぐんぴぃさんがネットミームとしてバズるキッカケとなった2019年の街頭インタビューもパロディするというのはクスリとさせられた。相方である土岡哲朗さんの一瞬ながらも印象的なゲスト出演(顰めっ面のはずなのに、感情を失くしたサイコパスな表情)も最高だった。
吉田役の菅井友香は、他のキャストと比較すると演技力には劣るが、ヒロインらしい可愛さを振り撒きつつ市長の秘書として苦労させられる姿は魅力的だった。途中披露されるニットセーター姿は、申し訳ないが男性としてどうしても胸に目が行ってしまう。
ベテラン俳優としては、武藤役の手塚とおるの出演が、同じ怪獣映画ファンとしては嬉しい。何せ同氏は、平成ガメラ3部作の『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』(1999)や『シン・ゴジラ』(2016)に出演していたのだから。そのキャスティングにも、監督の怪獣映画愛が溢れているように感じられた。
しかし、肝心の怪獣映画としてメインになるはずの〈怪獣〉の造形が今一つなのは、予算や時間の都合を抜きにしても頂けない。特に、冒頭で山田少年が撮ったオリジナル怪獣映画『大怪獣セキラ』のクオリティは、「中学生でももう少しクオリティの高い怪獣にするだろう」という違和感があった。ダンボールで作るにしても、色塗りは勿論、顔の造形や背鰭、尻尾の作りまでもっと拘れる箇所は幾らでもあったはずだ。これについては、パンフレットでも平成ガメラ3部作の金子修介監督と八木監督との対談にて、金子監督が歯に衣着せぬ鋭い指摘をしていた。
この怪獣の造形に拘るからこそ(何なら、およそ中学生のクオリティとは思えない出来でも良いくらいだ)、学芸会で渾身の一作をバカにされたという辛い経験の重さ、それをクライマックスで山田が怪獣としてそのまま出演する(=芸人ぐんぴぃが暴れ回るという仕掛けの面白さ)事で、剥き出しの感情を爆発させてリベンジを果たすというカタルシスも増すと思うのだ。
作品として表現したい【やりたい事をやる】というテーマが明確に示されているだけに、この部分に力を注ぎ切れていないのは、かなりのマイナスポイントなのは間違いない。
監督の怪獣映画愛、地元愛を下地に、芸人ぐんぴぃのコミカルさや演技力にフォーカスし、作品それ自体が一種のご当地映画になるという構図の面白さは評価したい。しかし、だからこそ怪獣の着ぐるみ造形には、もっと情熱と工夫を注いで欲しかった。監督念願の一作が、まさにクオリティまでご当地映画のそれになってしまっているのは皮肉な話だろう。
本作自体が関市のご当地映画だったのかぁ
自主映画っぽいつくりで、とにかく演技がわざとらしいというか大袈裟なので、
本作そのものが岐阜県関市のご当地映画なんだなぁと思いました。
とは言え、俳優陣のみなさんの演技は面白くみれましたし(特に田中要次さんがよかった)、
映画内映画もなかなか良いアイディアだと思いましたし、
80分でサクッと鑑賞できるのも良かったです。
関市役所をぶった斬る演出は面白かったけれど、
よく地元が許可したな〜ということに感心しました。インパクトはありましたね。
本作を観たからといって、関市の観光客が速攻で増えるということにはならないでしょうが、
関市の認知度Upにはつながったように思いますね。
見逃すと気になっていたと思うので、観て良かったです。
まことに遺憾ですwww
ここ1年ほどでバキ童ことぐんぴいさんのファンになってYouTube動画を見ていたので主演映画となれば見ねばなるまい!とわざわざ100㎞以上離れた映画館まで車で出かけて見てきました。
映画自体は非常にオーソドックス。
主人公に無理難題がふっかけられて試行錯誤していい感じになりつつも大きな挫折を味わいそこから再起してクライマックスといった感じ、
妙な肉塊の幻影が浮かぶシーンが何回かあり、もしや超常現象を絡めた超展開があるのではと思いましたがあくまで主人公の心象風景のシンボルという解釈でよいのかなと。
