「見づらくなっただけ」シン・ゴジラ オルソ odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
見づらくなっただけ
2023.11月3日に公開を控えるゴジラ生誕70周年記念作品「ゴジラ-1.0」の公開記念し、池袋HUMAXシネマズで、「山崎貴セレクション ゴジラ上映会」が開かれ,10月27日に登壇したシン・ゴジラの庵野監督がモノクロ版の本作を上映し山崎監督にゴジラ-1.0のモノクロ版の制作を勧めたそうだ、その後ゴジラ -1.0/Cが公開されています、山崎監督によれば庵野監督に言われる前にプロジェクトを立ち上げていたそうです。
問題は本作のオルソ、正確にはオルソクロマチック・フィルムの略、そもそも映画用フィルムはコダックが1889年に製作しました、以前の感光材は青色だけに感光するものを紫から緑色まで広げましたが黄色、オレンジ色、赤色は感度が低く黒く写りました。そのため、俳優たちはメークで補ったそうです。1922年にコダックはすべてに感光性がある「パンクロマティック・フィルム」を作りました。現在のモノクロフィルムの原型です。
2019年公開されたゴシックホラー「ライトハウス」のモノクロ映像が古いオルソクロマチック風の映像で当時の雰囲気を醸し出したとされアカデミー撮影賞にノミネートされました。
庵野監督は単に色を抜くことでなく黒っぽさを誇張した古いモノクロフィルムの味合いを強調したかったのでしょう。
しかし、そもそもシンゴジラの撮影はデジタルシネマカメラのフラッグシップであるALEXA XT3台、Canonの一眼レフ3台、庵野さんのiPhoneまで使い、編集はアドビのPremiereという異色の凝りようで、あえて画質合わせをすることなく繋いだそうですから、オルソ化は何だったのでしょう・・。
おそらく負けず嫌いの庵野監督が終戦直後のゴジラならオルソで描くべきとマウントしたかったのでしょうね、しかし、本作を観た限り大失敗、ゴジラ-1.0/cなら時代的にも初代ゴジラへのリスペクトとしてもそこそこ意味が感じられますがシン・ゴジラの場合は現代ですし、オルソ版では画面を凝視しないと何が起きているのか分かりずらいし必然性を全く感じられません。単なる、庵野監督の自己顕示欲で作られた失敗作と言い切ってしましょう。オリジナルが面白かっただけに残念です、ご覧になるなら是非カラー版で・・。