「ご当地映画を作りながら、ご当地映画を映画をディスる展開は面白いと思った」怪獣ヤロウ! Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
ご当地映画を作りながら、ご当地映画を映画をディスる展開は面白いと思った
2025.2.6 イオンシネマ久御山
2025年の日本映画(80分、G)
特撮好きの地方公務員がご当地映画の監督を務める様子を描いたコメディ映画
監督&脚本は八木潤一郎
物語の舞台は、岐阜県の関市
市役所観光課の職員として働いている山田一郎(ぐんぴぃ、中学時代:甘南備和明)は、中学時代に文化祭で特撮映画を披露したが、同級生からは笑われて恥をかいてしまった
だが、桝井先生(田中要次)だけは彼に優しく声を掛け、「好きなことをやり続けなさい」と励ました
その夢を抱えて成長するものの、結局は夢半ばで終わり、今では市長(清水ミチコ)に叱責されるだけの毎日を過ごしていた
ある日のこと、突然市長が「ご当地映画を作る」と言い出してしまう
先輩職員の武藤(手塚とおる)、後輩職員の古川(水戸なつめ)を含めた3人はそのプロジェクトに組み込まれ、プロデューサーは市長の秘書である吉田(菅井友香)が務めることになった
ようやく映画が撮れると思い、怪獣映画の企画書を出すものの、脚本は市長が書いたものがゴリ押しされて、ベッタベタな「ご当地映画」を作るハメになったのである
映画は、市長の命令に逆らえない観光課がオーディションを開催し、一般人男性(平野宏周)を主役に据えた映画を撮り始めていく様子が描かれていく
怪獣映画ではなくとも映画監督には間違いなく、母(岩井久美子)の励ましもあって、順調に撮れ高を集めていくことになった
そしてスケジュールも折り返しに差し掛かったところで事故が起きてしまう
それは、動画の編集中に市長の電話を受けた吉田が、パソコンにコーヒーをぶちまけてしまい、データが全部飛んでしまったのである
翌日には近隣の市町村からお偉いさんが撮影現場の視察に来るとのことで、どうしようもないと思われた
だが、山田は諦めず、伝説の特撮監督・本多(麿赤兒)の協力を得て、特撮映画のセッティングを始めてしまうのである
物語は、無理やり怪獣映画を作って、有無を言わせぬ感じで市長を巻き込んでいく様子が描かれていく
本多の言う「怪獣は怒りだ」と言う至言があり、それを体現する形になっていて、市庁舎を刀で一刀両断する展開になっていく
市民にはウケが良く、それを自分の功績にしたい市長が流されていくのだが、このあたりの扱いが非常にうまいなあと思った
主演はお笑い芸人さん(YouTuber?)とのことで、普段そう言ったテレビを見ないので存じていなかったが、脱衣関連は彼のネタなのかなと思った
だが、それ以上に元アイドルが怪獣の着ぐるみを着たりとか、悪の権化のコスプレをしてノリノリで演技をしていたりするのを見ると、色々と攻めていてかつ楽しそうに映画を撮ったんだろうなあと言うのがわかって嬉しい
劇中映画のクオリティはそこまで高くないが、ほぼ素人が作った画としては及第点で、地域住民が手助けをして作った感がよくできていて、地域ぐるみでこの映画に取り組んだんだろうなあと思った
いずれにせよ、内輪ネタが満載の映画なのでだが、他地域でも問題なく見られる内容になっていた
無難なご当地映画を揶揄しているところも面白いし、いかにも役所の人が作りそうなラインを維持しているのも面白い
パンフレットも意外と豪華だが、部数が少なめなので割高な感じがするけど、販促にも力を入れているみたいなので、お布施として購入するのはアリなのかなあと思った