YouTubeで今一番人気のあるお笑い芸人であるバキ童さんの主演作品ということで、「まことに遺憾です」「あ、ぼくバキバキ〇〇ですね」というミームが劇中に盛り込まれており、劇場でも笑いが起こってましたが、どうせならもうちょいどっかんどっかん笑えるシーンがあったらな、と思いました。
作中の敵役としては清水ミチコ演じる市長ということになるんですが「幼いころより伝統を死守する教育を受けたあまり嫌なヤツになったが、そこから逸脱したいがあまりご当地映画を作る気になった」という設定がいまいち活かされてない感じがしました。バキ童さんの中学時代のシーンがあるのなら、その対比として市長の幼少期のエピソードがすこしでもあればよかったのでは。
ネガティブなことばかり書きましたが、終盤のカタルシスはそれなりに気持ちよく、見て損したという気分にはならないと思います。
マジでかなり感動した。よくある展開で、ラストも予想どおり。ベタあるいは王道。
映画はベタな展開でラストもベタだが、僕はすごく感動した。
主人公の山田一郎 (ぐんぴぃさん )は、中学時代に本格的な怪獣映画を作るのが夢だった。
しかし、今はそんな夢も情熱もスッカリどこかへ置き忘れ、市の観光課で実務をこなす毎日。
あるとき,市長の発案で観光課が ご当地映画を作ることになる。
監督をやることになった山田一郎は、かつての夢を思い出し情熱を取り戻す。
そして、様々な失敗や困難を乗り越えて映画は完成し、絶賛されてハッピーエンドで終わる。
ホントにありきたりの流れでツッコミどころも有る。だけど僕はとても感動した。
以前におスギとピーコがこんなことを言っていた、「人は映画の中に自分を見つけた時に感動する」
山田一郎はかつての夢を思い出し情熱を取り戻す。その姿に今の自分やかつての自分が重なって見えた人は共感し感動したのではなかろうか。
ちなみに僕は「人は夢を持たなくてもゼ~ンゼンOK、別になくてもかまわないヨ」派だ。 「夢を持つな」とまでは言わないが (^^)。
ところで、ご当地映画は、ふだんTVドラマや映画を見ないけど地元の映画だから見ようかなという人も多いと思う。だから分かり安さは重要だと思う。
この映画は脚本と演出がすごく分かりやすい。
ただ、たびたび現れる赤くて鼓動を打ってる謎の物体。コレはなんかよく分からない。
僕は、コレが山田一郎の心の中で込み上げてくる何か熱いモノ(心の中のマグマ。多分,怒りと情熱)を表してるのかなと思う。
また、山田一郎が本多監督を訪ねる場面も良かった。アイデアを思いついて倉庫から飛び出していく山田を見ていた本多監督の顔がアップになる。
その顔は、山田にかつての自分を思い出した表情にも見えたし、今でもこんな情熱的なバカがいると思って嬉しくなった表情にも見えた。
撮影に参加しないと言っていた本多は、後で山田の撮影に手を貸すことになる。
撮影中の大爆発で山田たちに苦情が殺到するのだが、多くの応援メッセージも届けられていたことが分かる場面も良い。
もう映画作りは中止だと思っていた所に一筋の光明が射す。
ベタな展開というか、正に王道。
「ヤッター、こう来なくっちゃネ」と嬉しくなった♪ヽ(´▽`)/
結局、怪獣はどうするんだと思ってたら、そう来たかって展開で笑った。
そして最後は映画が絶賛の拍手を受けて、逆転のハッピーエンド。もうベッタベタ (^^)。
ご当地映画としても良いと思う。あの市庁舎は聖地でしょう。
【”伝統至上主義をぶっ潰せ!”ご当地映画作りがマサカノ怪獣映画になる様を岐阜県関市の名物の数々を織り交ぜて描いた怪作。尚、怪獣よりも厚化粧の清水ミチコさんの顔の方が余程怖いです。ホント、スイマセン。】
ー 岐阜県関市。隣県なので、良く近くのスーパーなどで関市の刃物が屋台でドドーンと売られている。又、昔一度しか行っていないが(愛知県は鰻の名産地なので、わざわざ行く必要がない。)今作でも頻繁に出て来た”うなぎの辻屋”は、流石に美味い。だが、関市の方には叱られそうだが、他に思い当たる所はない。
だが、今作を観ると名所、名産がそんなになくても、ご当地映画が作れる事が分かったよ。-
