「ものうまれいずるばしょ」レオノールの脳内ヒプナゴジア(半覚醒) N.riverさんの映画レビュー(感想・評価)
ものうまれいずるばしょ
フィリピン映画見たのは初めてかも。
ヒプナゴジアは半覚醒で現実と非現実の入り混じるアイディアが浮かびやすい脳の状態とか。だから混じる現実と虚構、ゆえの劇中劇中劇。
つまりファンタジーも極まってのデタラメのようにも感じるのだが、最後はなぜかあったかい気持ちにさせられる不思議。
一番ヤラレタのは、あえて大半を古臭いトーンで撮り続けていること。
この最後の劇中劇が剥げたとたん、本作の真価に触れる。
もの生み出す時のヤバイ感じや、自由奔放さや、デタラメ感が、このふわっとしたつかみどころのなさがとても良く感じ取れる。
というのも主人公みたくモノ書く趣味がある者としては、自分で登場人物を殺したり、痛めつけたりしながら、自分でショックを受けたり喜々としたりしているんだから、あの変性意識、つまりヒプナゴジアっぽいところはちょっと狂気だ。
ともかく名作、とは言い切れないが、確かと記憶に残る1本となった。
あ!! 分かった!!!
最後になぜかあったかい気持ちになるアレは、
フェリーニ「81/2」のラストへのオマージュかもしれない!
さらにどうやら若手女性監督作品で、古臭さは80年代に流行った作品のパロらしい。そこに作者が出入りするということはこれ、監督が監督になった原体験、影響を受けた作品へのサンクス映画なのでは。だから最後のあったか幕引きなのでは。
これはすこぶるエモいというやつじゃないか!
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