劇場公開日 2024年11月1日

「「ゴンドラが往復するだけでドラマになるの?」と思っていたかつての自分にゴンドラの一撃を食らわせたくなる一作」ゴンドラ yuiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0「ゴンドラが往復するだけでドラマになるの?」と思っていたかつての自分にゴンドラの一撃を食らわせたくなる一作

2024年12月30日
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鑑賞方法:映画館

ジョージアの山間を行き来するゴンドラで働く二人の女性の物語、という予告編そのままの内容で、彼女たちの自宅や村内の短い描写を除いて、ほんとに行きかうゴンドラだけで展開するドラマ。しかもセリフがほぼない、無声映画のような作りのため、ほんとにこれで映画になるのかな?と思いそうなところですが、よくここまでゴンドラという装置の使い道を思いつくな、と感心するほどに多彩な演出で楽しませてくれます(二人が無限湧きの資材を持っていたり、建築無双なのは目をつぶるとして)。

ゴンドラで高所を移動する緊張感と高揚感、そしてすれ違う刹那の一瞬の非現実感が毎回新鮮で、ゴンドラの往来という基調がありながらもそこに加わっていく変調を楽しむ、というところからも、全体的にどことなく音楽的な作品であると感じました。

小難しい設定とか読み解きとかをしないで、純粋に画面で展開するドラマを楽しみたい、という人にはぜひともお勧めしたい作品です。中盤にほんのちょこっとだけドキドキするようなシチュエーションがあるので、家族連れでの鑑賞だとそこだけ緊張感が走るかもしれないけど。

本作のゴンドラは実在するそうだけど、あの年季の入った駅舎やゴンドラ見たら、そりゃそうだよね、と思うはず!

yui