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・主役の市役所観光課職員山田を演じたぐんぴぃという方を始め、知らない俳優さんが多い。申し訳ない。だが、先週に観た「悪鬼のウイルス」に引き続き登場の、山田の中学時代の教師を演じた田中要次さんの登場に、ほっとする。
そして、元怪獣映画監督の本多英二(どー考えても、本多猪四郎がモデルであろう)を演じた麿赤兒さんの存在感は、圧倒的である。
・私は、ご当地映画や、ドラマは大切だと思っている。今作で関市市長(清水ミチコ)が言っているように、観光客が来るからである。
因みに、私が住む都市では近年、大河ドラマの舞台になった時には、イキナリ城が大幅改修され、城が立つ公演は立派になり、更に主人公の武将と深い関係にある寺は、一気に観光名所になり、驚いたモノである。
・今作は、ハッキリ言って手作り感は半端ない。だが、従来のご当地映画とは一線を画する斬新な内容は、面白かったものである。
まさか、山田が怪獣そのものになるとはねえ・・。クスクス。
<一番驚いた事。
どーせ、観客はオイラ一人か二人位だろうと思って劇場に行ったら、ナントお客さんが20人位居た事である。笑ってはいけない。オイラの居住区では、レイトショーなどお一人様になる事が多いのである。
ヤッパリ、隣県が舞台だから、お客さんが多かったのかな。これも映画の効果であろう。良い事である。>
笑ってんだか怒ってんだか。
中学時代、自主制作で怪獣映画を撮り自己評価は高かったものの周りからは不評で…、大人になってもまた怪獣映画を撮ろうと思ったけど公務員になっちゃった“ぐんぴぃ”の話。
岐阜県の関市役所・観光課に務めるぐんぴぃだったが、ある日市長から観光PR動画の話の流れからご当地映画を制作しようと監督を務めることに…。
中学の頃の夢が仕事を通して叶うではないけれど…、とりあえず市長演じる清水ミチコさんがなかなかパワハラ気味な市長を演じてるけど面白い!作品上にもあった、怒ってんだか笑ってんだかの件も含めて。
先輩の怪獣監督のアナログな撮り方、怪獣から吐く熱戦、…には、なるほど!と昔のヒーロー、ゴジラ等の特撮もこういった工夫がされてたのかなとも思えた。
作品としてはベースはコメディタッチで安っぽさはあったけど楽しめた。
肥満中年童貞という怪獣の一大復讐劇
「怪獣映画が大好きなだけの、なんの役にも立たない地方公務員」本作のHPでは、主人公である山田がこのように表現されているが、このキャラを単に演じるというならば別に役者がぐんぴぃである必要性はない。関市にゆかりのある俳優を使うという手もあるし、それこそ春とヒコーキの相方である土岡さんが演じても問題なさそうだ。しかしそれでも、この映画の主演は「バキ童」ぐんぴぃでなければならなかったというように思える。
この映画は、主人公の山田をカッコよく撮ろうという気が全く見えない。それどころかあえて映りが悪くなるようにしているとさえ感じた。顔のアップショットは肌の汚さが目立つし、部屋着の衣装もなんだか妙に生々しい。関市の名産を食べてパワーアップするシーンがあるが、そのシーンもはっきり言って汚い。口の中に一度入った水がこぼれていく様子をやたら接写で、スローモーションで映してくるのだから。終盤にはYouTubeチャンネルで時々見かけるあの半裸姿で怪獣を演じるわけだが、脂肪があちこちに付いたその体形をキャラクターとしての魅力にするように撮るようなことはなく、ただただ太った中年男性の半裸が映される。胸毛をどうにかするだけでも、映りは結構違うと思うのだが・・・
恐らく、それは本当に「あえて」なのだと思う。この映画の主役は山田ではなく、「バキバキ童貞」ぐんぴぃだ。社会から好意的に受け入れられず、自信を喪失し、ついにはネットミームだと不特定多数から笑われた、太った中年童貞という怪獣。それが怒りと共に暴れまわり、社会に一発の復讐を食らわせるその姿をありのまま撮った映画。それがこの映画だったのでは、と感じた。
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